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プロローグ
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「ふーー疲れた」
敷島 悠(しきしま ゆう)は、授業の終わった教室の中にいた。
今は、放課後であり部活に行く人、帰宅部として家に帰った人でそれほど周りに人はいない。残っているのは友達とくっちゃべってる連中だけだ。
本来なら悠は、今頃は授業終わりのチャイムと共に教室を飛び出して家でゲームをしている時間である。
ではなぜ悠は帰宅部なのにすぐに帰らずに、教室に残っているのか?
答えは簡単だ。
遅刻の常習犯である悠は、
「罰として、一人で教室の掃除をしろ」
と担任に言い渡されたのだ。
最初は、「今の時代、罰なんてありかよ」などと文句を言ったのだが、悪いのは悠であり言い返す言葉はしりすぼみになってしまい結局やらされているのだ。
「さーて、終わったんで早く帰ってゲームの続きでもやるか」
半ば無意識に独り言を言いながら鞄を引っ掴んで帰ろうとした時、目の前に文字が現れた。
『汝、我の願いを聞き世界に平和をもたらす者になるか?』――YES/NO
「え?なんだこれ?」
教室のあちこちで、同様の困惑した声が上がる。全員に同じ文字が見えているようだ。
悠は、壁や床を手で確認してみるが文字は目の前の空間に浮かんでいるように映し出されている。視線を左右に動かしてみるが、ご丁寧に必ず見える位置に移動してくる。
「なんだよこれ! みんな見えてるのか?」
クラスメイトの少年Aが、騒ぎ立てる。
悠は、人の名前を覚えるのが苦手だ。それがクラスメイトでもだ。クラスメイトは全員ABCと心の中で呼んでいるくらいだ。
「み、見えるよ。なんなのこれ?」
少年Bが、答えている。
この時点で、悠はその会話から興味を失っていた。
こんなの分かる人が居る訳ないじゃん。そう思いながら彼らの会話を聞き流し、自分の考えをまとめていく。
(この文、どこかで見たことあるんだよな。どこだったかな?)
(・・・・・・)
(あー思い出せね!)
(見たことあるのは覚えてるのに、全然なんだったのか思い出せね)
(すっげーモヤモヤするなこれ)
(まぁいいか。思い出せんもんは仕方ない、諦めよう)
(それよりも、YESかNOで聞かれたら当然NOだよな)
悠は、基本頼まれごとは断るようにしている。どうしてもやらなければいけないことはやるのだが、めんどくさいと思ったことはすべて避ける。簡単に言えばめんどくさがりで天の邪鬼な性格だ。
(俺は、願いなんて聞いてやらん)
「俺の答えはNOだ!」
その瞬間、目の前に浮かんでいた文字が消え眩しい光が目一杯に広がる。あまりの眩しさに目を開けていられなくなり、ギュッと目を閉じてしまう。
目を閉じてしばらくすると、周りで騒いでいたクラスメイトの声が聞こえないことに気付く。
(あれ?)
恐る恐る目を開けて、周囲の様子を確認しようとする。最初は眩しさで目をしばたかせたが、先ほどの目を開けていられないほどの光はおさまっているようだ。
目が明るさに慣れてきて周りを見ようとすると後ろの方から声が聞こえてきた。
「まぁ、お父様また新たに勇者様が召喚されましたわ」
「うむ、その用だな。これで25人目か。今回の召喚の義は成功だな」
悠は、後ろを振り返り声を発したと思われる人物を確認する。
一人は、立派な髭を生やしたおっさんだった。いかにも王様が被っていそうな王冠を頭につけている。顔は、シワが刻まれておりおっさんと言うよりお爺さんと呼んだ方がしっくりくる。
もう一人は、悠と同じくらいか少し歳上な女性だった。真っ白なドレスを着て、頭にはティアラを付けている。顔は、大抵の男なら心囚われそうなほど整っており誰に聞いても美人と言うだろう。
悠は、この二人に見覚えがあった。
「勇者様、私たちの世界『イストワール』にようこそいらっしゃいました。私たちは心より歓迎いたします」
初見では、見間違いか似てるだけだと思っていたがこの言葉で、悠は確信した。
「『イストワール』か。どうやらゲームをやってるみたいだな」
悠は、一人呟くのだった。
敷島 悠(しきしま ゆう)は、授業の終わった教室の中にいた。
今は、放課後であり部活に行く人、帰宅部として家に帰った人でそれほど周りに人はいない。残っているのは友達とくっちゃべってる連中だけだ。
本来なら悠は、今頃は授業終わりのチャイムと共に教室を飛び出して家でゲームをしている時間である。
ではなぜ悠は帰宅部なのにすぐに帰らずに、教室に残っているのか?
