同級生で美少女の巫女さんが、陰キャの俺に興味を持って追いかけてくるのは何故なのか?

波瀾 紡

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【25:意外な人物】

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 こんなカッコで出かけてたのをお父さんに見られたら、なんて言われるかわからないから、さっさと自分の部屋に戻って着替えよ。

 そう考えて、格子戸の玄関扉を静かに開ける。ロリ神様をチラッと横目で見て、玄関内に入った。

 すると廊下には、ちょっと意外な人物が立ってた。

「あ、さくら。お帰り~!」

 二年前に東京の大学に行って、家を出ている姉の梅子うめこ。私と姉で梅と桜。会うのは正月以来だ。

 ロリ神様が横から「誰?」って訊くけど無視する。

「あ、お姉ちゃん。帰って来てたの?」

 姉は私の体を上から下までじろじろ見て、にやっと笑ってる。
 ロリ神様が「お前の姉か」と呟く。

「さくら、今日はデートだったのかぁ?」
「え?」

 いきなり何よ?
 やっぱり服装に気合いを入れすぎたかな?

「違うし」
「へぇ~ さくらがそんなに気合い入れた服で出かけるなんて、珍しいなぁ」
「私だってたまには、可愛いカッコしたいと思うって。おかしい?」
「うん、おかしい、おかしい」

 姉はお腹を抱えて、けらけら笑ってる。なんでそんなにおかしいの?

「そんなカッコで女の子と出かけたら、ナンパされまくりでしょ。さくらがそんな餌を撒き散らかすとは思えない。男とお出かけでしょ?」

 いや、図星だけど……

 餌を撒き散らかすって何よ?

「へぇ、彼氏ができたんだぁ」
「だから違うって!」

 姉は梅子なんてお婆さんみたいな名前だけど今風の美人で、私と違って恋愛経験も豊富。だから、恋愛に関しては変に勘が鋭いところがある。

 見抜かれないように、100%防御態勢で臨もう。

「ふぅん。じゃあまだ彼氏になる前の、さくらが狙ってる男とのお出かけか!」
「え? いや、ぜ、全然違うし! 天心君は、そんなんじゃないし!!」
「へぇ、その彼、天心君って言うんだー」
「あ……」

 あっという間に見抜かれた。
 私って、へっぽこ間抜け。防御力低っくぅ。

「あの、お姉ちゃん。確かに今日は天心君って男の子と出かけてたよ。だけど言っとくけど、私が狙ってる男なんかじゃないから」
「へぇ、じゃあどんな男の子?」

 一緒に貧乏神を確認しに行ったって話は、できないな。お姉ちゃんには神とか見えないし。

 お姉ちゃんも高校を卒業するまでは巫女をしてた。お姉ちゃんが卒業して、私が高2になった時に、入れ替わりで私が巫女をするようになった。だけど今まで、お姉ちゃんが神様や霊が見えるって話は聞いたことがない。

「天心君が私を好きみたいで、どうしてもって言うから、仕方なしに出かけてやったのよ。おほほー」
「ふぅん。その割に、男を落としてやる気満々の服装だけど?」
「いや、だから、それは違うって!」

 姉はすべてを見透かすように、にやにやしてる。っていうか、確実に見透かされてるな、これは。

「天心がお前を好き? ホントか? 全然そんな風には見えなかったぞよ」

 横からロリ神様がうるさい。

 姉に気づかれないように、さりげなくロリ神様の後頭部をバシッと殴ってやった。ロリ神様は「イテテ」と頭をさすってる。

「さくらがそう言い張るなら、まあいいや。せっかく男の子の心をガッチリつかむ秘訣をアドバイスしてあげようと思ったけど……必要ないね」
「え?」

 うわっ、どうしよう?

