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【21:さっきのは冗談だから】
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「あのさ、神凪」
「そうね」
「おいおい、人の話を聞いてないだろ?」
「そうね」
「やっぱりかー!」
「え?」
神凪はきょとんとしてる。ホントに俺の話を聞いてなかったみたいだ。
「家の中にいたら、見つけられないよなって言ったんだ」
「そうね」
「あのさ、神凪」
「なに?」
テンション低っ!
神凪はめんどくさそうに答えてる。やっぱさっきのやり取りを怒ってるんだな。怖ぇよ。それに俺に出会ったのが不幸だなんて言うし。
「さっきのは冗談だから」
「さっきのって?」
「だから、あの……隣の席が不幸のどん底ってやつ」
「あ、そうなの? 私も出会ったことすら不幸っていうのは冗談だから」
神凪の顔に少し笑顔が浮かんだ気がして、ホッとした。それに俺との出会いが不幸ってのは、さすがに冗談で良かった。
「うん。あんなのはどん底ではない」
「はあっ? どん底ではない? まあまあ不幸ってこと?」
うわ、やべっ。つい本音が出てしまった。神凪はくわっと目を開いて睨んでる。こんな風に恐怖に陥れられるから、近くにいるのは怖いんだよなぁ。
「いや、そうじゃなくて……」
「何がそうじゃないの? もういいっ」
ありゃりゃ。神凪は、ぷいと横を向いてしまった。どうすりゃいいんだ? あ、とりあえず話題を変えよう。
「あ、あのさ神凪。さっきおっさんの神様が、天《あま》の国で色々事情があって……って言ってたよな。何があったんだろ?」
「そんなの私もわからない」
神凪は取りつく島もないって感じで、俺の顔を見ない。話題変更作戦は失敗か。
でもしばらく動きが固まってた神凪は、急に俺に振り向いた。
「何があったんだろね?」
おっ、作戦成功か? やっぱり神凪は、神の国のできごとに興味があるんだな。
「巫女をしてる神凪も知らないのか?」
「神様の世界なんて、知ってる巫女はいないでしょ。よっぽど偉い神主ならわからないけど」
「そんなもんなんだな」
「そう、普通はね。でも何が起きてるんだろ?」
二人で「うーん」と考え込んでたら、おっさん神とロリ神様がスーッと飛ぶようにして現れた。
「貧乏神は見つからない」
おっさん神が困り顔をしてる。
見つからないなら、貧乏神は遠くに逃げたんじゃないのか?
「貧乏神がそんなに遠くに移動するとは考えられないが、念のために範囲を広げて調べてみる。だが私はそろそろ天《あま》の国に戻らなければならない」
「え? じゃあどうすんだよ?」
そう言ったものの俺は、俺ん家にさえ貧乏神がいなければ、それでいいんだけどな。
「だからこの豊姫美を置いていく。君たちは神々と話せるし、何かあれば協力してやってくれたまえ」
「はぁっ?」
神凪が呆れた声を出した。
そりゃそうだ。人間を助けるのが神様であって、神様を人間が助けるなんて聞いたことがない。
「まあそんな顔をするな、巫女よ。おかしな願いだとはわかっておる。なにぶんこやつが半人前なゆえ、頼む」
「は、はぁ」
「その代わり無事に貧乏神を見つけだしたら、そなたには神からの幸運を与えてしんぜよう」
「へっ? 神からの幸運?」
「そなたの望みを一つ、叶えてやろうぞ」
「マジ?」
巫女さんが神様に放つ言葉として『マジ?』はふさわしくないだろ? でもそれだけ神凪は驚いてるみたいで、めっちゃ嬉しそうな顔をしてる。
「あっ!」
「どうした、巫女よ?」
「いえ、あの……」
神凪はなんだか言いにくそうにしてるけど、なんだ?
「もしも探しても貧乏神が見つからない時は、あの、その……神からの幸運は?」
おおっ? 神凪って案外欲深いんだな。清楚の仮面を外すとこんなもんなのか?
