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1章
決意の夜 :鬱金
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アマツ大陸の西側の山岳地帯にあるヤマト国が白い雪に覆われるこの時期、大陸中の都市の大通りは一気に人出が増える。それは地方の村々から都市部へと一気に出稼ぎ労働者が流れ込むからだ。
なので都市部の人口が一気に激増する……かと思えばそれ程ではなく、この時期は各国の軍がさまざまな演習や任務を行う為、都市部には最低限にはならない程度の部隊を残して殆どが出払ってしまう。なので人口は確かに増えはするが、倍増という程にはならない。
アマツ各国では土の陰月の頃に都市防衛を任された部隊以外は其々の任地へと向かい、ある部隊は男手が一気に減ってしまう町や村の警備や残っている住民の警護を、水の月に入って男手が戻るまで務める。また別の部隊は関所に詰めて、通常業務とは別に移動する人の為に街道の整備をしつつも行き交う人々を守る任務につく。更に別の部隊は大きめ出稼ぎ集団と共に移動して野盗や妖の襲来に備えたりと、軍もかなりの忙しさになる。
こうやって普段はできない民間人を守りながらの戦闘や行軍のやり方を学ぶのだ。大昔とは違い、天都が出来た事により国家間の戦争や国境付近の紛争が起こらなくなった。その為、各国の軍も少しずつ在り方が変わっていき、今では戦争などの大規模な戦闘よりも野盗などを相手にした小規模戦闘、或は対妖戦に特化した集団となっていた。
そして此処はヤマト国の首都。
この国ではそびえる山がそのまま一つの都市で、山の名前が都市の名前となっている。勿論ヤマト国にある全ての山に都市がある訳ではなく、比較的住みやすい条件が揃った山に限定された話しだ。そんな都市がある山の中でも一際雄壮な山に、ヤマト国の首都の「大和」があった。
他の山に比べて円錐に近い形をしている大和の、8~10合目に王宮が、7合目に高位華族の邸があり、6合目に下位華族、5合目に高級商店が並び、4合目に上級平民……その下に中級平民、平民向け商店、下級平民と山の高さによって住んでいる人が変わっていく……そんな国だ。
この国ではあらゆる建物が、上よりも下……地下へと階層を増やす傾向にあるので高層の建物は珍しい。そんな中で数少ない例外が王宮だ。まるで山の斜面と一体化したようにみえる城は、華麗や美麗というよりは質実剛健といった風情だが、その分力強く国民に安心感を与える外観をしていた。
そして都市部の人口が倍増していないのにも関わらず、大通りの人出が通常時の数倍になるのは、地方から出てきた人が自分が持ち込んだ品を出来るだけ高値で買い取ってもらおうとあちこちの商店で交渉したり、はたまたそういった出稼ぎの人相手の商売に励む人々でごった返すからだ。
希少な品ならば兎も角、持ち込まれやすい品は後になれば後になるほど買取価格が下がる傾向にある。地方民はそのお金で塩をはじめとした生活必需品を買って帰らなければならない訳で、文字通り自分と家族の命が掛かっている。当然ながら少しでも高値で買い取ってもらおうと、大通りは熱気を通り越してある意味殺気じみた雰囲気すら漂わせていた。
そんな大和の平民向け商店が並び人で溢れる大通りを、鬱金は厚手の外套に身を包み、外套と一体化している頭巾を目深に被って急ぎ足で移動していた。幸いな事に雪がちらつく寒さなので頭巾を被っている人も多く、鬱金だけが悪目立ちしているような事はない。そんな鬱金も持ち込んだ品々を先ほど全て売り切る事が出来て、ひとまずは安心といった所だ。
大和に着いた直後に、仕事の斡旋に加えて手数料はとられるものの貴重品を預かってもらえる座に登録し、宿泊所……と言っても出稼ぎ労働者用の格安の木賃宿も決めてあるので、今日中にやらなくてはならない用事は全て終わっている。
……表向きは。
地方から出てきた人が次々と入っていく建物の一つに風呂屋がある。浴衣を着て蒸気に満ちた部屋に入り、これでもかと汗をかいた後に汚れをこすり落とし、水をかぶって全身を清める蒸し風呂屋だ。
鬱金も大衆風呂屋を見つけると中に入り、自分の服を籠に入れて番台にいる従業員に手渡した。籠を受け取った従業員は愛想よく籠を受け取ると、その籠についている番号と同じ木札を渡してくる。その木札を浴衣の懐に仕舞った鬱金は、蒸気の部屋へと入ると一番奥の隅に座る事にした。
