乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい

ゆの

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お茶会当日②

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今日は第1王子の10歳の誕生日を記念するお茶会なので、王宮の広大な庭園で行われる。最初に主催者である王様と王妃様、そして本日の主役である第1王子様にご挨拶をしなければならないのだが、王族の方々は庭園の一番奥にいらっしゃるため、かなりの距離を歩かなければならず、はっきり言って憂鬱だ。だが、その間に父様と兄様が沢山話しかけてくれたので、何とか逃げ出さずに辿り着くことが出来た。すると、父様が陛下と何やら楽しそうに歓談を始めたのでお話が終わるまで大人しく待つことにした。その間、暇なので王族の皆様のご尊顔をたっぷりと拝見させて頂くことにした。

陛下は若干くすんだ蜂蜜色のフワッとした短髪に浅葱色という緑がかった青色の瞳をしている、中性的なイケメンだ。父様と同い年なので二人共29か30歳のはずだが、20代前半と言われた方が納得できる若々しさだ。
王妃様はミルクティーのような真っ直ぐな茶髪にチョコレート色のクリっとした瞳をしているが、可愛いというよりも美人という方が合っている気がする。女性らしい体つきと、穏やかな表情がまるで皆の母のようで、王妃という言葉がとても相応しいお方だ。
そして、本日の主役の第1王子様は陛下の生き写しの様で、違うところを挙げるとするならば王妃様に似た真っ直ぐな髪質だろうか。髪色も瞳の色も顔も本当に陛下にそっくりだ。

私が王族の皆様を見つめて時間を潰していると、やっと話が終わったのか後ろにいた私を父様がずいっと前へ引っ張り出す。

「陛下、可愛い可愛いアリーチェがまたさらに可愛くなったんですよ?見てください。」

いきなり前へ引っ張り出された事に少し驚きはしたが、慌てず優雅にカーテシーをする。

「陛下、お久しぶりでございます。アレックス・ファスタグラン伯爵が娘、アリーチェ・ファスタグランでございます。本日はこのような素晴らしいお茶会にお招き頂いたこと、誠に光栄でございます。殿下が生まれたこの日に感謝し、これからも健やかに成長されることを臣下として切に願っております。」

陛下の許しを待つが中々返事が返ってこない。カーテシーは結構キツイ体勢なので早くして欲しいと強く思いつつ耐える。すると、父様が痺れを切らしたのか「陛下?」と少し冷たさを纏った声をかけた。カーテシーをしていて見えないが、陛下が弾かれたように気を取り直したのが雰囲気で分かる。

「良い、楽にしてくれ。」

しっかりとその言葉を聞き届けてから礼をやめ、楽にする。顔を上げると、王族の皆様が私を凝視し、三者三様の驚き方をしたいた。そうですよね、あんなにぷくぷく太っていたはずの人が標準よりやや細めくらいにまで痩せてたらそりゃ驚きますよね。
苦笑しそうになるのをお嬢様スマイルで抑え込むのに必死だった。

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