同級生で美少女の巫女さんが、陰キャの俺に興味を持って追いかけてくるのは何故なのか?

波瀾 紡

文字の大きさ
50 / 56

【50:ジェラートを食べにさくらを誘う】

しおりを挟む
 日和がトイレに行って、たまたまさくらが席で一人になった。これがさくらをデートに誘うチャンス。俺は隣の席のさくらに、がんばって声をかけた。

「な、なあさくら。めっちゃ心配かけたお詫びをしたいと思ってるんだ」
「えっ? そんなのいいのに。天心君が無事に帰ってきてくれただけで充分」

 さくらは小首を傾げて、ニコリと笑う。なんて健気けなげなこと言うんだ。可愛いすぎるじゃないか。

 でもそれじゃあ、お詫びができないし、俺のデートをしたいという思いは遂げられない。

「そ、それにさ。ジェラートを奢るって約束も果たせてないし」
「あっ、そうだね。ジェラート食べたいな!」
「だろ? だから今度の日曜日にでも、行くか?」
「うん」

 よっしゃ! プレゼントを買うとかは、当日言えばいい。とりあえず二人で出かける約束を取ることが先決だ。

「じゃあ日和ちゃんにも声をかけなきゃ、だね」

 えっ? ちょい待ち! 日和は別だ。今回はさくらと二人で出かけることに意味があるんだ。ちゃんとさくらに、二人で行こうって言わなきゃ。

「あの、ふたっ……ふたっ……」

 二人で行こう。そう、簡単な言葉だ。

「えっ? なに?」
「ふたっ……ふたっ……」
「ああ、お弁当の蓋が開けっ放しだったね。ありがと。ちゃんと閉めてからしまうから」

 さくらはにっこり笑って、弁当箱を片づけてる。いや、そうじゃないし! 二人で出かけようって言うんだ!

「あ、あの……」
「ただいま、ですぅ」

 うわっ、後ろから日和の声が聞こえてきた。もう日和が帰ってきてしまった。早すぎるぞ日和! ちゃんと言えなかったじゃないか。

 こりゃ、さくらを誘うのは放課後にするしか仕方ない。

「おかえり、日和ちゃん。あのね、天心君がこの前約束したとおり、ジェラートを奢ってくれるって。今度の日曜日。どう?」
「わーい、全然大丈夫ですぅ!」

 ええーっ!? ちょっと待ってくれ! それを日和に言わないでくれよ!

 ──って心の中で叫んだって、既に日和に伝わってしまったものを、今さら打ち消すわけにいかない。

 ああ、せっかく人生初のデートが実現するかと思ったのに、先送りにするしかない。取りあえずジェラートは日和も一緒に行って、さくらと二人で出かけるのはまた別の機会を作ろう。

「あれ? 天心君、顔色が悪いみたいだけど大丈夫? どうしたの?」

 さくらが俺の顔を覗き込んできた。そりゃ、顔色も悪くなるってもんだ。

「あ、いや、大丈夫だ。俺は至って大丈夫だ、あはは」

 こんなタイミングで日和が戻ってくるなんて、やっぱり俺は運が悪い。ホント、この世に神はいないのか!? 

 日和はにっこり笑って「楽しみだぁ~」と言ってるけど、俺には日和の声がどこか遠くで聞こえてるような気がした。



◆◇◆

 日曜日になった。結局さくらと日和と三人でジェラートを食べに行くことになって、さくらとは最寄りの駅で待ち合わせて駅近くのジェラート屋さんに行くという約束をした。

 日和は朝から俺んに迎えに来て、一緒に駅まで歩いていく段取りになってる。家で待ってるとインターホンが鳴って、日和が迎えに来たようだ。俺は玄関をガチャリと開けた。

 ──おぉっ?

