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「この冒険フィールドはそんなにレベルは高くないからな!だが初心者ばかりのメンバーだから気を引き締めて行こう!」

ジョーが先頭をガンガン行く。

確かにジョーの攻撃とグラシアスの守りで順調に進んでいる。

そういえば、二人はいつの間にかすっかり意気投合し、なかなかのコンビネーションを見せている。

ジョーは相変わらずグラシアスに夢中だし、グラシアスもそんなジョーに悪い気はしていない様子だ。

(べ、別に寂しいとかじゃ無いんだからね!?)

AIと人間…分け隔てなんて要らないのかも知れないな。

(どうして今、ルナの顔が浮かぶかな…)



「ここがこのフィールドのラスボスの部屋だ。」

黒い大きな扉の前に僕らは辿り着いた。

「さすがです!ジョーさんとグラシアスさんとルクスさんならほぼ無敵じゃないですかぁ。僕の治癒魔法なんて全く必要なくないですか~?」

レンが愚痴をこぼす。

「特にルクスさんなんて、何か考え事をしながらだったみたいだけどどんどん敵を倒しちゃうんだもの。」

(全く憶えてない)

「まあまあ、ラスボスはさすがに無傷とは行かないからな。ここのラスボスはグリーンドラゴンだからな!」

ジョーはこのフィールドを何度もクリアしているらしい。
今回のジョーの存在は本当に頼もしい限りだ。

でも…

グラシアスの情報通り、例のトラブルが発生している可能性がある。

例えば、ラスボスがグリーンドラゴンでは無く更に上位のドラゴンに変化していたら…?

僕は最悪の事態も想定していたので、この為に魔法の練習を更に積んできてもいた。
かなりのエネルギー出力の攻撃魔法が出せるはずだ。

「ルクス!緊張すんなって!」

ジョーが大きな手で僕の頭を撫で回す。

「緊張なんてしてねーよ!」

ジョーの手を払い除けるとジョーは笑いながら扉に向き合った。

「開けるぞ!!」

ジョーは大きな扉に手をかける。

黒い大きな扉は鈍い音をたてながら開いた。

黒い神殿のような雰囲気だ。

奥に鎮座しているのは…

緑色のドラゴン。

「グリーンドラゴンだ。」

最悪の予想が外れて、僕は胸を撫で下ろした。

(だけど、気を引き締めねば)

このフィールドをクリアするまでは安心出来ない。

僕らはグリーンドラゴンに近付いていった。

攻撃範囲に入ったと同時にジョーが仕掛ける!

グリーンドラゴンは同時にこちらに毒々しい息を吐き出す!

それをくぐり抜けて攻撃を繰り出す!

グリーンドラゴンの咆哮が響く。

ジョーはそれにも怯まずどんどん攻撃していく。

僕も炎魔法を無詠唱で繰り出す!

グラシアスの守備魔法のお陰でダメージは少ない。

レンは治癒魔法の為に力を温存しているのか剣での攻撃に加わる。

グリーンドラゴンが弱ってきた気がする。

「よし、後一撃だ!」

ジョーが最後の一撃を浴びせようとしたその瞬間、グリーンドラゴンが突然消滅した。

「え?やったのか!?」

「いや、手応えは無かったが…」

「!?」

グリーンドラゴンの居た場所の影から何かが現れた。

それは…

その姿は…

「人…?」

人のようだった。

その人物はブツブツ何か言っている。

「危ない、下がって!!」

グラシアスが僕らの前に立ち結界を張る!

その人物は闇属性の魔法を僕達に向けて放った。

「何者だ!?」

ジョーは結界から飛び出し、その人物に斬り掛る!

その衝撃でその人物のローブから顔が覗く。

その顔は…

「…!?」

「ルクス…!?」

そこには僕にそっくりな顔があった。

「な…!?」

一瞬怯んだジョーに向かって放たれる闇魔法!

「ジョー!!下がって!!」

グラシアスがジョーの前に入り込みもろに攻撃を受けてしまった!

「エスケープ!!」

グラシアスは倒れながら、退避の呪文を唱えた!

僕らは一瞬でボス部屋の外へ。

すぐさま、グラシアスのそばに駆け寄るがその姿は消え入りそうになっている。

ジョーがグラシアスを抱き起こした。

「グラシアス!」

すぐにレンが治癒魔法をかけるが、消耗が酷く追い付かない。

「ジョーは無事ね…良かった…」

グラシアスは優しい顔でジョーに言った。

今度は僕の方を見て

「約束は守ったわよ?」

(グラシアスってこんな優しい顔だっただろうか?)

「グラシアス、体力を消耗するからもう喋るな…」

ジョーは消え入りそうなグラシアスを抱き締める。

「ジョー…」

「喋るなって…」

グラシアスは手を伸ばしジョーの頬に触れる。

「ジョー、私を好きになってくれてありがとう…」

「グラシアス!?」

一瞬、グラシアスは眩い光に包まれ、そして消滅した…

「なんだよ、これ…」

ジョーはグラシアスを抱いていた自分の両手を見詰める。

ジョーの肩が震えている。

僕は茫然とその姿を見つめる。

「神殿に戻りましょう!」

レンのその声で僕らはハッとして、すぐさま立ち上がった。

僕らは、急いでフィールドを出て神殿に向かった。

道中、ずっと無言で歩き続けた。

パーフェクト・ワールド内で死んでしまっても神殿で復活することが出来るはずだ。

(とにかく神殿へ…!)

でもグラシアスは原因不明のこのトラブルで死んでしまうと復活がかなわないとそう言っていた。

(いや、グラシアスはAIじゃないか)

(きっと大丈夫だ)

(きっと…)

神殿で復活出来ると思っているはずのジョーもレンも、悲壮な顔をしている。
何か、感じるものがあるのだろうか。

それに…

僕にそっくりなあの謎の人物。

いや、それだって、たまたまだ。

アバターなんだからたまたま同じ顔になる時も当然あるだろう。

暗がりだったし…

しなくてもいい言い訳めいた考えが頭の中をグルグルしていた。

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