夢追い旅

夢人

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終末の噂

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 ミーに予算を出してもらって、小林の調査をケー君にお願いした。轟に任せたいところだったが、彼とはお金のつながりが強く黒崎に旗手社長の情報が漏れるのを恐れた。ただ旗手社長の性格を考えると、余程の確たる証拠がないと方針が変えられないということは理解している。
「少しいいですか?」
 調査部の一番年配の女性が顧問室の中の周平に声をかけた。顧問は朝から相談役の部屋に籠っている。会長はS銀行に出かけている。どうもS銀行は頼りにならないようだ。
「どうぞ」
「部の仲間を代表しての質問ですが、最近の噂を耳にされましたか?」
「噂?」
 そう言えば会社の人間と話すことがほとんどなくなっていた。とくに加瀬が亡くなってからはそれは酷い。
「調査部がなくなると」
「そんな噂があるの?」
「ええ、人事部が出どころのようですが、調査部の全員の社員シートの提出をしたとか」
 おそらく顧問の依頼なのだろう。
「直接話は出ていないが?だがこの部の存在価値は薄れてきているな」
「若い人はいいけれど、40歳過ぎの私なんかは退職勧告を受けるような」
 そう言えば、周平がこの部に入った時にはすでに加瀬と彼女が座っていた。
「何が悪かったのですか?やはり加瀬さんが?」
「彼の問題でもない。会長の経営の終末なんだろうね」
「鈴木取締役が会長についていたからですね?」
 いや、彼は相談役について逆に時代を先取りしていたと言いかけて言葉を飲んだ。そんなことは彼らには関係がない。加瀬すら出会いがしらの事故に過ぎない。調査部にいて赤坂の地上げから今に至る経過を理解していない。
 ポケットの中の携帯が振動した。今日3度目の赤坂の元姑のママからの着信だ。





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