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遠謀2

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 5日後茉緒は商人の格好でアユタヤを後にした。下忍は予定通り10人を連れて出た。半月後カトマンズの国境を超えた。ヒデの部隊が商館に入っているがここは覗かず都の商人屋に泊まる。丸2日王宮を含めて情報を下忍に集めさせる。茉緒もハル王女の周辺を調べる。
 ハル王女はさすがに親衛隊を把握していて、茉緒が作った影の警察と同様の女性部隊を百名を組織していた。だが親衛隊は1万を維持していたが現実他部族の連合体で危ういところがある。1日中ハル王女を追いかけまわし夜王女の部屋に忍び込む。
「久しぶりだな茉緒」
 どこからともなく声が響く。やはり気づいていたようだ。これはハル王女の中に眠る果心の声だ。
「何しに来た?」
「アユタヤの王宮租界地をここに開かせてもらう相談に来た」
「アユタヤも植民地支配の時代が来たのだな?」
「認めてもらえるのか?」
「それはハル王女と話をしろ。まだ私とハル王女は完全に一つじゃない。だがハル王女もカトマンズが今のままではいけないと思っている。実際にここの周辺の部族も貴族も他国の商人に抱き込まれてしまっている。国に資力がないのだ」
「分かった話し合う」
「ハル王女を起こす。だがこの状態では儂の意志とハル王女の意志は一致しているわけではない。茉緒を拒絶するかも分からない。やってみるか?」
「ああ」
「よし抱いてみるのだ」
 その声が消えた頃、ゆっくりハル王女が目を開ける。
「茉緒?」
「ああ、訪ねてきた」
「抱いてくれる?」
 ハル王女は茉緒が男だと知っている。
「入れるがいいか?」
「うん、気持ちがいい」



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