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【40:明日ヒマ?】
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さくらが急に俺と日和に、明日の土曜日はヒマかと訊いてきた。さくらはさっき、明日は二階堂と会う約束をしてたのになぜだろう?
「私はヒマだよぉ。何があるの?」
「二階堂君が神社に興味があるから、、明日朝10時にウチに参拝に来たいって言うの。彼と二人で会うのもなぁ、って思って。天心君や日和ちゃんも来てくれたら嬉しいな」
あ、さっきの約束は、そういうことだったのか。デートの約束だなんてとんだ勘違いだ。一人で勘違いしてやきもきしてるなんて情けない。
「わぁ、いくいくー! さくらちゃん家の神社、見てみたーい」
「天心君は?」
「あ……行く!」
「良かった」
さくらはにっこり微笑んでる。さっき二階堂とデートなんて、疑って悪かった。俺ってやっぱりちっちゃい人間だよな。
「そうだ、さくらちゃん。明日午後から天心君が、ジェラート奢《おご》ってくれるってぇ。一緒に行かなぁい?」
「わあ、やった! 行く行く!」
え? 俺、奢るなんて言ったっけ?
──って思ったけど、大喜びでハイタッチしてる二人を見たら、何も言えなくなったよ。
「あ、それとさ、天心君。ライン交換しない?」
「えっ?」
さくらはスマホを取り出した。急にどうした?
「日和ちゃんとはゴールデンウィークに交換したし、さっき二階堂君が明日のことがあるからって、交換したんだ」
えっと……ラインとか苦手で、俺はほとんど使ってないんだけど、ライン交換する意味があるのかな?
「だから満を持して、天心君と交換!──ってわけだぁ」
「満を持して?」
さくらは急におちゃらけた感じで言った。
満を持してって、どういう意味で言ってるんだ?
さくらは右手を伸ばして、スマホのライン画面を俺に見せるように突きつけてる。
「ま、そういうことなんだけど……ダメ?」
さくらが眉を八の字にした申し訳なさそうな笑顔で、小首をこくんと傾けた。こんな美少女がそんな表情をしたら、さすがに可愛い。
「天心くぅん。さくらちゃんは先に二階堂君とライン交換したから、天心君に申し訳ないと思ってるですよぉ」
ホントに? そうなのか?
それにしても日和がさくらをフォローするなんて、どんだけ仲良くなってるだよコイツら。
「えっ? ああ、そうなの? 全然申し訳なくないけどなぁ、あはは、いいよ」
ラインとかしたことないから、さくらに教えてもらいながらたどたどしく画面を操作して、ようやく『さくら』って名前がアプリに現れた。
さくらの花びらの画像がアイコンだ。アイコンって名前くらいは俺も知ってる。
さくらから、人生初の女の子からのメッセージが届いた。『これからもよろしく』っていう文字と、お辞儀してるウサギのイラスト。なんか恥ずかしいけど、『こちらこそ』って文字を返した。
さくらは満足そうにスマホ画面を眺めてる。俺もさくらと繋がりができたようで、嬉しい。
日和が「私も」って言うんで、日和ともライン交換した。なんと俺のスマホに、家族以外の連絡先が入るなんて、今日はなんて超レアな日だ。
◆◇◆
翌朝、さくらの神社に行くために、日和が家に迎えに来た。玄関を出ると、今日の日和は白っぽいワンピース姿だった。
神凪神社は歩いて20分くらいだから、一緒に並んで歩く。
「天心君は、昨日の夜はさくらちゃんにラインを送りましたかぁ?」
突然日和が訊いてきた。
「いや、してないけど」
「なんでしないんですかぁ?」
「なんでって……ラインって交換した夜には送らなきゃダメってルールがあるのか?」
そんな取り決めがあるなんて、ライン恐るべし!
