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通信室
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「時間がかかってるな…」
神殿の僕の私室でレンとジョーと待機している状態だ。
あの後、僕らは神殿に辿り着き、グラシアスの復活の申請を出した。
カズヤが引き受けてくれることになった。
(普段はカズヤの担当部署では無いのだが)
「少し時間がかかるかもしれないけど…」
そう言いながら、カズヤはジョーから視線を外した。
「全力を尽くすよ。」
そう言われてから半日は経つ。
通常もそのくらいかかるのか僕には分からないが、ジョーの様子から見て通常よりは長くかかっているようだ。
レンも僕と同じで初めての体験なので不安げな様子だ。
いつもならばさりげなくお茶を入れてくれるはずのルナの姿は無い。
(仕事中なのだろうか?)
普段素っ気なくしているくせにこんな時は傍に居て欲しいと思う自分を浅ましく思う。
僕はルナの見よう見まねでお茶をいれる。
上手では無いが、じっとしていては嫌な方に思考が向いてしまうからでもある。
どれくらい経っただろう。
何杯目かのお茶をいれている時に突然ドアが開いた。
カズヤだ。
驚く僕らに向かってカズヤはこう言った。
「ルクス、ジョー、レン、3人とも一緒に来てくれるか。」
「どこへ?」
「通信室だ。」
「通信室?」
僕達は何も聞かされないまま、神殿の奥に連れて行かれる。何度もセキュリティを解きながら更に神殿の内部へ。
暗い廊下を抜けるとやっと少し広い場所に出た。
そこにも結界が張られていて、カズヤはそれも解除する。
(やけに厳重な結界だ)
カズヤが結界を解除すると同時に大きなモニターが現れる。
そこにはその大きいモニターと現実世界にあるような機械が並んでいた。
「カズヤ、これは…?」
「そんなことよりグラシアスはどうなったんだ!?復活はまだなのか!?」
カズヤはそれには答えず、淡々と説明を始めた。
「ここは現実世界とコンタクトを取ることが出来る通信室。通常は入室するのに高い権限が必要な神殿で最も重要な場所だ。ここでの会話やこの部屋の事は一切外部に漏らさないように約束して欲しい。」
カズヤの重い雰囲気に、ジョーも何か言いたげだったが口を噤んだ。
「それと、ルクス。お前にかけられていたワードガードは解かれている。」
「!!」
(ということは、もうあの話をしても問題無いということなのか?)
「では通信を開始する。」
僕達はモニターを見詰めた。
暗い画面が徐々に明るくなり、人の姿が現れた。
そこに居たのは…
「グラシアス!?」
髪色や瞳の色は違うけれど、グラシアスにそっくりの女性が映っている。
「グラシアス、無事だったのか、良かった…」
そう言ったジョーの声は震えている。
「現実世界に居るのか…?」
(AIじゃなかったのか?)
「残念ながら…私はグラシアスじゃないわ。」
グラシアスと同じ潤む様な表情でその人は言った。
カズヤがその人を紹介する。
「こちらはイズモ博士。現実世界で電子工学の博士号を持ち、特にAIのプロフェッショナルと言われる有名な方だ。」
(イズモ博士…日本人か…)
「私は専門家として現行政府からの依頼を受けてパーフェクト・ワールド内の監査と調査、そしてこちらの世界での調査を請け負っています。」
イズモ博士は続ける。
「グラシアスにはパーフェクト・ワールド側からの調査をさせていました。あなた方のことは、グラシアスからの情報でよく知っています。」
「あの!」
ジョーはイズモ博士の話を遮ってこう言った。
「難しい話は分からないけど、つまり、グラシアスはどうなったんですか?」
イズモ博士は少し言葉に詰まったように見えたが再び話し出した。
「グラシアスは私が作ったAIです。」
「AI…?」
ジョーは、何とも言えない表情になった。
「姿かたちを私に似せて作ったAIです。」
「そんな…」
ジョーは言葉を無くす。
ジョーの様子を心配しながらも、僕は大事な質問をした。
「グラシアスは無事なんですか?」
イズモ博士は一旦目を伏せたが、もう一度こちらに向いて話し始めた。
「まずは最近起きているトラブルの今の現状を話させてください。」
神殿の僕の私室でレンとジョーと待機している状態だ。
あの後、僕らは神殿に辿り着き、グラシアスの復活の申請を出した。
カズヤが引き受けてくれることになった。
(普段はカズヤの担当部署では無いのだが)
「少し時間がかかるかもしれないけど…」
そう言いながら、カズヤはジョーから視線を外した。
「全力を尽くすよ。」
そう言われてから半日は経つ。
通常もそのくらいかかるのか僕には分からないが、ジョーの様子から見て通常よりは長くかかっているようだ。
レンも僕と同じで初めての体験なので不安げな様子だ。
いつもならばさりげなくお茶を入れてくれるはずのルナの姿は無い。
(仕事中なのだろうか?)
