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【22:バイなら】
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「『バイなら』というのは、バイバイとさよならを合わせた、別れの時に使う言葉だ。この前下界に来た時に教えてもらった流行り言葉だ」
「流行り言葉? 天心君、知ってる?」
「知らん。そもそも俺は流行り言葉なんて詳しくないし」
「私も。あんまり詳しくない」
「そうか。君たちは知らんのだな。私の方がナウいってわけだ」
「ナウい? それ、お父さんに教えてもらったことがある。大昔の言葉で『今風』ってことでしょ?」
神凪はそう言ってるけど、俺は知らん。ナウい? 変な言葉。
「なあ神凪。大昔っていつだ? 江戸時代くらいか?」
「江戸時代に、ナウって英語が使われますかぁ?」
あ、また神凪にバカにされた。くそっ、腹立つ。
「使わないか?」
「使わないでしょ。で、荒菅神様。『バイなら』を教えてもらったのって、いつですか?」
「うーむ。30年くらい前だ。ついこの前だぞ」
そんな昔の流行語、知るかいーっ!
神様にとって30年って、ついこの前なんだ! 新たな発見だ。
「あの……荒菅神様。今は『バイなら』は誰も知らないです。それに『ナウい』も古すぎるから、やめといた方がよろしいかと……」
「なにぃ? 私としたことが。流行遅れになっていると申すのか?」
「は、はい。言いにくいけど」
神凪は恐縮してる。
いや、そんな遠慮しなくても。
流行語を使おうとする神様の方がおかしいだろ。なんだ、このおっさん。
「では巫女。今の流行語を教えてくれ」
「神様のくせに、ええ加減にせえ!」
俺は関西人でもないのに、思わず関西弁でおっさん神にツッコミを入れてた。俺の裏拳が、おっさん神の肩にバシッと音を立ててヒットした。
気品溢れる神様だと思ってたのに、えらく俗なことを言うんだな。見損なったよ。
「これ、少年よ。神を気軽に叩くでない。冗談に決まっておろうが」
あ、真面目に怒ってる。目つきが鋭くて怖い。
「ご、ごめんなさい」
くそっ。威厳に負けて、つい謝ってしまった。このおっさん、真面目なのかふざけてるのか、よくわからん。やだよ、こんな神様。
「まあ、わかればよい。これからもよろしくな」
おっさん神はそう言い残して、突然宙に浮かび上がって、凄い勢いで天上高く飛び上がっていった。
こりゃまた急に帰ってったな。変なヤツ。神凪もきょとんとしてるよ。
そして残されたのはロリ神様。
こいつ、ホントに役に立つんだろうか?
「じゃあ俺たちも帰ろうか」
「そ、そうね」
なんかロリ神様が俺たちをじっと見つめてるから、早く離れたくてそう言った。
「あ、そうだ天心君。あ、あの……せっかく出てきたんだから、このまま帰るのって、もったいなくない?」
「えっ? どゆこと?」
「ちょっとカフェでも行きたいなぁ……って。この後予定ある?」
「いや、別にないけど」
「じゃあ、何か飲みたいでしょ?」
「いや、別に」
「飲みたいよ、ねぇ!」
なぜだかわからんが、神凪がギロっと睨んだ。──怖い。
「あ、そうだね。ちょっと飲みたくなってきたかな?」
「だよねー! じゃあ行こっか。天心君が何か飲みたいなら、仕方ないから付き合ってあげるよ」
なに? 最初にカフェに行きたいって言い出したのは神凪だよな? それがなんで、俺のために付き合ってやるってことになるんだ?