「そうだなぁ……お主らに世話になるのは確かだし」
「いや、あの、荒菅神《あらすがのかみ》様。もしかしたら、もう貧乏神は消滅してるかもしれないんです」
「消滅? なぜお主はそう思う?」
「もしかしたら、やっつけちゃったかも……」
「やっつけた!? お主がか?」
おっさん神はえらく驚いて、卒倒しそうな顔をしてる。
「あやつは相当強いぞ。人間に倒せるとは思えぬ。どうやって倒したのだ?」
「えっと……手を、こう、左右に振ったらね。ぶぉんって消えちゃった。あはは」
神凪は横目でチラチラと俺を見ながら、照れ笑いを浮かべてる。
そうか。貧乏神は急に消えたからてっきり逃げ出したんだと思ってたけど、貧乏神も神凪がやっつけたのか。すげーぞ神凪。
いや、やっぱ怖ぇーぞ神凪。
「巫女よ。なぜそれを早く言わん?」
「え? だってホントに消えたのかどうか自信がないし、もしかしたら逃げてるのかもしれないから」
「ふぅむ」
おっさん神は腕組みをして、左右に跳ね上がったヒゲをぴくぴくさせながら唸ってる。
ヒゲが動くのがオモロイな、このおっさん。なんでこんなヒゲを生やしてるんだろ? 神の世界ではコレがイケてるんだろか?
「わかった。もしこの辺りで貧乏神が見つからなければ、お主が倒したということを信じよう。だからその場合も、幸運を授けてしんぜようぞ」
「はい。ありがたき幸せ」
神凪はいきなり大きくお辞儀を二回した。そしてぱん、ぱんと二回柏手を打って、また一回大きくお辞儀をする。
おおっ、大きくお辞儀した時に、もう少しでミニスカートからパンツが見えそうだった! 残念だ。おっさん神よ、俺にも幸運を授けたまえ!
──って俺はアホか。
もしホントに幸運を授けてもえるのなら、パンツが見えるなんてことに使うはずがない。
……使うはずないよな。俺、大丈夫か? ちょっと不安だ。
いやいや、こんなバカなことを考えてる場合じゃない。
「なあ神凪、なにやってんの?」
「神様に敬意をもって、お礼をしてるの。二礼、二拍手、一礼よ。神式のお参りのやり方。天心君も地鎮祭の時に見たでしょ?」
そういえば、そんなのあったな。
こんな姿を見ると、やっぱり神凪は巫女さんなんだなぁって感じがするな。真っ赤なミニスカートにチビT姿だけど。
敬意を表されてお礼をされたおっさん神は、満足げに笑ってる。そしておっさん神は、急に片手を上げた。
「じゃあ、そゆことで。バイなら」
「バイなら?」
おっさん神が突然何か言ったけど、意味不明だ。神道に関する言葉か?
そう思って神凪を見たけど、顔を左右に振ってる。彼女にもわからないらしい。
「『バイなら』ってなんですか?」
神凪が訊くと、おっさん神はきょとんとした。
「そうね」
「おいおい、人の話を聞いてないだろ?」
「そうね」
「やっぱりかー!」
「え?」
神凪はきょとんとしてる。ホントに俺の話を聞いてなかったみたいだ。
「家の中にいたら、見つけられないよなって言ったんだ」
「そうね」
「あのさ、神凪」
「なに?」
テンション低っ!
神凪はめんどくさそうに答えてる。やっぱさっきのやり取りを怒ってるんだな。怖ぇよ。それに俺に出会ったのが不幸だなんて言うし。
「さっきのは冗談だから」
「さっきのって?」
「だから、あの……隣の席が不幸のどん底ってやつ」
「あ、そうなの? 私も出会ったことすら不幸っていうのは冗談だから」
神凪の顔に少し笑顔が浮かんだ気がして、ホッとした。それに俺との出会いが不幸ってのは、さすがに冗談で良かった。
「うん。あんなのはどん底ではない」
「はあっ? どん底ではない? まあまあ不幸ってこと?」
うわ、やべっ。つい本音が出てしまった。神凪はくわっと目を開いて睨んでる。こんな風に恐怖に陥れられるから、近くにいるのは怖いんだよなぁ。
「いや、そうじゃなくて……」
「何がそうじゃないの? もういいっ」
ありゃりゃ。神凪は、ぷいと横を向いてしまった。どうすりゃいいんだ? あ、とりあえず話題を変えよう。
「あ、あのさ神凪。さっきおっさんの神様が、天《あま》の国で色々事情があって……って言ってたよな。何があったんだろ?」
「そんなの私もわからない」
神凪は取りつく島もないって感じで、俺の顔を見ない。話題変更作戦は失敗か。
でもしばらく動きが固まってた神凪は、急に俺に振り向いた。
「何があったんだろね?」
おっ、作戦成功か? やっぱり神凪は、神の国のできごとに興味があるんだな。
「巫女をしてる神凪も知らないのか?」
「神様の世界なんて、知ってる巫女はいないでしょ。よっぽど偉い神主ならわからないけど」
「そんなもんなんだな」
「そう、普通はね。でも何が起きてるんだろ?」
二人で「うーん」と考え込んでたら、おっさん神とロリ神様がスーッと飛ぶようにして現れた。
「貧乏神は見つからない」
おっさん神が困り顔をしてる。
見つからないなら、貧乏神は遠くに逃げたんじゃないのか?