答えは簡単だ。
遅刻の常習犯である悠は、
「罰として、一人で教室の掃除をしろ」
と担任に言い渡されたのだ。
最初は、「今の時代、罰なんてありかよ」などと文句を言ったのだが、悪いのは悠であり言い返す言葉はしりすぼみになってしまい結局やらされているのだ。
「さーて、終わったんで早く帰ってゲームの続きでもやるか」
半ば無意識に独り言を言いながら鞄を引っ掴んで帰ろうとした時、目の前に文字が現れた。
『汝、我の願いを聞き世界に平和をもたらす者になるか?』――YES/NO
「え?なんだこれ?」
教室のあちこちで、同様の困惑した声が上がる。全員に同じ文字が見えているようだ。
悠は、壁や床を手で確認してみるが文字は目の前の空間に浮かんでいるように映し出されている。視線を左右に動かしてみるが、ご丁寧に必ず見える位置に移動してくる。
「なんだよこれ! みんな見えてるのか?」
クラスメイトの少年Aが、騒ぎ立てる。
悠は、人の名前を覚えるのが苦手だ。それがクラスメイトでもだ。クラスメイトは全員ABCと心の中で呼んでいるくらいだ。
「み、見えるよ。なんなのこれ?」
少年Bが、答えている。
この時点で、悠はその会話から興味を失っていた。
こんなの分かる人が居る訳ないじゃん。そう思いながら彼らの会話を聞き流し、自分の考えをまとめていく。
(この文、どこかで見たことあるんだよな。どこだったかな?)
(・・・・・・)
(あー思い出せね!)
(見たことあるのは覚えてるのに、全然なんだったのか思い出せね)
(すっげーモヤモヤするなこれ)
(まぁいいか。思い出せんもんは仕方ない、諦めよう)
(それよりも、YESかNOで聞かれたら当然NOだよな)
悠は、基本頼まれごとは断るようにしている。どうしてもやらなければいけないことはやるのだが、めんどくさいと思ったことはすべて避ける。簡単に言えばめんどくさがりで天の邪鬼な性格だ。
(俺は、願いなんて聞いてやらん)
「俺の答えはNOだ!」
その瞬間、目の前に浮かんでいた文字が消え眩しい光が目一杯に広がる。あまりの眩しさに目を開けていられなくなり、ギュッと目を閉じてしまう。
目を閉じてしばらくすると、周りで騒いでいたクラスメイトの声が聞こえないことに気付く。
(あれ?)
恐る恐る目を開けて、周囲の様子を確認しようとする。最初は眩しさで目をしばたかせたが、先ほどの目を開けていられないほどの光はおさまっているようだ。
目が明るさに慣れてきて周りを見ようとすると後ろの方から声が聞こえてきた。
「まぁ、お父様また新たに勇者様が召喚されましたわ」
「うむ、その用だな。これで25人目か。今回の召喚の義は成功だな」
悠は、後ろを振り返り声を発したと思われる人物を確認する。
一人は、立派な髭を生やしたおっさんだった。いかにも王様が被っていそうな王冠を頭につけている。顔は、シワが刻まれておりおっさんと言うよりお爺さんと呼んだ方がしっくりくる。
もう一人は、悠と同じくらいか少し歳上な女性だった。真っ白なドレスを着て、頭にはティアラを付けている。顔は、大抵の男なら心囚われそうなほど整っており誰に聞いても美人と言うだろう。
悠は、この二人に見覚えがあった。
「勇者様、私たちの世界『イストワール』にようこそいらっしゃいました。私たちは心より歓迎いたします」
初見では、見間違いか似てるだけだと思っていたがこの言葉で、悠は確信した。
「『イストワール』か。どうやらゲームをやってるみたいだな」
悠は、一人呟くのだった。
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