「かふぇ……ってなに?」
呟きが聞こえてロリ神様を向くと、俺たちをじっと見つめてる。興味津々って表情だ。
「カフェってのはコーヒー……いや、お茶を飲む場所だよ、ロリ神様」
「ろり神様? ワシの名は豊姫美じゃ。ろりってのはどういう意味じゃ?」
「あの、えっと……そうそう。すっごく可愛いって意味だよ」
「すごく可愛い? ワシがか?」
ロリ神様は怪訝な顔をしてる。
「ああ、そうだけど……100歳の神様に向かってごめんな」
機嫌を損ねたのかと思って謝ったら、ロリ神様は急に、にんまぁと笑顔になった。
「いや、ワシは可愛いと言われるのは大好きじゃ。苦しゅうない。もっと言え」
「は?」
このロリ神様、よく見たらまつ毛が長いぱっちりお目めだし、子役タレントにいてもおかしくないような、かなり可愛い小学生って感じだ。
「かなり可愛いっすよ」
同世代の女の子には恥ずかしく言えないけど、見た目小学生のこいつになら、なんの躊躇もなく可愛いって言葉が出た。
「そ、そっか? いやぁ、それほどでも……」
ロリ神様は顔を真っ赤にして、落ち着きなく髪や顔を触って、めっちゃ照れてやがる。神様のくせに変なの。
だけどマジで可愛いな。
しかし見た目が小学生で中身が100歳と考えると気分は複雑だ。果たして可愛いという感情を持っていいのだろうか? なんだか俺、変態っぽいぞ。
「天心君、こんなバカはほっといて、カフェ行こ」
あたふたと照れるロリ神様を前にして、待ちくたびれたのか、神凪が俺の服の裾を引っ張る。
「そうだな。そろそろ行くか」
その言葉を聞いて、急にロリ神様が真顔になった。
「その、かふぇとやらにワシも連れてけ」
えっ? 好奇心旺盛な神様だな。コーヒーとか飲ませたら、にが~いとか悶絶しそうで、面白いかも。
「ああ、いいけど」
「ダメ~! 絶対だめ!」
神凪が急に大声を出して、両手を激しく左右に振って拒否ってる。
「え? いいだろ?」
「ダメよ。こんな和装の女の子を連れてったら、何者なんだと注目の的になる」
「それもそっか」
「何を言っとる巫女よ。ワシの姿はお前ら以外には見えんだろ。だから問題ない」
「あ……」
神凪が固まった。そんな勘違いをするなんて、神凪らしくない。
「じゃあ、いいじゃん。人間界に興味があるみたいだし」
「ええ~っ? せっかく天心君と二人っき……」
神凪はぷーっと頰を膨らませて、何やらぶつぶつ文句を言ってる。
声が小さくて最後の方は聞き取れなかったけど、神凪はなんでそこまでロリ神様を嫌がるんだ?
一方でロリ神様はまたにんまぁと笑って、楽しそうに俺たちについてきた。
「流行り言葉? 天心君、知ってる?」
「知らん。そもそも俺は流行り言葉なんて詳しくないし」
「私も。あんまり詳しくない」
「そうか。君たちは知らんのだな。私の方がナウいってわけだ」
「ナウい? それ、お父さんに教えてもらったことがある。大昔の言葉で『今風』ってことでしょ?」
神凪はそう言ってるけど、俺は知らん。ナウい? 変な言葉。
「なあ神凪。大昔っていつだ? 江戸時代くらいか?」
「江戸時代に、ナウって英語が使われますかぁ?」
あ、また神凪にバカにされた。くそっ、腹立つ。
「使わないか?」
「使わないでしょ。で、荒菅神様。『バイなら』を教えてもらったのって、いつですか?」
「うーむ。30年くらい前だ。ついこの前だぞ」
そんな昔の流行語、知るかいーっ!
神様にとって30年って、ついこの前なんだ! 新たな発見だ。
「あの……荒菅神様。今は『バイなら』は誰も知らないです。それに『ナウい』も古すぎるから、やめといた方がよろしいかと……」
「なにぃ? 私としたことが。流行遅れになっていると申すのか?」
「は、はい。言いにくいけど」
神凪は恐縮してる。
いや、そんな遠慮しなくても。
流行語を使おうとする神様の方がおかしいだろ。なんだ、このおっさん。
「では巫女。今の流行語を教えてくれ」
「神様のくせに、ええ加減にせえ!」
俺は関西人でもないのに、思わず関西弁でおっさん神にツッコミを入れてた。俺の裏拳が、おっさん神の肩にバシッと音を立ててヒットした。
気品溢れる神様だと思ってたのに、えらく俗なことを言うんだな。見損なったよ。
「これ、少年よ。神を気軽に叩くでない。冗談に決まっておろうが」
あ、真面目に怒ってる。目つきが鋭くて怖い。
「ご、ごめんなさい」
くそっ。威厳に負けて、つい謝ってしまった。このおっさん、真面目なのかふざけてるのか、よくわからん。やだよ、こんな神様。
「まあ、わかればよい。これからもよろしくな」
おっさん神はそう言い残して、突然宙に浮かび上がって、凄い勢いで天上高く飛び上がっていった。
こりゃまた急に帰ってったな。変なヤツ。神凪もきょとんとしてるよ。
そして残されたのはロリ神様。
こいつ、ホントに役に立つんだろうか?