「貧乏神がそんなに遠くに移動するとは考えられないが、念のために範囲を広げて調べてみる。だが私はそろそろ天《あま》の国に戻らなければならない」
「え? じゃあどうすんだよ?」
そう言ったものの俺は、俺ん家にさえ貧乏神がいなければ、それでいいんだけどな。
「だからこの豊姫美を置いていく。君たちは神々と話せるし、何かあれば協力してやってくれたまえ」
「はぁっ?」
神凪が呆れた声を出した。
そりゃそうだ。人間を助けるのが神様であって、神様を人間が助けるなんて聞いたことがない。
「まあそんな顔をするな、巫女よ。おかしな願いだとはわかっておる。なにぶんこやつが半人前なゆえ、頼む」
「は、はぁ」
「その代わり無事に貧乏神を見つけだしたら、そなたには神からの幸運を与えてしんぜよう」
「へっ? 神からの幸運?」
「そなたの望みを一つ、叶えてやろうぞ」
「マジ?」
巫女さんが神様に放つ言葉として『マジ?』はふさわしくないだろ? でもそれだけ神凪は驚いてるみたいで、めっちゃ嬉しそうな顔をしてる。
「あっ!」
「どうした、巫女よ?」
「いえ、あの……」
神凪はなんだか言いにくそうにしてるけど、なんだ?
「もしも探しても貧乏神が見つからない時は、あの、その……神からの幸運は?」
おおっ? 神凪って案外欲深いんだな。清楚の仮面を外すとこんなもんなのか?
「そうだなぁ……お主らに世話になるのは確かだし」
「いや、あの、荒菅神《あらすがのかみ》様。もしかしたら、もう貧乏神は消滅してるかもしれないんです」
「消滅? なぜお主はそう思う?」
「もしかしたら、やっつけちゃったかも……」
「やっつけた!? お主がか?」
おっさん神はえらく驚いて、卒倒しそうな顔をしてる。
「あやつは相当強いぞ。人間に倒せるとは思えぬ。どうやって倒したのだ?」
「えっと……手を、こう、左右に振ったらね。ぶぉんって消えちゃった。あはは」
神凪は横目でチラチラと俺を見ながら、照れ笑いを浮かべてる。
そうか。貧乏神は急に消えたからてっきり逃げ出したんだと思ってたけど、貧乏神も神凪がやっつけたのか。すげーぞ神凪。
いや、やっぱ怖ぇーぞ神凪。
「巫女よ。なぜそれを早く言わん?」
「え? だってホントに消えたのかどうか自信がないし、もしかしたら逃げてるのかもしれないから」
「ふぅむ」
おっさん神は腕組みをして、左右に跳ね上がったヒゲをぴくぴくさせながら唸ってる。
ヒゲが動くのがオモロイな、このおっさん。なんでこんなヒゲを生やしてるんだろ? 神の世界ではコレがイケてるんだろか?
「わかった。もしこの辺りで貧乏神が見つからなければ、お主が倒したということを信じよう。だからその場合も、幸運を授けてしんぜようぞ」
「はい。ありがたき幸せ」
神凪はいきなり大きくお辞儀を二回した。そしてぱん、ぱんと二回柏手を打って、また一回大きくお辞儀をする。
おおっ、大きくお辞儀した時に、もう少しでミニスカートからパンツが見えそうだった! 残念だ。おっさん神よ、俺にも幸運を授けたまえ!
──って俺はアホか。
もしホントに幸運を授けてもえるのなら、パンツが見えるなんてことに使うはずがない。
……使うはずないよな。俺、大丈夫か? ちょっと不安だ。
いやいや、こんなバカなことを考えてる場合じゃない。
「なあ神凪、なにやってんの?」
「神様に敬意をもって、お礼をしてるの。二礼、二拍手、一礼よ。神式のお参りのやり方。天心君も地鎮祭の時に見たでしょ?」
そういえば、そんなのあったな。
こんな姿を見ると、やっぱり神凪は巫女さんなんだなぁって感じがするな。真っ赤なミニスカートにチビT姿だけど。
敬意を表されてお礼をされたおっさん神は、満足げに笑ってる。そしておっさん神は、急に片手を上げた。
「じゃあ、そゆことで。バイなら」
「バイなら?」
おっさん神が突然何か言ったけど、意味不明だ。神道に関する言葉か?
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「『バイなら』ってなんですか?」
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