「ふぅ…………」
冷え切った身体にこの部屋は暑すぎて少し眩暈がするが、それでも我慢して入っていると徐々に全身が汗だくになっていく。そうなったら部屋の隅にある水場に行って、そこにある糸瓜を乾燥させて作られた束子で身体をこすって汚れを落とす。
それを気が済むまでやれば、後は頭から水をかぶって終了だ。その頃には全身がホカホカで、頭から水をかぶっても寒いどころか気持ち良くすら感じるだろう。
鬱金がそうやって後は最後の水をかぶるだけの状態で部屋の隅に座っていると、別の場所に座っていた若い男性が鬱金のすぐ横に座った。
「今日の雪はどれぐらい積もりますかねぇ?」
と尋ねてくる男に
「たとえどんなに積もっても水の陽月には溶けますよ。
巡らない季節はありませんから」
と鬱金は普段の口調とは少し違った口調で答えた。すると相手の男は先程よりも少し声量を下げて
「こうも世界が白くなると、緑が芽吹く季節が待ち遠しいですね」
と続け、それに対し鬱金は
「俺は大地が黄金色に染まる季節が今から待ち遠しいですよ」
と笑いながら答えた。それに対し、相手の男もハハハと笑うと「私もです」と言いながら握手を求めてきたが、その手には何かが握られていた。
鬱金は相手が手を差し出したのを見て、懐に入れっぱなしだった手を出して握手を交わす……ふりをしてお互いの木札を交換した。
そうやって鬱金は謎の男と服を交換して風呂屋を出た。次に向かうのは此処よりも上層にある上級平民地区だ。そこにある全く特徴らしい特徴の無い家に行商のふりをして入ると今度はそこで服を交換し、自分の代わりとして扉から出ていく男を尻目に裏から家を出る。それを数回繰り返して鬱金は徹底して自分の痕跡を消した。目指すは更に上の高級商店が並ぶ地区だ。
高級商店に荷物を運び込む行商人のふりをして、鬱金は幾つか立ち並ぶ商店の中でも大き目の店の裏口へと向かった。その商店の裏口には一人の男が仕事をしていたのだが、鬱金が近づくとすっとその顔を上げた。その人物を相手に鬱金は先程と同じやり取りを、今度は自分の方から「今日の雪は……」と始めた。
そうして先ほどと同じやり取りを最後まで聞いた男は、自然な様子で
「あぁ、寒いのに外で雑談してしまってすみませんね。
荷物は此方に搬入してください」
と言って、地下へと続く扉へと案内した。灯りはあるものの地下倉庫は広く、また奥行きがあるせいで奥の方は薄暗い。その奥の片隅にあった木箱を男がずらすと、床に地下倉庫の更に下へと通じる扉が現れた。
その隠し扉をトト・ト・トトトンと不思議な拍子で叩くと、扉が下から開いて男が現れた。その男は素早く倉庫へ上がってくると、持ってきた外套と鬱金の外套を取り換えた。そして
「それではまた! 御贔屓いただきありがとうございました」
と鬱金のふりをして出ていく。残された鬱金は交換した外套を纏うと、ぽっかりと開いた穴の中へと入って行った。
薄暗く狭い通路に一人入った鬱金は、穴に入る際に手渡された手提げ提灯と細長い木片を手に前へと進むことにした。その細長い木片には右、左、左、右といった感じに上から順に色が付けられていて、その順番通りに地下通路を折り曲がりながらしばらく歩き続けると梯子にたどり着いた。その梯子を昇るとやはり扉があり、どこかの納屋らしき場所に出る。
「遅いではないか。だが息災そうで何よりだ」
その納屋の片隅には、この場所に全く似つかわしくない格好の男がいた。高級商店へと買い物に来る客はせいぜい下級華族までで、それ以上の身分の華族は商人を邸へ呼びつける。地下通路を歩いた距離や時間を考えても、この辺りは下級華族の邸がある地区のはずだ。だが、目の前の男はとてもそうは見えない。身に纏っている衣服もさることながら雰囲気が違うのだ。そんな身分が高そうな男が眉根を寄せて、機嫌が悪そうに自分へと話しかけてきたのだから、普通であれば身が竦む思いをするところだ。なのに
「手間がかかるのだから仕方ないだろう。
それより、なぜ茴香の真似をしているんだ、蒔蘿」
と、鬱金はどこ吹く風とばかりに相手の言葉を流しただけでなく、逆に問を返す始末だ。鬱金の言葉に蒔蘿と呼ばれた男は肩をすくめると
「これだから令法はおもしろくない。
なぜ俺達の見分けが簡単につくのか、教えてほしいんだが?