「そうじゃないですけど、普通あの流れなら、仲良くなるために送りませんかぁ?」
「えっ?」
どういうことだ? なんで突然日和がそんなことを言うんだよ。
「天心君は、さくらちゃんのことをどう思ってるんですかぁ?」
なんという突然で、どストレートな質問なんだ! 胸がどくんとした。日和は真顔だし、冗談じゃなさそうだ。
「なんで日和がそんなこと聞くんだ?」
「天心くーん。質問に質問で返しちゃダメですよぉ」
うわ。なんかそのセリフ、母親に言われたことある。今日の日和は、なんか厳しい。
「さくらのことは……友達だな」
「それだけ?」
「あ、ああ。そうだよ」
横を歩きながら日和は俺の目をじっと見つめてる。やっぱり真顔。
「天心君は、ちゃんと本音を伝えることと、それと相手の気持ちをちゃんと考えて話をしなきゃダメです」
「えっ?」
「ながーく天心君のことを見てるけど、それが全然成長してないです」
ちょい待て。ホントに日和はどうしたんだ? 今までこんなこと言われたことない。しかもいつもより、しっかりした話し方だよ。
「あの、日和」
「なんですか?」
「なんで急に、そんなこと言うんだ?」
「ゴールデンウィークにさくらちゃんと色々お話ししたし、他にも色んな事情があるのでス」
そうなんだ。二人凄く仲良くなってるけど、俺のことも話題に出たのか。
「さくらと色々ってなに?」
「女の子同士のお話だから、内緒ですよ」
えぇ? 日和はニヤッと笑ってる。それならば最初から内緒にしといて欲しかった。色々話したって聞いたら、気になるじゃないか。
「他にも色んな事情ってなんだよ?」
「それも内緒です。でも天心君が、いい加減大人にならなきゃダメなのは、間違いないです」
それはそうかもしれない。返す言葉がない。
ロリ神様に『自信がなければ大切な人を見放すのか?』って言われて、邪々神に立ち向かった時には、俺は自分の殻を少しは破れた気になった。
だけど日々の付き合いでは、まだまだ大切な人を大事にするどころか、俺はいつも自分に自信がなくて逃げてばっかりだ。
「私の言うこと、間違ってますかぁ?」
日和はまたいつもの柔らかい口調に戻って、笑顔で俺の顔を見てる。
「いや、間違ってない。日和の言うとおりだ」
「じゃあさくらちゃんに、天心君の気持ちをしっかり伝えてくださいねぇ」
「あ、ああ。そうだな」
「今からさくらちゃんに会ったら、二人になれるようにしますから、その時に話してくださいね」
「えっ? いきなり今日なのか? 明日とか明後日とか……」
「ダメですよぉ。明日になっても何も変わらないですよ。先延ばしして逃げてるだけでス」
確かに。日和の言うとおり。逃げずにちゃんとするって言ったそばからこれだよ。ダメダメじゃん、俺。
「私はヒマだよぉ。何があるの?」
「二階堂君が神社に興味があるから、、明日朝10時にウチに参拝に来たいって言うの。彼と二人で会うのもなぁ、って思って。天心君や日和ちゃんも来てくれたら嬉しいな」
あ、さっきの約束は、そういうことだったのか。デートの約束だなんてとんだ勘違いだ。一人で勘違いしてやきもきしてるなんて情けない。
「わぁ、いくいくー! さくらちゃん家の神社、見てみたーい」
「天心君は?」
「あ……行く!」
「良かった」
さくらはにっこり微笑んでる。さっき二階堂とデートなんて、疑って悪かった。俺ってやっぱりちっちゃい人間だよな。
「そうだ、さくらちゃん。明日午後から天心君が、ジェラート奢《おご》ってくれるってぇ。一緒に行かなぁい?」
「わあ、やった! 行く行く!」
え? 俺、奢るなんて言ったっけ?
──って思ったけど、大喜びでハイタッチしてる二人を見たら、何も言えなくなったよ。
「あ、それとさ、天心君。ライン交換しない?」
「えっ?」
さくらはスマホを取り出した。急にどうした?
「日和ちゃんとはゴールデンウィークに交換したし、さっき二階堂君が明日のことがあるからって、交換したんだ」
えっと……ラインとか苦手で、俺はほとんど使ってないんだけど、ライン交換する意味があるのかな?
「だから満を持して、天心君と交換!──ってわけだぁ」
「満を持して?」
さくらは急におちゃらけた感じで言った。
満を持してって、どういう意味で言ってるんだ?
さくらは右手を伸ばして、スマホのライン画面を俺に見せるように突きつけてる。
「ま、そういうことなんだけど……ダメ?」
さくらが眉を八の字にした申し訳なさそうな笑顔で、小首をこくんと傾けた。こんな美少女がそんな表情をしたら、さすがに可愛い。
「天心くぅん。さくらちゃんは先に二階堂君とライン交換したから、天心君に申し訳ないと思ってるですよぉ」
ホントに? そうなのか?
