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世界の大波4

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 ヒデの近衛軍が出発して2日後、リーはイギリスにフランスの商館を認めると通告した。今日はリーが水軍の船でフランス軍艦から政府の役人を迎えに行く。サンベット王が会うのだ。リーの他ゴラクと茉緒が補佐官として同席した。今日は空砲の音はない。
「現在イギリスの返事を待っていますがまだありません。それでも王は通商契約に応じてもいいとお考えです」
とリーが答えている。フランス側は政府の役人と2人軍人と通訳が同席している。
「それがよろしいと思いますよ。この辺りではフランスの方が優位を保っている」
 サンベット王は握手したきり何も話さない。王は一言多いのだ。
「だが条件があるのです」
とリーが言って茉緒を見る。茉緒は補佐官として巻物を読み上げる。
「これは議会の決定事項で王も認められています。まず軍船のアユタヤ港への入港は認められません。イギリスとの衝突を避けたいのです。商館は認め用地は無償で用意します。警備兵は百程度にして軍は困ります。それとフランスの軍船の大砲を4門売ってもらいたいのです」
 これは先日のフランス軍艦で船長が調べてきた大砲の威力だ。威力は変わらないが飛距離がフランスの方が優れている。この差は戦いでは致命的だ。
 通訳の話を役人が聞いている。何度か眉をしかめているが、予想以上の回答と見たようだ。フランスは次の商船で合意契約を持ってくることになった。
 茉緒はその夜集めていた下忍30人の騎馬隊を走らせる。フランスの大砲が持ち込まれては大敗もある。馬には大量の火薬を積んでいる。火薬の威力では果心のものが優れている。







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