俺たち双子を簡単に見分けられる奴なんて、家族以外にはそう居ないぞ?」
「まだその悪戯を傍仕えにやっているのか?」
「ははは、王宮での数少ない楽しみだからな。
まぁ……やる相手や場は弁えているさ。」
そう言って先程とは全く違った口調と表情で会話を続ける蒔蘿は、この国の王太子の息子だ。ヤマト国王は70歳を少し過ぎた年齢で、その息子の王太子は鬱金の父親と同年の48歳。その更に息子である茴香と蒔蘿は鬱金と同じ17歳だ。
そんな二人は話しながら納屋に入ってきた扉とは別の扉から外へと出た。そこは小さいながらも見事な庭園で、先程の納屋は庭園を維持するための道具を仕舞っておく場所だという事が解る。また庭園だからこそ、その納屋は目立たないように建てられていて、隠し通路の出口としてうってつけだった。
「姫沙羅様はお元気か?」
改まった雰囲気で話しだす蒔蘿に鬱金は頷くと
「あぁ、今は元気だ。
前の無の月の時には少々寝込んだと聞いたから
今年は昨年以上に薪と食べ物を用意してから来た」
と答えた。そもそも昨年は岩屋にたどり着いたのが土の陽月に入ってからで、準備期間が全く足りなかったうえに沙羅の体調も悪く、薪も食料も本当にぎりぎりの量しか用意できなかったのだ。
「おいたわしい……。
本来であれば姫沙羅様は天女として、
もっと穏やかにお暮しになられるはずなのに……」
「姉上は天女としての生活を望んではおられなかったけどな」
そうやって二人は庭園を通り抜け、近況報告をしつつ屋内へと入った。その部屋は庭を眺める大きな窓のある簡素な部屋で、床には藺草を渦巻き状に丸く編んだ円座が二つあり、そこに二人は腰を下ろした。
「人払いは済んでいるから安心してくれ」
「あぁ、助かる。
単刀直入に聞く、俺達を襲った奴らの捜査に進展はあったか?」
鬱金が此処に来た大きな理由の一つが、自分たちを襲った奴らの身元が特定できたかどうかを確認するためだった。それに対し蒔蘿は一つ溜息をつくと
「今年も山吹が天都に行っているのだろ?
なので山吹からも聞くことになると思うが……
下手人の男たちは水の陽月の頃に捕まり、すぐさま処刑された」
と簡潔に伝えた。そんな蒔蘿の言葉に鬱金は眉根を寄せながら
「早くないか?」
と訝し気に答えた。そこに自分たちを襲い家族を奪った奴らが捕まった事に対する喜びなどは一切ない。
「あぁ、不自然な程にな。
喰い詰めた者達が警備の薄い宮家を襲ったという事らしいが……」
「ここ近年、農民が喰い詰める程の不作な年も地方も無かったように思うが」
と鬱金は思考を巡らす。ここ数年の気候は安定しており、台風や蝗害といった災害の情報が天都に入ってきた覚えはない。それは蒔蘿も同じだったようで、鬱金の言葉に頷いて同意を示した。
軍によって繰り返し討伐されようとも、山賊を始めとした犯罪者集団は存在し続ける。その大半は天災などで作物が思うようにとれず食べる事に困った農民か、親に捨てられたり親を失ったりした子供の慣れの果てだ。
罪を犯せば自分を守ってくれる精霊からの守護が薄くなるので、進んで罪を犯すような者は極めて少ない。だが、生きていく為に手を犯罪に染める者はどうしても生まれてしまう。そういった者には精霊もある程度までは寛容で、守護を完全に消す事は無いと言われている。
そういった人の為の救済施設として施薬院が天都や各国にあるのだが、残念な事に全ての人を受け入れられる程の収容力が無いのが実情だ。
「そもそも処刑が無の月以外に行われる事がおかしい」
「そうだな、罪人の死の汚れで精霊様の御力を陰らす事のないよう、
犯罪者の処刑は無の月に行われるのが通例だ。
だが今回は宮家を襲撃、しかも天女様の殺害という極めて重い罪の為、
即座に処刑する事となったらしい」
鬱金の疑問に蒔蘿が答えるが、当の蒔蘿ですら疑問を感じてしまっているようだ。
「不自然な点が多すぎる為、親父殿の許可をとったうえで
引き続き俺や兄貴の直下の影が情報を集めているが……。
現時点で解っている事は、敵の姿の輪郭すら掴めないという事ぐらいだ
すまんな……。」
「謝らないでくれ。俺達がどれだけお前たちに助けられたか……。
あの日、逃げる俺達に何も聞かず何も言わずに馬を与えてくれたことも
