同級生で美少女の巫女さんが、陰キャの俺に興味を持って追いかけてくるのは何故なのか?

波瀾 紡

文字の大きさ
51 / 56

【51:三人でジェラート】

しおりを挟む
◆◇◆

 あと二、三分でさくらと待ち合わせしてる駅に着くという頃、日和は急に俺の腕から離れた。さっき言ってた『さくらの前ではこんなことはしない』というのは、どうやら本気のようだ。

 さくらに不審感を与えなくて済んでホッとした。だけどさっきまで日和の体温で温かかった左腕が、妙にスースーする。ああ、至福の時間は終わってしまった。

 ──って、だから俺よ! そんなことを思うなっつーの! さくらに申し訳ないだろ。




 駅に着くと、さくらは先に来て待っていた。俺らの姿を見つけて、笑顔で両手を大きく振る。

「日和ちゃん、天心君、おはよっ」
「さくらちゃん、おはよ~ですぅ」

 二人がハイタッチしてる。ホントに仲良くしてるなぁ。

 さくらは俺にニコッと笑顔を向けた。

 ──あ、可愛い。

 どきりとした。

「じゃ、じゃあジェラート屋さんに行こうか」
「はぁい、行くですぅ~」

 俺はさくらに向かって言ったつもりだけど、なぜだか日和が嬉しそうにバンザイしてる。まあ、いっか。


 駅から歩いてすぐのところにあるテイクアウトのジェラート屋さんに移動して、三人分のジェラートを注文した。

 俺はオーソドックスなバニラ味だけど、さくらは焼き芋味、日和はたい焼き味を注文。二人ともなんだか変わった味が好きだな。

  ジェラートを受け取って、近くの公園に行って、俺を真ん中に三人並んでベンチに座った。

「天心君、いただきまーす」
「天心くーん、いただきますですぅ」

 二人とも楽しそうで良かった。

 ──とか言いながら、やっぱりついつい左側に座るさくらの顔を眺めてしまう。

 小さなピンク色の舌をチロチロと出してジェラートを舐めてるさくらの横顔を眺める。可愛い。

 じっとさくらの舌に見入ってしまった。なんだかちょっとエッチだ。

 いかんいかん。俺は何を妄想してるんだ。でも健康な高校生男子なんだから、仕方ないよなー!
 ──と、自分で自分に言い訳してみる。

「美味しい~」

 顔をくしゃっとして、さくらが味を噛みしめてる。そして俺を向いて「天心君、ありがとう」とニコッと笑った。

「よかった。そんなに喜んでくれるなら、またいつでも奢るよ」
「ホントっ!? やったぁ!」

 満面の笑みで喜んでるさくらに、俺も笑顔を返した。

「美味しいですぅ~!」

 右側に座る日和からも声が聞こえた。だけどあえて、すぐには振り向かないでおこうと思って、さくらの顔を見続ける。

「美味しいですぅ~」

 また日和の声が聞こえた。明らかに日和は俺の気を引いて、『また奢る』って言わせたいようだ。面白いから、あえてまだ振り向かない。

「美味しいですぅ~!!!!」

 ひときわ大きい日和の声が聞こえたかと思うと、後頭部にバシンと衝撃が走った。

「いってぇ~ こら日和! なんで俺の頭を叩くんだよっ!」

 後頭部を押さえながら日和の方に振り向くと、ほっぺたをぷっくぅと膨らませてる日和の顔があった。

「だってぇ、天心君が無視するからぁ~」
「あ、すまんすまん。気がつかなかったよ」
「こんな近くで、気づかないはずはないですぅ」
「そうだよ天心君。日和ちゃんがかわいそうだよ」
「あ、ごめん」

 あ、さくらにまで叱られた。

 日和には悪いけど……日和はいい奴だけど……

 ホントに日和には申し訳ないんだけど、今日ほど日和を邪魔だと思ったことはない。
 なんだか日和は、俺がさくらといい雰囲気になるのを邪魔しようとしてる気がする。

 気のせいだろうか?

 以前の日和は、俺がさくらと上手くいくようにあんなに応援してくれたのに、今日の日和は邪魔しようとしてるとしか思えない。

 今日ここに来る時も、最後は日和にごまかされてよくわからないけど、日和は俺のことを好きだと言った。

 これってホントに日和は俺のことをラブという意味で好きで、さくらと仲良くすると嫉妬してるってことなのか?

 マジで!? 俺の人生史上、最大のモテ期が来てるとか!?

 マジか? マジか? マジか?

 いや待て、俺。浮き足立つんじゃない! 落ち着け。あんまり浮かれてると、さくらに嫌われてしまうぞ。

 日和は単に俺を幼なじみとして好きなんであって、今日のこいつの言動は俺をからかってるだけだ。そうに違いない。

 俺は大きく深呼吸して、妄想を頭の中から追い出した。そして、今日これからどう行動したらいいかを考える。


 そうだ! 日和には悪いけど、ジェラートを奢る約束は果たしたんだし、これで一旦解散にしよう。そしてその後は、さくらと二人きりで会うんだ。

 おおっ、いい考えじゃないか!! あとはそれをどう実現するか、日和に不審がられない方法を考えないといけない。

 あっ、そうだ!

「さぁ、ジェラートも食べたし、そろそろ帰ろうか!」
「えっ? もう帰るの?」
「ああ。ちょっとお昼に親から頼まれてる用事があってさ。帰らないといけないんだ」
「ええ~っ、せっかく出てきたのに、もう帰るなんて嫌ですぅ」
「もうちょっとくらい、いいでしょ?」

 さくらは寂しそうな顔をしてる。あとでもう一度出直して、二人で会うつもりだから許してくれ。

「いや、準備もあるし、もうそろそろ帰らないと……」

 いや、いったいなんの準備なんだよ!
 ──って自分でも思うけど、単なる言い訳だからどうでもいいや。

「じゃあ天心君だけ、先に帰ってくださいねぇ」
「へっ?」
「さくらちゃーん。今から二人で映画でも観に行きませんかぁ!?」
「あ、いいね日和ちゃん。行こ行こ!!」
「へっ?」

 しまった! あまりにも予想外の二人の反応に、へっ? という言葉しか出ない。ど、どうしよう?

「何を観に行きますかぁ?」
「そうねぇ。今話題のファンタジー超大作、観たいなと思ってたんだ。それにする?」
「あ、私も観たいと思ってたですぅ。それにしましょう!」

 あ、その映画、俺も観に行きたいと思ってたやつだ。後でさくらと二人きりで会えたら、誘ってみようと思ってた映画なのに! なんでこうなる?

「あれ? 天心君、何をしてるのですかぁ? 早く帰らないといけないんですよねー」
「天心君、私たちのことは気にしないで、早く帰ってくれていいよ!」

 さくらはにっこり笑ってる。これはきっと、用事があると言った俺に気を使ってくれてるんだよ……なぁ。まさか俺と過ごすより、女の子二人の方が楽しいと思ってるなんて……被害妄想だよな?

 ──ちょっと心配になってきた。

「あ、あのう……さくら」
「なぁに?」

 さくらはきょとんとしてる。今さら用事は嘘だったなんて言えないけど……

「俺も映画に行きたいっ!」
「えっ? 用事は?」
「親に言ってなんとかする!」

 あたた、カッコ悪りぃ。でも仕方ない。

 俺は親に電話をするふりをして、もう用事をしなくていいことになったということにして、三人で一緒に映画に行くことになった。

 また二人きりでのデートはお預けになったけど、このまま一人で帰宅するよりは、三人であってもさくらと過ごせる方がいいに決まってる。

 そう割り切って、映画を楽しむことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...