 お姉ちゃんのアドバイス、めっちゃ聞きたーい! 聞きたい、聞きたい、聞きたーい。

 だけど教えてって言うのは恥ずかしいし、姉の思う通りだってバレたら悔しすぎる。

「そ、そうね。そんなの私には必要ない」
「これ巫女よ。ホントにそうなのか? ワシには天心がお前を好きというより、お前が天心にまとわりついてるように見えたがの」

 くそっ。コイツにも見抜かれてるなんて。

「だ、ま、れ」

 口パクでロリ神様を睨んでやったら、しゅんとした顔をした。

「ふぅん。さくらって、素直じゃないんだもんなぁ。普段も表では清楚な女の子を装ってるし」

 お姉ちゃんは相変わらずにやにやして、気分悪っ。

 ──でも、そんなの自分でもわかってる。

 もっと素直になれたらいいなって思うけど、そんな簡単にはいかないんだって。

 天心君にだって、ついつい憎まれ口を叩いてしまったり、自分を良く見せようとするとキョドるし。

 天心君の態度や言葉に一喜一憂して、すぐに落ち込んだりテンション上がったりするし、バカみたい。

 ああ、こんな気持ちは初めてだから、どうしたらいいのか、もうわかんないっ。今まで自分の理想の『霊力が強い男性』なんて、一人も出会わなかったからなぁ。


「ところでさくら。その天心君っていう子とデートするの何回目?」
「だーかーらー。デートじゃないって」
「わかったわかった。二人きりで会うのは何回目?」
「えっと……初めて、かな」
「ふーん。じゃあその服装は失敗じゃないの?」

 え~っ!? なんで?
 精一杯可愛いカッコをしたつもりなのにぃ!

「まぁまぁ。そんなに青ざめた顔をしないの! さくらはウブだねぇ。すぐ顔に出る」

 くそっ。子供扱いされてる。でも言い返す言葉がない。

「なんでか、聞きたい?」

 お姉ちゃんのにやにや顔が腹立つ~!
 でも──

「き、き……」
「ほれ、ほれ。聞きたいって素直に言え!」
「き、き……」
「ほれ、ほれっ」

 あーっ、もうっ! なんでそんなに私をバカにするのよぉ。

「き、聞きたくもないけど、お姉ちゃんがどうしても言いたいなら、聞いてあげてもいいよ。へへへーっ」
「はぁっ?」

 お姉ちゃんは教えたがりだから、これで教えてくれるでしょ。ふふふ。

 さあ、言え! さあ、吐け!

「じゃあ、いいや。別にどうしても教えたいわけじゃないし。さくらが誰とどうしようが、私にはまったく興味ない」

 ええっ!? まさかの作戦失敗?
 しまった。素直に教えてくださいって言えば良かったかー?

 偉そうに言ってしまったし、今さら教えてっていうのは、恥ずかしさマックス。

「まあとにかく、さくら。早く着替えておいで。もしお父さんが帰ってきてそのカッコを見たら、パニックになってひっくり返るよ」

 あ、そうだった。
 お姉ちゃんの話には後ろ髪引かれるけど、とにかく着替えなきゃ。




 二階にある自分の部屋に入って、Tシャツとミニスカートを脱ぐと、ロリ神様がしげしげと私の身体を眺める。

「ほぉ、おぬし、なかなかいいスタイルをしとるなぁ」

 そう? おほほー
 アンタに褒められても嬉しくないわー
 おほほー

 って私、喜んでるし。アホだ。

「ねぇロリ神様。泊めてやるけど、変なことは言わないでよ」
「変なこと? ワシは変なことなど言わん。今まで言ったこともない」

 自覚ないのかコイツ?
 呆れて言葉が出ないわ。

「それにワシが話すことなんて、他の者には聞こえないんだから、気にすることもないじゃろ」
「横で変なこと言われると、気になるんだって。とにかく黙ってて!」
「わ、わかったのじゃ」

 ロリ神様はしゅんとしてる。ちょっと悪いことしたかな? コイツも案外、素直なところがあるわね。


 地味なグレーのパーカーと五分丈のショートパンツに着替えて、下の居間に下りていくと、姉はロングソファにふんぞり返ってテレビを見てた。
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