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動乱7

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 ラオスの王宮の手前でワンバットの兵が陣を張る。それより1日早く茉緒は10人の下忍を連れてラオスの王宮に入った。宗久の身柄を確保するのだ。それと情勢を把握するのだ。次男の情報では王宮にはワンバットの兵は5百、高官の兵は1千5百いると言う。
 馬を下りると商人の格好で街に入る。夜を待って王宮に忍び込む。下忍を5か所に分ける。茉緒は一人で王の部屋の天井に忍び込む。この高官がどこまで王の信任を得ているのかが問題だ。王の信任があればこの反撃は反乱となる。王宮内に兜を着た兵が溢れている。
 王の椅子に王がかけている。その前にいるのは宗久だ。
「どうされます?」
「あの高官とワンバットが組んだら手の施しようがない。だがこれからは宗久も自由に商いができなくなる。そうなるとラオスの王宮を塞がれることになる」
「アユタヤも同じです。ラオスを失えば今の交易の道は消えます。ビルマも内乱が起こるでしょう」
「宗久はどう思う?」
「アユタヤと交易を続けていくのがよいかと」
「だがどうする?」
「茉緒が来ます。それを待ちましょう」
 茉緒は天井から蝶のように紙切れを落とす。宗久はそっと拾って天井を見上げる。
「王様はアユタヤを信じておられる」
と茉緒に向かって宗久がつぶやく。
 天井を抜けると納屋の中に入る。すでに5組の下忍たちが戻ってきている。茉緒はすべての報告を聞く。
「2組はそれぞれ文を持ってワンバットの陣とヒデの陣に走れ。残りはこれから高官の屋敷に潜る」


















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