それにしても日和がさくらをフォローするなんて、どんだけ仲良くなってるだよコイツら。
「えっ? ああ、そうなの? 全然申し訳なくないけどなぁ、あはは、いいよ」
ラインとかしたことないから、さくらに教えてもらいながらたどたどしく画面を操作して、ようやく『さくら』って名前がアプリに現れた。
さくらの花びらの画像がアイコンだ。アイコンって名前くらいは俺も知ってる。
さくらから、人生初の女の子からのメッセージが届いた。『これからもよろしく』っていう文字と、お辞儀してるウサギのイラスト。なんか恥ずかしいけど、『こちらこそ』って文字を返した。
さくらは満足そうにスマホ画面を眺めてる。俺もさくらと繋がりができたようで、嬉しい。
日和が「私も」って言うんで、日和ともライン交換した。なんと俺のスマホに、家族以外の連絡先が入るなんて、今日はなんて超レアな日だ。
◆◇◆
翌朝、さくらの神社に行くために、日和が家に迎えに来た。玄関を出ると、今日の日和は白っぽいワンピース姿だった。
神凪神社は歩いて20分くらいだから、一緒に並んで歩く。
「天心君は、昨日の夜はさくらちゃんにラインを送りましたかぁ?」
突然日和が訊いてきた。
「いや、してないけど」
「なんでしないんですかぁ?」
「なんでって……ラインって交換した夜には送らなきゃダメってルールがあるのか?」
そんな取り決めがあるなんて、ライン恐るべし!
「そうじゃないですけど、普通あの流れなら、仲良くなるために送りませんかぁ?」
「えっ?」
どういうことだ? なんで突然日和がそんなことを言うんだよ。
「天心君は、さくらちゃんのことをどう思ってるんですかぁ?」
なんという突然で、どストレートな質問なんだ! 胸がどくんとした。日和は真顔だし、冗談じゃなさそうだ。
「なんで日和がそんなこと聞くんだ?」
「天心くーん。質問に質問で返しちゃダメですよぉ」
うわ。なんかそのセリフ、母親に言われたことある。今日の日和は、なんか厳しい。
「さくらのことは……友達だな」
「それだけ?」
「あ、ああ。そうだよ」
横を歩きながら日和は俺の目をじっと見つめてる。やっぱり真顔。
「天心君は、ちゃんと本音を伝えることと、それと相手の気持ちをちゃんと考えて話をしなきゃダメです」
「えっ?」
「ながーく天心君のことを見てるけど、それが全然成長してないです」
ちょい待て。ホントに日和はどうしたんだ? 今までこんなこと言われたことない。しかもいつもより、しっかりした話し方だよ。
「あの、日和」
「なんですか?」
「なんで急に、そんなこと言うんだ?」
「ゴールデンウィークにさくらちゃんと色々お話ししたし、他にも色んな事情があるのでス」
そうなんだ。二人凄く仲良くなってるけど、俺のことも話題に出たのか。
「さくらと色々ってなに?」
「女の子同士のお話だから、内緒ですよ」
えぇ? 日和はニヤッと笑ってる。それならば最初から内緒にしといて欲しかった。色々話したって聞いたら、気になるじゃないか。
「他にも色んな事情ってなんだよ?」
「それも内緒です。でも天心君が、いい加減大人にならなきゃダメなのは、間違いないです」
それはそうかもしれない。返す言葉がない。
ロリ神様に『自信がなければ大切な人を見放すのか?』って言われて、邪々神に立ち向かった時には、俺は自分の殻を少しは破れた気になった。
だけど日々の付き合いでは、まだまだ大切な人を大事にするどころか、俺はいつも自分に自信がなくて逃げてばっかりだ。
「私の言うこと、間違ってますかぁ?」
日和はまたいつもの柔らかい口調に戻って、笑顔で俺の顔を見てる。
「いや、間違ってない。日和の言うとおりだ」
「じゃあさくらちゃんに、天心君の気持ちをしっかり伝えてくださいねぇ」
「あ、ああ。そうだな」
「今からさくらちゃんに会ったら、二人になれるようにしますから、その時に話してくださいね」
「えっ? いきなり今日なのか? 明日とか明後日とか……」
「ダメですよぉ。明日になっても何も変わらないですよ。先延ばしして逃げてるだけでス」
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