父上が小父さんと仲が良かったとはいえ、今こうして隠れ住みながらも
出稼ぎに大和へ来られるのも、全てお前たちや小父さんのお蔭なんだから」
関所を通ったり大きな町や都に入るには身分証明が必要だが、その身分証明は神社が発行している。基本的には13歳の時に行う十三詣りで自分の守護する精霊を知り、準備期間を経て15歳の成人の儀で自分を守護する精霊の神社に登録することになる。その際に何やら複雑な模様と名前や生地が刻まれた、手のひら程の大きさの金属板が渡されるのだが、これが身分証明となって関所を通ったり座に登録できたりする。
つまり素性を隠して住んでいる鬱金や山吹が、関所を通って出稼ぎに行く為の最大の難関がこの身分証明だった。そもそも天都から逃げだすにも関所があり身分証明が必要だ。だが襲撃から命からがら逃げ出した鬱金たちに身分証明となる金属板を持ち出す余裕は無かった。
勿論、単なる野盗の襲撃ならば天都から逃げ出す必要も隠れる必要もない。だが鬱金は襲撃時の野盗の統率された無駄のない動きや一切の躊躇が無い様子などから、ただの野盗だとは思えなかった。何より父親である碧宮当主が警戒していのは、各国上層部の動きだった。正確にはミズホ国とヒノモト国、そして朝廷だった。自分たちを取り込もうとする輩にも注意が必要だったが、一番の脅威はやはり排除しようと闇の奥底で蠢くような一派だったらしい。
そんな窮地を救ったのが蒔蘿と茴香の双子だった。双方の父親が仲が良かった為に小さい頃から交流があり、年も同じだったので鬱金や山吹は茴香や蒔蘿とすぐに仲が良くなった。当時はまだ沙羅も天女とは判明しておらず、双子の王子は姫沙羅やその乳母子の浅沙を「姫沙羅姉」「浅沙姉」と呼んで慕っていたものだ。
そんな小さい頃からの友が満身創痍の姿で目の前に現れた双子の片割れの茴香は、すぐさま腹心の随身のみを残して人払いし、
「私は何も見ていない、何も聞いていない。
私は今から落とし物をするかもしれないが、それは私の与り知らぬ事だ」
と、いつも以上に険しい顔をして身分証明の金属板をそっと地面に置いた。一緒にいた蒔蘿もそれに倣って金属板を山吹の目の前に置く。それはヤマト国の王族が持つ隠し戸籍だった。もともとは王族がお忍びで城下に行く際に使用していた偽りの戸籍なのだが、とある理由から王家直系男児が生まれると同時に必ず複数作られるものだ。
決して公にしてはならない制度だが、同時にいざという時に己の身を守る手段ともなりえるので、双子の王子は国を離れる際には必ず持ち歩くようにしていた。その戸籍によって令法は旅商人の鬱金となり、山吹はその護衛という身分を得たのだった。
「むしろ俺達が迷惑をかけてしまった事を謝らなくてはならない……。
色々とすまなかった。そして感謝している、ありがとう」
円座の横に拳をおいて深々と頭を下げる鬱金を、蒔蘿は慌てて止めた。
「それこそ止めてくれ。手助けできない事の方が俺達にとってはつらい。
親父殿を見ていて、それをひしひしと感じるよ」
「小父さんを?」
「あぁ、碧の小父さんたちが亡くなった事、かなり堪えているみたいだ。
王太子としての仕事は勿論しっかりとやっているが、それ以外の時が……な。
それに俺達だって姫沙羅様や令法が無事だった事に安堵はしているものの、
浅沙姉を助けられなかった事は、今でも悔やんでいる」
そういう蒔蘿の言葉に鬱金は「そうか……」と返した。確かに自分が逆の立場だったなら、差し伸べた手を迷惑をかけたくないという理由で拒否されたり、自分の知らない間に命を落とされたりする方が辛い。
「解った。だが、万が一にも蒔蘿や茴香に手が及ぶことがないように……
自分たちの安全を最優先にしてくれ、それだけは約束してほしい」
と言う鬱金に、蒔蘿も
「お前たちもだぞ。必ず生きていてくれ。
その約束を守ってくれるのなら、俺もその約束を守ろう」
と返したのだった。
その後も幾つかの情報のやりとりをしてから二人は別れたのだが、蒔蘿に一番衝撃を与えた情報は沙羅にもう一人子供が出来たというモノだった。
そして鬱金は再び様々な隠蔽工作をしながら宿へと戻った。その宿の窓から空を見上げれば、この季節にしては珍しく雲の合間から月が顔をのぞかせていた。その月を見上げながら鬱金は誓う。