普段素っ気なくしているくせにこんな時は傍に居て欲しいと思う自分を浅ましく思う。
僕はルナの見よう見まねでお茶をいれる。
上手では無いが、じっとしていては嫌な方に思考が向いてしまうからでもある。
どれくらい経っただろう。
何杯目かのお茶をいれている時に突然ドアが開いた。
カズヤだ。
驚く僕らに向かってカズヤはこう言った。
「ルクス、ジョー、レン、3人とも一緒に来てくれるか。」
「どこへ?」
「通信室だ。」
「通信室?」
僕達は何も聞かされないまま、神殿の奥に連れて行かれる。何度もセキュリティを解きながら更に神殿の内部へ。
暗い廊下を抜けるとやっと少し広い場所に出た。
そこにも結界が張られていて、カズヤはそれも解除する。
(やけに厳重な結界だ)
カズヤが結界を解除すると同時に大きなモニターが現れる。
そこにはその大きいモニターと現実世界にあるような機械が並んでいた。
「カズヤ、これは…?」
「そんなことよりグラシアスはどうなったんだ!?復活はまだなのか!?」
カズヤはそれには答えず、淡々と説明を始めた。
「ここは現実世界とコンタクトを取ることが出来る通信室。通常は入室するのに高い権限が必要な神殿で最も重要な場所だ。ここでの会話やこの部屋の事は一切外部に漏らさないように約束して欲しい。」
カズヤの重い雰囲気に、ジョーも何か言いたげだったが口を噤んだ。
「それと、ルクス。お前にかけられていたワードガードは解かれている。」
「!!」
(ということは、もうあの話をしても問題無いということなのか?)
「では通信を開始する。」
僕達はモニターを見詰めた。
暗い画面が徐々に明るくなり、人の姿が現れた。
そこに居たのは…
「グラシアス!?」
髪色や瞳の色は違うけれど、グラシアスにそっくりの女性が映っている。
「グラシアス、無事だったのか、良かった…」
そう言ったジョーの声は震えている。
「現実世界に居るのか…?」
(AIじゃなかったのか?)
「残念ながら…私はグラシアスじゃないわ。」
グラシアスと同じ潤む様な表情でその人は言った。
カズヤがその人を紹介する。
「こちらはイズモ博士。現実世界で電子工学の博士号を持ち、特にAIのプロフェッショナルと言われる有名な方だ。」
(イズモ博士…日本人か…)
「私は専門家として現行政府からの依頼を受けてパーフェクト・ワールド内の監査と調査、そしてこちらの世界での調査を請け負っています。」
イズモ博士は続ける。
「グラシアスにはパーフェクト・ワールド側からの調査をさせていました。あなた方のことは、グラシアスからの情報でよく知っています。」
「あの!」
ジョーはイズモ博士の話を遮ってこう言った。
「難しい話は分からないけど、つまり、グラシアスはどうなったんですか?」
イズモ博士は少し言葉に詰まったように見えたが再び話し出した。
「グラシアスは私が作ったAIです。」
「AI…?」
ジョーは、何とも言えない表情になった。
「姿かたちを私に似せて作ったAIです。」
「そんな…」
ジョーは言葉を無くす。
ジョーの様子を心配しながらも、僕は大事な質問をした。
「グラシアスは無事なんですか?」
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「まずは最近起きているトラブルの今の現状を話させてください。」
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