【本編完結済】未来樹 -Mirage-

詠月初香

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1章

0歳 -火の陰月1-

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火の陰月となり、これから少しずつ暑さも収まっていく……そんな季節となりました。火の極日の間は母上をはじめとした大人たちがどことなく元気が無くて、如何したのかと思っていたのですが碧宮襲撃からちょうど一年になるんですね。

そりゃぁ、色々と思うところはあるよね……うん。

母上や叔父上の親である碧宮家当主夫妻や、山吹の姉であり母上の乳兄弟で母上の身代わりとなった浅沙あさざやその夫と子供。みんな亡くなってしまっただけでなく、御遺体を埋葬する事すらできていないのだから。

ただ、申し訳ないとは思うんだけど私にとって、より重要なのはここでの生活の質の向上なのです。勿論、私だって亡くなられた方々の永久の眠りが安らかであってほしいと心より願っています。ですが、私にできる事はただ願う事だけ……。
どうしたって今、全力で取り組んでいる皆の生活の質の向上の方が私にとっては重要なのです。我ながら自分の薄情さに自己嫌悪に陥る事もあるけれど、日々詰みあがっていく問題が多すぎて……。

その山積みの問題の中の一つに山吹との関係があります。彼とはあまり良い関係を築けていません。何せ未だに目を合わせてもらえないのです。とはいえイジメられたり邪険にされたりといった事はないのですが……。ただ目が合わず、顔を正面から見ることが無く、山吹の方から声をかけてもらえないのです。

どうすれば仲良くなれるのかなぁ……。
碧宮家のみんなに敵意も害意も無いって山吹に分かってもらうには如何したら良いんだろう。ただ、仲良くなりたくても私自身がまだ喃語に毛が生えた程度の言葉しか喋れないから難しいんですよね。やっぱり言葉の勉強を今まで以上に頑張るしかないのかも……。




さて、様々な方面で山盛りの問題がある日々ではあるのですが、現状において唯一のリラックスタイムとなる温泉はじゃんじゃん火が危険なので私は禁止中でした。

えぇ、私限定ですよ!!
三太郎さんたちは毎日入りに行っているのにっ!

三太郎さんたちってば、私が入れないうちにすっかり温泉にはまってしまったのです。三太郎さん全員が同時に温泉に行く事はなかったので、私を含め全員が暫くは気付かなかったのですが、それぞれ自分の役目の合間に入っていたようです。最初はちょっとした好奇心からだったのが、意外と気持ち良い?からドはまりするまで坂を転げるようにというか、崖から落ちるかのように温泉の虜に。

三太郎さんたちだけずるいーーーー。

私なんて極日の間は夜中にこっそり川で水浴びだったのに。
だからこそ火の陰月となった今!温泉復活を果たしたいです!!

ただその前に、前回の入浴時に幾つかの問題を持ち帰っているので、まずはそれに関しての相談を例によって精神世界で行います。

「シャワーホースは無しの方向でするとしても問題は水栓だよねぇ。
 蛇口をひねると水が出たり止まったり……
 あれどういう仕組みなんだろう?」

あまりにも悩みすぎて、頭から湯気が出そうです。

「あぁぁ、もう! 
 いっそドラ〇もんを出現させるチート能力に目覚めないかなぁ」

無茶言っているのは百も承知ですが、特別優秀でもない普通の女子高生にとって、日本にある極普通の道具ですら再現するのはかなりハードルが高いです。

「なんです? その“とりゃえもん”というのは……?」

「えーとね、説明が難しいんだけど元居た世界の人が考えた……って。
 そうかっ! ひみつ道具を自分で作れば良いんだ!」

せっかく精霊という何でも……は無理でも、様々なチートが使えそうな三太郎さんたちが手伝ってくれているんだから、ひみつ道具っぽいモノを自作してしまえば良いんですよね。例えばマッチやライターを作る事は私の知識じゃ難しいけれど、桃さんの技能「着火」の力を込めた道具を作れば同じ事が出来る訳だし。

「また妙な事を言い出したな……」

ちょっと呆れ気味の金さん。最近、金さんのこの表情をよく見ている気がします。反対にワクワクした顔でこちらを見てくるのは桃さんです。

「なんだ、その ひみっちゅろーぐってのは!」

ドラ〇もんのひみつ道具として脳内に浮かんだ定番の品々の所為で、心話の変換が上手くいっていなかったようです。

「簡単にいえば精霊の力を込めた道具って感じかなぁ?
 例えば着火の力を籠めた道具を作れば
 私にもその道具を使って「着火」が使えるようになるような……」

「あなたは精霊になるつもりですか?」

ひみつ道具の説明を聞いた浦さんの視線が冷たいです。神の一部である精霊が持つ技能を人間が使いたいと思うのは、不敬や不遜って言われてもおかしくない事なのかもしれません。

「でも着火は妖由来だし?
 ……すみません、ごめんなさい、詭弁でした」

浦さんの視線の温度がさらに下がったのを見て素直に謝ります。それから改めて協力要請。もしこれが実現すれば一部では前世に劣るかもしれないけれど、別の部分では前世を越えるストレスフリー生活ができるかもしれません。どうしたって前世にあった様々な電化製品の便利さには敵わない部分ってあるだろうしなぁ……。