 日和の姿をひと目見て、思わず声が出そうになった。前回出かけたときも日和は可愛らしい格好をしてたけど、今日はそれにも増して可愛い。

 ノースリーブで首のところが長めの、身体にフィットした黒っぽいニットシャツは、日和の豊かな胸が強調されて目のやり場に困る。下は今日は膝下あたりの長さの、太めの幅のパンツスタイルだ。

 ああ、前のミニスカートの方が目の保養になったけど、今日みたいにちょっと大人っぽい雰囲気で、かつ胸がぼよよんとしたファッションもいいなぁ。


 ──って、俺はいったい何を考えてるんだ! 今日の俺のメインの目的はさくらと一緒に過ごすことだ。

 日和はあくまでオマケ。定食で言ったらパセリ。いくら美味しそうなパセリだからと言って、パセリに心ときめかすヤツはいないだろ?

 あ、いや日和をパセリと呼ぶのは失礼か? いやいや、さくらがメインディッシュの俺にとっては、日和はあくまでパセリなのだ。

 え? さくらがメインディッシュって、別に俺はさくらを喰っちまおうなんて思ってるわけじゃない。それはわかってくれ。

 ん? 俺はいったい誰に言い訳してるんだよ?


 ──ああ、もうワケがわからなくなってきたー!!


「天心君はなんで黙ったまま、私を頭から足の先までジロジロ見てるんですかぁ?」
「あ、いや……ジロジロなんか見てない!」」
「そうですかぁ?」
「見てないったら見てない!」
「まぁ天心君がそう言うなら、そういうことでいいでス。じゃあいきましょー」

 日和は突然ぴょんと飛んで俺に近づくと、にやにやしながら俺の左腕に彼女の右腕を絡ませてきた。

「ちょっ、日和。何するんだ?」
「腕を組んでるんですよぉ~ さあ、行きましょう」

 日和はなんら気にすることない様子で歩き出した。腕を組まれてるから引っ張られて、俺も仕方なしに一緒に歩き出す。

「ジェラート、楽しみですねぇ」

 日和はホントに楽しそうに喋ってる。

 だが。しかし。俺は気が気ではない。なぜならば──

 俺の左腕に当たる、ぽよぽよと柔らかくて温かい感触。これは間違いなく。日和のおっぱ……いや、胸だろ?

 ああ、永遠にこうしていたい……って、ちょっと待て、俺!!
 だめだだめだ! 今からさくらと会うのに、こんなスケベな気持ちでどうするんだ?

「お、おい日和」
「なんですかぁ?」
「腕を組むのは、やめないか?」
「ええっ? 暑苦しくて気持ち悪いですかぁ?」

  ──いや、むしろ気持ちいい。

 いや、だからそうじゃなくて!

「そうじゃないんだけど……」
「そうじゃないんなら、もしかして天心君は私のことが嫌いなんですかぁ?」

 泣きそうな声に驚いて日和の顔を見ると、眉を八の字にして顔まで泣きそうだ。

「あ、いや、だから、そうじゃなくて!」
「じゃあ天心君は、私のこと好きですかぁ?」
「あ、ああ、好きだよ。日和は昔から俺のことを気にかけてくれるし、好きだよ」
「やったぁ~ 私も天心君のことが好きですよぉ。じゃあ腕はこのままでいいですねぇ」

 日和はにっこりと笑ってる。確かに日和は可愛いし、そしていいヤツだ。幼なじみの友達として好きだ。だけど、だから腕を組むとかいうことじゃないだろ?

「あ、あのさぁ日和」
「なんですかぁ?」
「日和は俺に、ちゃんとさくらに気持ちを伝えるように、仕向けてくれたよな?」
「そうですよぉ~」
「ということは、俺がさくらと付き合うのを応援してくれてるんだよな?」
「そうなりますねぇ」

 日和はにこにこしながら答えてる。俺が日和の気持ちを、勘違いしてるわけじゃなさそうだ。ならばなぜ、日和はこんな態度を取るんだ? 理解不可能だ。

「じゃあそんな日和がなぜ、こんなふうに俺にくっつくんだ?」
「今はさくらちゃんがいないから、いいじゃないですかぁ。私もさくらちゃんの前では、こんなことしませんよぉ」
「はっ?」

 どゆこと? やっぱり理解不可能。日和はどういうつもりなんだ?

「日和、俺をからかってるのか?」
「いいえ。私がこうしたいから、こうしてるんですぅ」

 ああ、理解できない! 俺が理解できるのは……


 左腕に感じる日和のおっぱいの感触が、この上なく気持ちいいということだけだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...