(俺は家族を必ず守る、必ずだ。
もう誰一人として失いはしない……)
と。姉の沙羅とその息子の槐、自分の乳母の橡と乳母子の山吹、そして新たに家族となった櫻。誰一人として失いはしないと鬱金は決意を新たにしたのだった。
なので都市部の人口が一気に激増する……かと思えばそれ程ではなく、この時期は各国の軍がさまざまな演習や任務を行う為、都市部には最低限にはならない程度の部隊を残して殆どが出払ってしまう。なので人口は確かに増えはするが、倍増という程にはならない。
アマツ各国では土の陰月の頃に都市防衛を任された部隊以外は其々の任地へと向かい、ある部隊は男手が一気に減ってしまう町や村の警備や残っている住民の警護を、水の月に入って男手が戻るまで務める。また別の部隊は関所に詰めて、通常業務とは別に移動する人の為に街道の整備をしつつも行き交う人々を守る任務につく。更に別の部隊は大きめ出稼ぎ集団と共に移動して野盗や妖の襲来に備えたりと、軍もかなりの忙しさになる。
こうやって普段はできない民間人を守りながらの戦闘や行軍のやり方を学ぶのだ。大昔とは違い、天都が出来た事により国家間の戦争や国境付近の紛争が起こらなくなった。その為、各国の軍も少しずつ在り方が変わっていき、今では戦争などの大規模な戦闘よりも野盗などを相手にした小規模戦闘、或は対妖戦に特化した集団となっていた。
そして此処はヤマト国の首都。
この国ではそびえる山がそのまま一つの都市で、山の名前が都市の名前となっている。勿論ヤマト国にある全ての山に都市がある訳ではなく、比較的住みやすい条件が揃った山に限定された話しだ。そんな都市がある山の中でも一際雄壮な山に、ヤマト国の首都の「大和」があった。
他の山に比べて円錐に近い形をしている大和の、8~10合目に王宮が、7合目に高位華族の邸があり、6合目に下位華族、5合目に高級商店が並び、4合目に上級平民……その下に中級平民、平民向け商店、下級平民と山の高さによって住んでいる人が変わっていく……そんな国だ。
この国ではあらゆる建物が、上よりも下……地下へと階層を増やす傾向にあるので高層の建物は珍しい。そんな中で数少ない例外が王宮だ。まるで山の斜面と一体化したようにみえる城は、華麗や美麗というよりは質実剛健といった風情だが、その分力強く国民に安心感を与える外観をしていた。
そして都市部の人口が倍増していないのにも関わらず、大通りの人出が通常時の数倍になるのは、地方から出てきた人が自分が持ち込んだ品を出来るだけ高値で買い取ってもらおうとあちこちの商店で交渉したり、はたまたそういった出稼ぎの人相手の商売に励む人々でごった返すからだ。
希少な品ならば兎も角、持ち込まれやすい品は後になれば後になるほど買取価格が下がる傾向にある。地方民はそのお金で塩をはじめとした生活必需品を買って帰らなければならない訳で、文字通り自分と家族の命が掛かっている。当然ながら少しでも高値で買い取ってもらおうと、大通りは熱気を通り越してある意味殺気じみた雰囲気すら漂わせていた。
そんな大和の平民向け商店が並び人で溢れる大通りを、鬱金は厚手の外套に身を包み、外套と一体化している頭巾を目深に被って急ぎ足で移動していた。幸いな事に雪がちらつく寒さなので頭巾を被っている人も多く、鬱金だけが悪目立ちしているような事はない。そんな鬱金も持ち込んだ品々を先ほど全て売り切る事が出来て、ひとまずは安心といった所だ。
大和に着いた直後に、仕事の斡旋に加えて手数料はとられるものの貴重品を預かってもらえる座に登録し、宿泊所……と言っても出稼ぎ労働者用の格安の木賃宿も決めてあるので、今日中にやらなくてはならない用事は全て終わっている。
……表向きは。
地方から出てきた人が次々と入っていく建物の一つに風呂屋がある。浴衣を着て蒸気に満ちた部屋に入り、これでもかと汗をかいた後に汚れをこすり落とし、水をかぶって全身を清める蒸し風呂屋だ。
鬱金も大衆風呂屋を見つけると中に入り、自分の服を籠に入れて番台にいる従業員に手渡した。籠を受け取った従業員は愛想よく籠を受け取ると、その籠についている番号と同じ木札を渡してくる。その木札を浴衣の懐に仕舞った鬱金は、蒸気の部屋へと入ると一番奥の隅に座る事にした。
「ふぅ…………」