結局、桃さんはノリノリで協力してくれる事になり、浦さんは私が人里離れた此処で使うのならばという条件を付けたうえで協力してくれる事になりました。一番渋るかと思った金さんでしたが、浦さんと同じ条件が前提ではありますが結構乗り気です。意外と未知の技術というモノに一番興味を持っているのは金さんなのかもしれません。

とはいえ、作りたいと言って「はい、できました」とは当然いかなくて……。

「精霊の力を籠めやすいモノって何か心当たりない?
 前世知識でいえば石とか……。うーん、後は木片とか紙もあったかも」

神社で買うお守りとかお札とかがそんな感じだったように思うのです。

「力を籠めるとか考えた事ねぇしなぁ。
 ただ俺様の力と親和性つーか融和性が高いっていう意味ではコレじゃね?」

そう言って指さしたのは髪にくっついている丸いキラキラした宝石でした。三太郎さんたちの髪についているこの丸い宝石は見た目が変化したあの時からくっついていました。なんとなく精霊としての力の象徴とか発露みたいなものかなと思っていたのですが……。

「それって結局何なの?」

当人に聞くのが一番手っ取り早いですよね。
えぇ、当人が知っていればですが。

「わかんねぇ」

やっぱりかーーーーー。もうちょっと自分に興味持ってっ!!!

「ただ、俺様にずっとくっついていただけあって力の通りは良い感じがするぜ?」

そんな私と桃さんのやり取りを見ていた金さんが

「恐らくではあるが我のは震鎮鉄しんちんてつ
 桃太郎のは火緋色金ひひいろかねではないかと思われるが……」

と思案気に顎に指を当てつつ言います。

「そして私のが深棲璃瑠みすりるでしょうね」

続いて浦さん。
良かった、金さんと浦さんはちゃんと調べていたんですね。

二人が告げた金属の名前と思われる部分は文字化けならぬ音声化けしていたので、私の世界には無い金属なのでしょうね。とりあえずはルールに則って発音をしっかりと教わります。その次にいつもならば意味を心話をあえて封じて会話だけで教わるんですが、今回ばかりは気が急いてしまって心話でお願いしちゃいます。

今回だけ、今回だけです。

「なんだか聞いた事のない金属ばかりが出てきたんですけど、それらは一体?」

「我が身に着けている震鎮鉄は地底深くで採掘できる金属でな、
 ほぼ球体の形で採取できる。神代の昔に震え続ける大地を鎮める為に
 神が作られたという謂れがあり、見た目以上に重いのが特徴だな」

金さんはほぼ球体というけれど、私には球体というよりはファンタジー系のゲームなどで見かけるスライム型、或は水信玄餅型とでも言えばよいのか底部分が平になった球体に見えます。色はぱっと見は金色に見えますが、一般的な金色より若干暗めの落ち着いた感じの色です。

「私が身に着けている深棲璃瑠は深海で取れます。
 瑠璃と間違われる程によく似た見た目をしていますが瑠璃ではないので、
 名を逆さまにして璃瑠と昔は呼んでいたようですね。
 今はそれに深き所に棲まうモノという意味が加わり深棲璃瑠と呼ぶようです」

そう言って浦さんが見せてくれた石をよく見ると、確かに瑠璃のように濃い青色の石です。ただ石の中にある不純物?が金色というよりは青みがかった銀色に輝いていて、そこが本物の瑠璃とは違うようです。それにしても深い海でしか取れないんじゃそうそう手に入らなさそうだなぁと思ったら、稀に小さいものなら浜辺に打ち上げられる事があるんだとか。

「へー、俺様のコレ火緋色金だったのか。気にした事なかったぜ。
 火緋色金っつーのは岩すら溶けだすんじゃないかってぐらいの高温の場所で
 稀に作られる、火の結晶ともいわれる石だな。ほら、綺麗だろ!」

浦さんに続いて桃さんも掌に載せた火緋色金を見せてくれます。基本は鮮やかな緋色の石なのですが、どういう訳なのか宝石の表面が角度によって深紅の炎が揺らめいているかのように見える不思議仕様。この石は火山の噴火時に火山弾の一部として飛んできたり、溶岩の流出と共に流れ出てくる事が稀にあるらしく、それも火の結晶と呼ばれるようになった一因なんだとか。

「これにならみんなの力を籠められそう?」

期待を込めて三太郎さんを見上げるのですが、返ってきた答えは渋いものでした。

「いえ、ですからね。
 私達の力を別のモノに籠めるなんて事、今まで誰もやった事がないのですよ」

「そもそも我の力を籠めるというが、どうやって籠めるのだ?」

「だよな。櫻が考えてる事は面白そうだとは思うし、俺様だってやってみたいぜ?
 でも俺様にはそのやり方に見当もつかねぇーよ」

と、けんもほろろです。神や精霊に関して疑問を抱かない世界なだけあって、今まで誰も考えもしない事だったのでしょうね。

まぁ……私だって前世の頃をならば、神社にお参りに行ってお守りを買う事はあっても、神様の力を使える道具を作ってほしいなんてお願いするどころか考えもしませんしね。でも、だからって諦めるなんて選択肢は当然無く