「じゃあ俺たちも帰ろうか」
「そ、そうね」
なんかロリ神様が俺たちをじっと見つめてるから、早く離れたくてそう言った。
「あ、そうだ天心君。あ、あの……せっかく出てきたんだから、このまま帰るのって、もったいなくない?」
「えっ? どゆこと?」
「ちょっとカフェでも行きたいなぁ……って。この後予定ある?」
「いや、別にないけど」
「じゃあ、何か飲みたいでしょ?」
「いや、別に」
「飲みたいよ、ねぇ!」
なぜだかわからんが、神凪がギロっと睨んだ。──怖い。
「あ、そうだね。ちょっと飲みたくなってきたかな?」
「だよねー! じゃあ行こっか。天心君が何か飲みたいなら、仕方ないから付き合ってあげるよ」
なに? 最初にカフェに行きたいって言い出したのは神凪だよな? それがなんで、俺のために付き合ってやるってことになるんだ?
「かふぇ……ってなに?」
呟きが聞こえてロリ神様を向くと、俺たちをじっと見つめてる。興味津々って表情だ。
「カフェってのはコーヒー……いや、お茶を飲む場所だよ、ロリ神様」
「ろり神様? ワシの名は豊姫美じゃ。ろりってのはどういう意味じゃ?」
「あの、えっと……そうそう。すっごく可愛いって意味だよ」
「すごく可愛い? ワシがか?」
ロリ神様は怪訝な顔をしてる。
「ああ、そうだけど……100歳の神様に向かってごめんな」
機嫌を損ねたのかと思って謝ったら、ロリ神様は急に、にんまぁと笑顔になった。
「いや、ワシは可愛いと言われるのは大好きじゃ。苦しゅうない。もっと言え」
「は?」
このロリ神様、よく見たらまつ毛が長いぱっちりお目めだし、子役タレントにいてもおかしくないような、かなり可愛い小学生って感じだ。
「かなり可愛いっすよ」
同世代の女の子には恥ずかしく言えないけど、見た目小学生のこいつになら、なんの躊躇もなく可愛いって言葉が出た。
「そ、そっか? いやぁ、それほどでも……」
ロリ神様は顔を真っ赤にして、落ち着きなく髪や顔を触って、めっちゃ照れてやがる。神様のくせに変なの。
だけどマジで可愛いな。
しかし見た目が小学生で中身が100歳と考えると気分は複雑だ。果たして可愛いという感情を持っていいのだろうか? なんだか俺、変態っぽいぞ。
「天心君、こんなバカはほっといて、カフェ行こ」
あたふたと照れるロリ神様を前にして、待ちくたびれたのか、神凪が俺の服の裾を引っ張る。
「そうだな。そろそろ行くか」
その言葉を聞いて、急にロリ神様が真顔になった。
「その、かふぇとやらにワシも連れてけ」
えっ? 好奇心旺盛な神様だな。コーヒーとか飲ませたら、にが~いとか悶絶しそうで、面白いかも。
「ああ、いいけど」
「ダメ~! 絶対だめ!」
神凪が急に大声を出して、両手を激しく左右に振って拒否ってる。
「え? いいだろ?」
「ダメよ。こんな和装の女の子を連れてったら、何者なんだと注目の的になる」
「それもそっか」
「何を言っとる巫女よ。ワシの姿はお前ら以外には見えんだろ。だから問題ない」
「あ……」
神凪が固まった。そんな勘違いをするなんて、神凪らしくない。
「じゃあ、いいじゃん。人間界に興味があるみたいだし」
「ええ~っ? せっかく天心君と二人っき……」
神凪はぷーっと頰を膨らませて、何やらぶつぶつ文句を言ってる。
声が小さくて最後の方は聞き取れなかったけど、神凪はなんでそこまでロリ神様を嫌がるんだ?
一方でロリ神様はまたにんまぁと笑って、楽しそうに俺たちについてきた。
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