冷え切った身体にこの部屋は暑すぎて少し眩暈がするが、それでも我慢して入っていると徐々に全身が汗だくになっていく。そうなったら部屋の隅にある水場に行って、そこにある糸瓜を乾燥させて作られた束子で身体をこすって汚れを落とす。
それを気が済むまでやれば、後は頭から水をかぶって終了だ。その頃には全身がホカホカで、頭から水をかぶっても寒いどころか気持ち良くすら感じるだろう。
鬱金がそうやって後は最後の水をかぶるだけの状態で部屋の隅に座っていると、別の場所に座っていた若い男性が鬱金のすぐ横に座った。
「今日の雪はどれぐらい積もりますかねぇ?」
と尋ねてくる男に
「たとえどんなに積もっても水の陽月には溶けますよ。
巡らない季節はありませんから」
と鬱金は普段の口調とは少し違った口調で答えた。すると相手の男は先程よりも少し声量を下げて
「こうも世界が白くなると、緑が芽吹く季節が待ち遠しいですね」
と続け、それに対し鬱金は
「俺は大地が黄金色に染まる季節が今から待ち遠しいですよ」
と笑いながら答えた。それに対し、相手の男もハハハと笑うと「私もです」と言いながら握手を求めてきたが、その手には何かが握られていた。
鬱金は相手が手を差し出したのを見て、懐に入れっぱなしだった手を出して握手を交わす……ふりをしてお互いの木札を交換した。
そうやって鬱金は謎の男と服を交換して風呂屋を出た。次に向かうのは此処よりも上層にある上級平民地区だ。そこにある全く特徴らしい特徴の無い家に行商のふりをして入ると今度はそこで服を交換し、自分の代わりとして扉から出ていく男を尻目に裏から家を出る。それを数回繰り返して鬱金は徹底して自分の痕跡を消した。目指すは更に上の高級商店が並ぶ地区だ。
高級商店に荷物を運び込む行商人のふりをして、鬱金は幾つか立ち並ぶ商店の中でも大き目の店の裏口へと向かった。その商店の裏口には一人の男が仕事をしていたのだが、鬱金が近づくとすっとその顔を上げた。その人物を相手に鬱金は先程と同じやり取りを、今度は自分の方から「今日の雪は……」と始めた。
そうして先ほどと同じやり取りを最後まで聞いた男は、自然な様子で
「あぁ、寒いのに外で雑談してしまってすみませんね。
荷物は此方に搬入してください」
と言って、地下へと続く扉へと案内した。灯りはあるものの地下倉庫は広く、また奥行きがあるせいで奥の方は薄暗い。その奥の片隅にあった木箱を男がずらすと、床に地下倉庫の更に下へと通じる扉が現れた。
その隠し扉をトト・ト・トトトンと不思議な拍子で叩くと、扉が下から開いて男が現れた。その男は素早く倉庫へ上がってくると、持ってきた外套と鬱金の外套を取り換えた。そして
「それではまた! 御贔屓いただきありがとうございました」
と鬱金のふりをして出ていく。残された鬱金は交換した外套を纏うと、ぽっかりと開いた穴の中へと入って行った。
薄暗く狭い通路に一人入った鬱金は、穴に入る際に手渡された手提げ提灯と細長い木片を手に前へと進むことにした。その細長い木片には右、左、左、右といった感じに上から順に色が付けられていて、その順番通りに地下通路を折り曲がりながらしばらく歩き続けると梯子にたどり着いた。その梯子を昇るとやはり扉があり、どこかの納屋らしき場所に出る。
「遅いではないか。だが息災そうで何よりだ」
その納屋の片隅には、この場所に全く似つかわしくない格好の男がいた。高級商店へと買い物に来る客はせいぜい下級華族までで、それ以上の身分の華族は商人を邸へ呼びつける。地下通路を歩いた距離や時間を考えても、この辺りは下級華族の邸がある地区のはずだ。だが、目の前の男はとてもそうは見えない。身に纏っている衣服もさることながら雰囲気が違うのだ。そんな身分が高そうな男が眉根を寄せて、機嫌が悪そうに自分へと話しかけてきたのだから、普通であれば身が竦む思いをするところだ。なのに
「手間がかかるのだから仕方ないだろう。
それより、なぜ茴香の真似をしているんだ、蒔蘿」
と、鬱金はどこ吹く風とばかりに相手の言葉を流しただけでなく、逆に問を返す始末だ。鬱金の言葉に蒔蘿と呼ばれた男は肩をすくめると
「これだから令法はおもしろくない。
なぜ俺達の見分けが簡単につくのか、教えてほしいんだが?
