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拮抗9

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 宗久の金薬が効いたのか、ビルマから経済大臣が王の親書を携えてアユタヤ王宮に来た。前王様の復帰とチャクラバット総司令官との和解を提案してきたのだ。これは提案ではなく命令だ。チャクラバットもこれ以上会議を開くのを拒めない。王様は警備隊と茉緒、豪の兵に守られて王宮に入る。
「王様の復帰は?」
「恐らく決まりです。兄王は廃嫡で私が太子となるここまではチャクラバットも合意ですよ。でもその代りにチャクラバットの総司令は認めざる得ません。親衛隊は手ばさないと言うことです」
「これは私の案ですが、太子の民兵隊を作ろうと思っているのですが、茉緒さまが隊長をお願いできないかと?」
「それは駄目よ。豪にしなさい」
「なぜですか?」
「私は商人ですし、日本の忍者ですよ」
「リーは今まで通りでいいですよね」
「ええ、恐ろしい女官ですがね」
 ノックの音がしてリーが覗く。
「王子さま始まります。茉緒さまたちは会議の後の晩さん会に出てください」
と言うと王子を連れて出ていく。茉緒は大広間に行く。そこにはゴラクもタイに行く前の宗久も豪もいる。
 会議は半刻の短さで終わって大広間に王様達が入ってくる。サンベット王子が王様の横に座っている。リーが報告に来る。
「予想通りよ。チャクラバットの屋敷は3日以内に明け渡すことになったよ。それと兄王はビルマで預かろことになった」
「ビルマはいつでも兄王を立てる気だな」
 お酒を持ってビルマの経済大臣と宗久がこちらにやってくる。
「茉緒さまよろしく」
「兄王の預かりは?」
「大将軍からの条件です」
 まだまだ冷戦が続くようだ。






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