悪役令嬢だけど安眠のために奮闘します

ゆの

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2章 特訓

魔法士と騎士③

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「じゃあ本題に入るね。魔力量による戦い方への影響だけど、基本的なことで言えば、魔法士はどの程度の威力の魔法を使えて、それが何回できるのか。騎士はどの程度の魔力を剣等の武器や防具に纏わせることができるのか、その持続時間はどの程度か。ってことになるかな。
ただ、これはそれぞれの技術によって変動するんだ。魔法士は、まず基本となる魔法書の詠唱である《基礎詠唱ベース・アリア》、それを自分なりに解釈して短縮する《短縮詠唱ショート・アリア》、その魔法を完全に理解し、尚且つその魔法と親和性が高いことにより可能な《無詠唱サイレント・アリア》のいずれかによって魔法を発動するんだけれど、後者になればなる程、威力は大きく魔力量は少なくて済むんだ。だから魔力量が少ない人でも無詠唱ができるなら無詠唱ができない魔力量の多い人よりも優秀ってわけ。
騎士の場合は、魔力操作が凄く重要になってくるんだ。倒す敵に合った必要最低限の魔力を纏わせれば敵は斬れるし、攻撃された時にそれを防げる必要最低限の魔力をその部位に纏わせれば攻撃は防げるからね。」
「…っ!!では魔力量が多いことの利点は技術面をある程度カバー出来るだけで、他には余りないということですか…?!」

フラン兄様がレオナルド先生の説明を聴き、思わず立ち上がった。それはそうだろう、彼は魔力量が多いことで魔力暴走を起こして実の親に監禁され、恐れられてきたのだから、今の説明だとデメリットの方が大きすぎる。
暗いムードが漂い始めそうになった時、レオナルド先生が不敵に笑った。

「大丈夫。実はとても大きなメリットがあるんだ!!それはね…」

そう言いつつ、レオナルド先生が顔の前に手をかざす。首を傾げて見つめていると、彼の手のひらから緑色の光の粒が溢れ出し、彼の背丈の4分の3程の長さの杖を形作った。杖は木を基調としており、先端が軽い渦巻き状になっている。その杖にはつるをイメージしたかのようにくるくると、黄緑色のガラスのような素材でできた装飾が巻き付いていた。

「これが最大のメリット《固有の杖ユニーク・ワンド》。これは顕現させるだけでも魔力をかなり使うんだけど、これを持続させるのにも魔力をさらに持っていかれるんだ。でも普通の杖との魔法の威力は桁違いだよ。これが騎士だとその者の望む武器の形で顕現されるから《固有の武器ユニーク・アームズ》になるんだ。」

魔法バカにそんなもの持たせてしまったら嫌な予感しかしないのだが…まあ嫌な予感とは的中するもので、今までで1番の笑みを浮かべたレオナルド先生は私たちに笑いかける。

「じゃあ実際に試してみようか!!」

…ほらね?
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