俺たち双子を簡単に見分けられる奴なんて、家族以外にはそう居ないぞ?」
「まだその悪戯を傍仕えにやっているのか?」
「ははは、王宮での数少ない楽しみだからな。
まぁ……やる相手や場は弁えているさ。」
そう言って先程とは全く違った口調と表情で会話を続ける蒔蘿は、この国の王太子の息子だ。ヤマト国王は70歳を少し過ぎた年齢で、その息子の王太子は鬱金の父親と同年の48歳。その更に息子である茴香と蒔蘿は鬱金と同じ17歳だ。
そんな二人は話しながら納屋に入ってきた扉とは別の扉から外へと出た。そこは小さいながらも見事な庭園で、先程の納屋は庭園を維持するための道具を仕舞っておく場所だという事が解る。また庭園だからこそ、その納屋は目立たないように建てられていて、隠し通路の出口としてうってつけだった。
「姫沙羅様はお元気か?」
改まった雰囲気で話しだす蒔蘿に鬱金は頷くと
「あぁ、今は元気だ。
前の無の月の時には少々寝込んだと聞いたから
今年は昨年以上に薪と食べ物を用意してから来た」
と答えた。そもそも昨年は岩屋にたどり着いたのが土の陽月に入ってからで、準備期間が全く足りなかったうえに沙羅の体調も悪く、薪も食料も本当にぎりぎりの量しか用意できなかったのだ。
「おいたわしい……。
本来であれば姫沙羅様は天女として、
もっと穏やかにお暮しになられるはずなのに……」
「姉上は天女としての生活を望んではおられなかったけどな」
そうやって二人は庭園を通り抜け、近況報告をしつつ屋内へと入った。その部屋は庭を眺める大きな窓のある簡素な部屋で、床には藺草を渦巻き状に丸く編んだ円座が二つあり、そこに二人は腰を下ろした。
「人払いは済んでいるから安心してくれ」
「あぁ、助かる。
単刀直入に聞く、俺達を襲った奴らの捜査に進展はあったか?」
鬱金が此処に来た大きな理由の一つが、自分たちを襲った奴らの身元が特定できたかどうかを確認するためだった。それに対し蒔蘿は一つ溜息をつくと
「今年も山吹が天都に行っているのだろ?
なので山吹からも聞くことになると思うが……
下手人の男たちは水の陽月の頃に捕まり、すぐさま処刑された」
と簡潔に伝えた。そんな蒔蘿の言葉に鬱金は眉根を寄せながら
「早くないか?」
と訝し気に答えた。そこに自分たちを襲い家族を奪った奴らが捕まった事に対する喜びなどは一切ない。
「あぁ、不自然な程にな。
喰い詰めた者達が警備の薄い宮家を襲ったという事らしいが……」
「ここ近年、農民が喰い詰める程の不作な年も地方も無かったように思うが」
と鬱金は思考を巡らす。ここ数年の気候は安定しており、台風や蝗害といった災害の情報が天都に入ってきた覚えはない。それは蒔蘿も同じだったようで、鬱金の言葉に頷いて同意を示した。
軍によって繰り返し討伐されようとも、山賊を始めとした犯罪者集団は存在し続ける。その大半は天災などで作物が思うようにとれず食べる事に困った農民か、親に捨てられたり親を失ったりした子供の慣れの果てだ。
罪を犯せば自分を守ってくれる精霊からの守護が薄くなるので、進んで罪を犯すような者は極めて少ない。だが、生きていく為に手を犯罪に染める者はどうしても生まれてしまう。そういった者には精霊もある程度までは寛容で、守護を完全に消す事は無いと言われている。
そういった人の為の救済施設として施薬院が天都や各国にあるのだが、残念な事に全ての人を受け入れられる程の収容力が無いのが実情だ。
「そもそも処刑が無の月以外に行われる事がおかしい」
「そうだな、罪人の死の汚れで精霊様の御力を陰らす事のないよう、
犯罪者の処刑は無の月に行われるのが通例だ。
だが今回は宮家を襲撃、しかも天女様の殺害という極めて重い罪の為、
即座に処刑する事となったらしい」
鬱金の疑問に蒔蘿が答えるが、当の蒔蘿ですら疑問を感じてしまっているようだ。
「不自然な点が多すぎる為、親父殿の許可をとったうえで
引き続き俺や兄貴の直下の影が情報を集めているが……。
現時点で解っている事は、敵の姿の輪郭すら掴めないという事ぐらいだ
すまんな……。」
「謝らないでくれ。俺達がどれだけお前たちに助けられたか……。
あの日、逃げる俺達に何も聞かず何も言わずに馬を与えてくれたことも
父上が小父さんと仲が良かったとはいえ、今こうして隠れ住みながらも
出稼ぎに大和へ来られるのも、全てお前たちや小父さんのお蔭なんだから」
関所を通ったり大きな町や都に入るには身分証明が必要だが、その身分証明は神社が発行している。基本的には13歳の時に行う十三詣りで自分の守護する精霊を知り、準備期間を経て15歳の成人の儀で自分を守護する精霊の神社に登録することになる。その際に何やら複雑な模様と名前や生地が刻まれた、手のひら程の大きさの金属板が渡されるのだが、これが身分証明となって関所を通ったり座に登録できたりする。
つまり素性を隠して住んでいる鬱金や山吹が、関所を通って出稼ぎに行く為の最大の難関がこの身分証明だった。そもそも天都から逃げだすにも関所があり身分証明が必要だ。だが襲撃から命からがら逃げ出した鬱金たちに身分証明となる金属板を持ち出す余裕は無かった。
勿論、単なる野盗の襲撃ならば天都から逃げ出す必要も隠れる必要もない。だが鬱金は襲撃時の野盗の統率された無駄のない動きや一切の躊躇が無い様子などから、ただの野盗だとは思えなかった。何より父親である碧宮当主が警戒していのは、各国上層部の動きだった。正確にはミズホ国とヒノモト国、そして朝廷だった。自分たちを取り込もうとする輩にも注意が必要だったが、一番の脅威はやはり排除しようと闇の奥底で蠢くような一派だったらしい。
そんな窮地を救ったのが蒔蘿と茴香の双子だった。双方の父親が仲が良かった為に小さい頃から交流があり、年も同じだったので鬱金や山吹は茴香や蒔蘿とすぐに仲が良くなった。当時はまだ沙羅も天女とは判明しておらず、双子の王子は姫沙羅やその乳母子の浅沙を「姫沙羅姉」「浅沙姉」と呼んで慕っていたものだ。
そんな小さい頃からの友が満身創痍の姿で目の前に現れた双子の片割れの茴香は、すぐさま腹心の随身のみを残して人払いし、
「私は何も見ていない、何も聞いていない。
私は今から落とし物をするかもしれないが、それは私の与り知らぬ事だ」
と、いつも以上に険しい顔をして身分証明の金属板をそっと地面に置いた。一緒にいた蒔蘿もそれに倣って金属板を山吹の目の前に置く。それはヤマト国の王族が持つ隠し戸籍だった。もともとは王族がお忍びで城下に行く際に使用していた偽りの戸籍なのだが、とある理由から王家直系男児が生まれると同時に必ず複数作られるものだ。
決して公にしてはならない制度だが、同時にいざという時に己の身を守る手段ともなりえるので、双子の王子は国を離れる際には必ず持ち歩くようにしていた。その戸籍によって令法は旅商人の鬱金となり、山吹はその護衛という身分を得たのだった。
「むしろ俺達が迷惑をかけてしまった事を謝らなくてはならない……。
色々とすまなかった。そして感謝している、ありがとう」
円座の横に拳をおいて深々と頭を下げる鬱金を、蒔蘿は慌てて止めた。
「それこそ止めてくれ。手助けできない事の方が俺達にとってはつらい。
親父殿を見ていて、それをひしひしと感じるよ」
「小父さんを?」
「あぁ、碧の小父さんたちが亡くなった事、かなり堪えているみたいだ。
王太子としての仕事は勿論しっかりとやっているが、それ以外の時が……な。
それに俺達だって姫沙羅様や令法が無事だった事に安堵はしているものの、
浅沙姉を助けられなかった事は、今でも悔やんでいる」
そういう蒔蘿の言葉に鬱金は「そうか……」と返した。確かに自分が逆の立場だったなら、差し伸べた手を迷惑をかけたくないという理由で拒否されたり、自分の知らない間に命を落とされたりする方が辛い。
「解った。だが、万が一にも蒔蘿や茴香に手が及ぶことがないように……
自分たちの安全を最優先にしてくれ、それだけは約束してほしい」
と言う鬱金に、蒔蘿も
「お前たちもだぞ。必ず生きていてくれ。
その約束を守ってくれるのなら、俺もその約束を守ろう」
と返したのだった。
その後も幾つかの情報のやりとりをしてから二人は別れたのだが、蒔蘿に一番衝撃を与えた情報は沙羅にもう一人子供が出来たというモノだった。
そして鬱金は再び様々な隠蔽工作をしながら宿へと戻った。その宿の窓から空を見上げれば、この季節にしては珍しく雲の合間から月が顔をのぞかせていた。その月を見上げながら鬱金は誓う。
(俺は家族を必ず守る、必ずだ。
もう誰一人として失いはしない……)
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