18 / 24
お茶会当日①
しおりを挟む
私は今、私より2歳年上のサム兄様と父様と馬車で王宮へ向かっています。サム兄様は所謂シスコンというやつで、アリーチェがぷくぷくと太っていた時からとても可愛がってくれていた。兄様はよく手ずから私へ餌付けしてくれていたし、前世を思い出す前から私は兄様のことが大好きだ。
兄様は父様譲りのサラサラの濃紺の髪を、白色のリボンで後ろでひとつにまとめている。この白色のリボンは私が兄様の10歳の誕生日の時にプレゼントしたものだ。兄様はそのリボンを毎日のように使ってくれていて、兄様曰く『アリーチェからプレゼントしてもらったものだし、アリーチェのイメージカラーの白色だからアリーチェを身近に感じれてとても気に入っている』のだそうだ。
そんな優しい兄様が母様譲りの水色の瞳を嬉しそうに細めながら私へ話しかけてくれている。
「アリーチェとお出かけなんて初めてだから、僕とても嬉しいな!!」
「私もですわ、兄様。お茶会がどんなものか分からないのでとても楽しみです!!」
私も兄様へ満面の笑みを向け、年相応にはしゃいでしまう。
「こらこら、二人とも。あんまりはしゃいで色んなところに行っちゃダメだぞ?最低限のマナーは守りなさい。」
「「はーい」」
そう私たちを窘めつつも、一緒に微笑んでくれる父様は、いつもは下ろしている前髪を後ろへ撫で付け、服装は青色と白色を基調としたアビ・ア・ラ・フランセーズ(18世紀頃の男性用スーツ)を着用している。この世界の男性の礼装はそれらしい。
父様はどちらかと言うと可愛い系のイケメンなのでいつもはとても若く見えるのだが、今日みたいに礼装をしているとしっかりとした大人の男性に見えてとてもカッコイイ。最高です、父様!!と私が内心ガッツポーズしていると、馬車が止まった。
「着いたみたいだね、降りようか。」
御者が扉を開け、父様と兄様が先に降りると外が少しザワザワと騒がしくなった。ファスタグラン伯爵家は長い歴史と侯爵家並の権力や財力などを持っていることや、実は父様が宰相ということでとても注目されるのだ。しかも容姿も素晴らしいので、父様の愛人の座や兄様の婚約者の座を狙っているご婦人やご息女が大変多いらしい。父様は母様一筋だから絶対ないし、兄様は重度のシスコンだからしばらくはないのだがお構いなしにアタックする者達が尽きないらしい。
そんな父様と兄様が扉の両脇に立って、私へ向かって片手を差し出してくれている。両手に花というか、とても恥ずかしいが降りるしかない。少し深呼吸をして気を引き締めて、父様と兄様の手をそれぞれとる。私が馬車から降りると、騒がしかったはずの外が急にシーンと静まり返った。なにか間違えたのかと父様と兄様を見上げるが、2人は微笑んで「大丈夫だよ」と囁いてくれた。その言葉を信じ、満面の笑みを浮かべ優雅に周りの方々へカーテシーをして、私たちは会場へ向かって歩き出した。
すると、私たちの行く先を開けるように皆が避けて行く。まるで花道のようで、クスリと笑ってしまいつつもお嬢様の仮面を被り、私はお茶会へ繰り出した。
兄様は父様譲りのサラサラの濃紺の髪を、白色のリボンで後ろでひとつにまとめている。この白色のリボンは私が兄様の10歳の誕生日の時にプレゼントしたものだ。兄様はそのリボンを毎日のように使ってくれていて、兄様曰く『アリーチェからプレゼントしてもらったものだし、アリーチェのイメージカラーの白色だからアリーチェを身近に感じれてとても気に入っている』のだそうだ。
そんな優しい兄様が母様譲りの水色の瞳を嬉しそうに細めながら私へ話しかけてくれている。
「アリーチェとお出かけなんて初めてだから、僕とても嬉しいな!!」
「私もですわ、兄様。お茶会がどんなものか分からないのでとても楽しみです!!」
私も兄様へ満面の笑みを向け、年相応にはしゃいでしまう。
「こらこら、二人とも。あんまりはしゃいで色んなところに行っちゃダメだぞ?最低限のマナーは守りなさい。」
「「はーい」」
そう私たちを窘めつつも、一緒に微笑んでくれる父様は、いつもは下ろしている前髪を後ろへ撫で付け、服装は青色と白色を基調としたアビ・ア・ラ・フランセーズ(18世紀頃の男性用スーツ)を着用している。この世界の男性の礼装はそれらしい。
父様はどちらかと言うと可愛い系のイケメンなのでいつもはとても若く見えるのだが、今日みたいに礼装をしているとしっかりとした大人の男性に見えてとてもカッコイイ。最高です、父様!!と私が内心ガッツポーズしていると、馬車が止まった。
「着いたみたいだね、降りようか。」
御者が扉を開け、父様と兄様が先に降りると外が少しザワザワと騒がしくなった。ファスタグラン伯爵家は長い歴史と侯爵家並の権力や財力などを持っていることや、実は父様が宰相ということでとても注目されるのだ。しかも容姿も素晴らしいので、父様の愛人の座や兄様の婚約者の座を狙っているご婦人やご息女が大変多いらしい。父様は母様一筋だから絶対ないし、兄様は重度のシスコンだからしばらくはないのだがお構いなしにアタックする者達が尽きないらしい。
そんな父様と兄様が扉の両脇に立って、私へ向かって片手を差し出してくれている。両手に花というか、とても恥ずかしいが降りるしかない。少し深呼吸をして気を引き締めて、父様と兄様の手をそれぞれとる。私が馬車から降りると、騒がしかったはずの外が急にシーンと静まり返った。なにか間違えたのかと父様と兄様を見上げるが、2人は微笑んで「大丈夫だよ」と囁いてくれた。その言葉を信じ、満面の笑みを浮かべ優雅に周りの方々へカーテシーをして、私たちは会場へ向かって歩き出した。
すると、私たちの行く先を開けるように皆が避けて行く。まるで花道のようで、クスリと笑ってしまいつつもお嬢様の仮面を被り、私はお茶会へ繰り出した。
1
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる