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冷戦3

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 豪の護衛隊が運ぶ荷隊が頻繁にビルマに繋がる街道で襲われる事件が起こっている。もう豪の兵が20人ほど失われている。その調査で凜が下忍を10人連れて街道に出張っている。
 酒場に行くと豪がいつもの位置で飲んでいる。
「襲われているようだな?」
「ああ」
 隣にサンベット王子がリーと並んで座っている。
「凜がね調査に行くってこの二人怪しいよ」
 リーが口を挟む。茉緒はもう昔のように凜を抱いていない。凜も近づいてこなくなった。
「豪どう思う?」
「盗賊ではないな。騎馬隊が統制されている」
「チャクラバットの私兵か?」
「いやもっと強い。それで凜に頼んだ。退治ではなく正体だ」
 豪は地図を広げて、
「この辺りで言えばやはりビルマ軍だろう。とくにゴラクさまの話では和寇の物資が大将軍に入らずアユタヤからは経済大臣を通して入るようになっているからだそうだ。ビルマでは大将軍は最大与党だ」
「だが大将軍はアユタヤ併合の推進者だよ。アユタヤとしては絶対組めない相手なんだ」
「だが大将軍相手では厳しくなるな」
 海では南蛮船があるので大丈夫だが、陸では数では問題にならない。
「やはり宗久さまの力に頼るしかないな」
 酒場の入口から凜の下忍が駆け込んでくる。
「どうした?」
「凜さまが囚われました!」










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