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日本人街3

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 サンベット王から日本人街の許可をもらった次の日から工事が始まった。総責任は護衛隊長のヒデが行う。護衛隊が5百九郎の指揮で工事を始めている。現在は南蛮船は1艇だけになっていて、半島の港に繋がれている。茉緒は屋敷の塔から青く霞んだ海を眺めている。
「あれは南蛮船では?」
 昨夜はヒデが泊まっていた。
「そうだな。あれは第1船長の船だ。凜と豪が乗っているはずだ。和寇の港を巡り朝鮮から日本の回る予定だ」
「こちらの港に誘導します」
 ヒデは部屋を飛び出す。茉緒もゆっくり桟橋に降りる。港に着くと船長が降りてくる。
「どうした?」
「すいません。和寇の本拠地と思われる島で罠にかかり攻撃を受けました。下忍も7人失い凜さまと豪さまが単独で小舟で降りてしまわれました。だがそのままでは沈没の危険があり逃げました」
「深追いするなと言っていたからな。それで日本には寄れたのか?」
「ええ、山陰に着きました」
「警戒は厳しかっただろう?」
「それが関所もなくなり寂れた海岸線が続いていました。それで下忍を下ろして調査をしたのです。城下町では1年ほど前に修験者と柳生が激しい闘争をして修験者は壊滅されたと言うことです。柳生十兵衛が服部軍団を束ねて総勢5百で修験者の砦を襲ったと言うことです。修験者は2百がことごとく切られたと言うことでした。それが生き残りに出会ったのです」
 桟橋を修験者が5人担架を抱えて降りてくる。
「果心居士ではありませんか?」
「茉緒か?さすがに死を覚悟したがな」
 片足がなくなっていた。
「最後の豊臣の財宝は積み込んだ」







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