式神

夢人

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覇権11

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 一条邸の塀を飛び越え慌てて生垣に転がった。鋭い視線の侍がこちらを見た。瞬間に気配を消す。同じような侍が3人見える。あの灯りの付いている別棟の部屋にいるのか。柳生が守っているのだ。母屋に回り屋根伝いに別棟へ飛ぶ。そこから屋根裏に入る。ここは歌会のあった大広間がある棟だ。
 その横に泊まれる部屋がいくつか並んでいる。その真ん中の部屋だ。天海にはどんな力が備わっているのだろうか。慎重に部屋の中を覗く。不思議な光景だ。天海の前に一条兼良が座っているが兼良はゆらゆら揺れている。まるで寝ているようだ。
「一条殿の中に入れているのは高名な陰陽道の安倍晴明殿と見受けしますが?」
「天海殿に見破られるとは?あなたは何者ですかな?」
 さすがに晴明も天海が光秀だとは分からない。
「家康殿は服部と柳生だけではなかったのですな?家康殿の要望は?」
「まずは帝の詔を頂くことになるのです。そのためには朝廷と懇意に」
「それは問題ないと」
「晴明殿は天文方頭の復帰ですな?」
 まるで妖怪同士の話し合いに見える。朱雀はいつもより慎重に気配を殺している。天海はどれほど光秀を残しているのだろうか。晴明は果心居士のことは知らないようだ。
「時に賀茂家の朱雀と言うものはご存じか?」
「賀茂家の式神頭です。これが厄介な相手ですのじゃ。ことごとく邪魔をしてきたのです」
「それが困ったものでわが友がその朱雀には手を出すなと言うのだが」
 果心が明確に朱雀を友と。
「朱雀なら安倍で片づけましょうぞ。賀茂家とはどうしても私の生きているうちに片を付けねばならぬです。ところで家康殿の元へ戻られる?」
「家康殿は勝負に出る気ですがまだ時は熟れていない気がしてましてな」
 この言葉に光秀の反省が滲んでいるようだった。
 朱雀は一条兼良が目が覚めて立ち上げるその空気に混じって外に出た。




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