けもの

夢人

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総攻撃4

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 風雨の中狗は狼を連れて獣道を抜けて尾根道を走る。3刻走り続けて伊賀の国境の街道に出る。街道の端の地蔵に薬売りの目印があった。ここで薬売りに化ける。最初のお茶屋の長椅子にかける。まだ15歳くらいのくノ一の薬売りが口を動かすだけで話しかけてくる。
「今繋ぎがありましたがここから半刻の神社に服部が集まってきています。現在百人ほどです」
「誰か張り付いているのか?」
「年寄りが掃除人として見張っています。私は朝その年寄りの側にいました」
 それを聞いて狼を連れて草むらの中を走り抜ける。神社の大屋根が見えてきた。人の気配を感じて足を止める。
「お頭、もうすぐ服部の頭領の半蔵が来るとのことです。どこを攻めるかはその時に伝えられるようです」
 年寄りだ。半蔵が来るとは大がかりな戦闘があるのだ。だが今はこの辺りは徳川政権に染まっているところだ。さらに草むらを抜けて神社の広場を見渡せる場所に来る。すでに3百人に増えている。
 神社の神楽の上に黒装束が立つ。半蔵だ。
「抜け人村を攻める」
 その声と同時に狼を走らせた。やはり天海の指示だ。それぞれの小頭が3人神楽の半蔵の元に集まる。今の母屋の場所はまだ知られていないはずだ。まず洞窟のところから入ってくるはずだ。だがこれほどの人数で総攻撃されると時間の問題だ。一列の百人が動き出す。背中に鉄砲を背負っている。服部も鉄砲隊をよく使う。
 すでに狗も黒装束に着替えている。小頭が走り出して鉄砲隊が続く。少し遅れて狗も走り出す。街道から尾根道に入り長く列が伸びている。2刻辺りから遅れてくる忍者が出てくる。その最後尾を倒し入れ替わる。
 洞窟の前で先頭が停まる。狗は最後尾から少しづつ最前列に移動している。小頭の前に潜んでいた服部が5人出てくる。やはり調査をしていたのだ。ある程度の場所を予測しているはずだ。
 洞窟の上から狼煙が上がった。同時に狗が懐から手投げ弾を小頭に向けて投げる。少し遅れて洞窟の上から多数の手投げ弾が投げ込まれる。
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