「んー、なら精霊力じゃなくて技能を込めるって感じにはできない?
 だって、桃さんはじゃんじゃん火を倒したら技能が増えたんでしょ?
 それって何かがじゃんじゃん火から桃さんに移動したって考えられない?
 だとしたら、それを桃さんから石に移動する事だってできるんじゃないかな?」

そう言ってから、移したら桃さんの中から技能が消えてしまう可能性に思い至り、

「あっ、できれば移すではなくて写すって言う感じで挑戦してほしいです。
 移動してきた何かをそっくりそのままコピー&ペースト!これです!」

コピー&ペーストがどういう伝わり方をしているか心配だけど、言いたい事は伝わったようです。

「まぁ、何にしてもソレに挑戦できるのは桃太郎だけであろうな。
 我は技能が増えておらぬゆえ何かが増減する感覚が解らぬし、何より忙しい」

「そうですね、私もこれより暫くはここを離れる事が増えますし。
 櫻の優先順位としても、その方が良いのでしょう?」

そう二人が私を見ながら言います。

「勿論です。金さんと浦さんは最優先で家の完成をお願いします。
 無の月が来る前どころか地の極日ぐらいまでには完成させて
 地の陰月中には引っ越したいですから!」

まずはこの冬を乗り越える事が最優先です。ヤマト国は豪雪地帯なので地の極日を過ぎた頃には雪がちらつき始め、終わり頃には積雪で身動きが取れなくなる可能性が高いのです。その前に寒さをしのげる設備を持った家が絶対に必要です。

なので前々から家の完成をお風呂の次の目標としていました。
そして家を作る……誰が?という問題に当然のように直面し、

「精霊力で地面からゴゴゴゴゴーって家を生やせない?」

という私の発言に、金さんからは呆れた視線を、浦さんからは溜息を頂いたりもしました。子供の頃に見た映画にそんな感じのシーンがあったんだけど無理だったようです。まぁ精霊力で生やせないなら地道に作るしかない訳で……。
それでも金さんの技能があれば地面を固く均したり、柱の下の束石を作ったりはお手の物でしょうからゼロからって程ではないんですけどね。

なので必要なのは知識。知識さえあれば三太郎さんの技能を使って出来る事と出来ない事が把握できて、打開策を相談する事もできます。その知識を得る為に金さんには主にヤマト国に向かってもらい建築全般の知識を、浦さんには天都とミズホ国に向かってもらって水回り全般の知識を手に入れてきてもらう予定なのです。自重はしませんから徹底的に利便性を追求しますよ。

「桃太郎。我らが留守の間、櫻の守りをそなた一人に任せることになるが……。
 そこは大丈夫だな?」

「大丈夫に決まってんだろ、俺様が付いていて万が一なんてねぇーよ」

「……金太郎。あなたは比較的近いのですから、こまめに戻ってきてください」

「あいわかった」

「なんでだよっ!」

私が色々と考えている向うで三太郎さんたちが騒がしいですが、あれはあれで仲が良いのかなと最近は思うようになりました。だって本当に仲が悪いと顔を見るのも言葉を交わすのも嫌じゃないですか……。

って事はやっぱり……
私は山吹に嫌われちゃってるんだろうなぁ……。




「とはいえ、地の極日前に7ztfg@問題を如何にかせねばならんがな」

そう金さんが切り出したのは例の沢蟹?のでっかい奴が近くに住んでいるとかいう問題です。標高の高い拠点予定地付近だとここよりも早い時期から雪がちらつき始めてしまうでしょうし、前世の沢蟹と同じで冬眠しちゃうのかもしれません。

「じゃぁ金さんと浦さんが出発する前にその問題を片づけちゃおう。
 数はたくさんいそうなの?」

じゃんじゃん火で経験済みですが、数が多ければ相手の強弱に関わらず大変な作業になってしまいます。でも少々大変でも美味しかったら全ての苦労が吹き飛んじゃいそうですけどね。あぁ……蟹さん、美味しかったら良いなぁ。蟹の長期保存ができるかどうかは解らないけれど、沢山とれたら色んな保存法に挑戦できそうです。保存法で一般的なのは干物、塩漬け、燻製といったところでしょうか。後は酢漬けや油に漬けるのもいけそうです。夢がどんどん広がります。

「そうだな……。かなりの数が居るな。
 だが、特別大きいのはそこまでではないと思うが……」

指を顎にかけて思い出すように話す金さん。
なるほど、毛ガニがたくさんでタラバガニが少数って感じでしょうか。
或はタラバガニがたくさんとタカアシガニが少数といったサイズかもしれませんが。

「んー、三太郎さんたちが揃っているうちの方が良いだろうから
 サクッと今晩にでも行っちゃいますかっ!
 何か道具があった方が良いのなら、昼間のうちに用意しておいてくださいね」

数が多いのなら人数が揃っている今のうちに、尚且つ何か道具が必要ならそれを持って行った方が良いねと、そう決めた火の陰月のお昼寝タイムでした。
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