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1章
1歳 -水の陽月1-
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外にはまだまだ雪が大量に積もっているものの、約1年前に山吹が天都から持ち帰った暦によれば今日から水の陽月です。この世界では水の陽月が1年の始まりなので、今日から新しい1年が始まるという事になります。
そんな新しい一年が始まる清々しい朝なのに、私は頭を抱えて唸っていました。
「あーかした……」
比喩ではなく、実際に頭を抱えながらウンウン唸っている私の姿は、母上や兄上たちから見ても異様だったようで
「さくら、どうしたの? ぽんぽん いたいの??
いたいのいたいの とんでけーーっ」
と兄上が私のお腹を撫でてくれます。
……兄上よ。
その優しさは嬉しいですが、私が抱えているのは頭であってお腹じゃありません。
此方の世界に転生した直後のテンパっていた時と違って、流石にやらかすことはもう無いと思っていたのですが、うっかりミスをやらかしてしまいました。
私が提案し、金さんと浦さんが協力して作ってくれた冷蔵庫と冷凍庫なのですが、元からこの場所にあった小さめの洞窟が元となっています。その洞窟は少し入ったところで左右に分かれるYの字型になっていて、その奥が少し開けた小部屋のようになっています。左右に別れた洞穴は奥行に若干の差はあるものの、両方ともに貯蔵庫として使える広さがありました。なので雪を壁際にぎゅうぎゅうに詰め込んで押し固め、扉をつけて雪室としたのです。
その時に気付くべきでした。
注意深く見ないとわからないぐらい僅かではあるものの地面に傾斜があり、
その傾斜の関係で、外から雪解け水が中へ流れ込むという事に……。
無の月も終わりが見え始めてくると、一番気温が上がるお昼過ぎには日向の雪が少しずつですが溶け出します。そんな当たり前の事が頭から抜け落ちていました。
また、私自身が雪室に行く事がなかったので全く気付けず。
今日の朝食の時に橡が
「どうも日中に溶けた雪解け水が、夜の間に凍ってしまっていたらしく……
貯蔵庫で転びそうになってしまいました」
と、笑い話として話していたのを聞いて愕然としたんです。傾斜が僅かなので雪解け水がドバドバと流れ込むなんて事には流石にならなかったようなのですが、僅かでも水があれば地面が凍結してしまう訳で……。
これは危ないと判断し、応急処置として洞窟の入口部分の土を盛り上げて中に水が流れ込まないように金さんに対処してもらいました。
不幸中の幸いだったのは、各貯蔵庫とは別に洞窟の入口に付けた扉が内側に開くタイプだったことです。あれが外側に開くタイプだったら、盛り上げた土にぶつかってしまって扉が開かなくなるところでした。
あーーーもうっ、なんでこんな基本的な事に気付かなかったのかなぁ、私!
異世界転生モノでいう「やらかす」とは意味が違う気がしないでもないけれど、やらかした事は事実で……。もう自分でも何言ってるかわからんないよっ。
「ろーしよーかなぁ」
お昼ご飯を食べ終わってもまだ悩んでいる私です。冷蔵・冷凍庫はこの先の生活を思えば絶対に必要です。なので今の雪室を改修するなり、別の場所に新たに作るなりする事は確定しています。問題はどっちにするかという事です。
台所に冷蔵庫がある事が当たり前の生活をしていた私にとって、冷蔵庫の中の物をとるために草履をはいて外に出て、雨が降っていようが雪が積もっていようが雪室まで歩いて行かなくてはならない現状は、辛うじてギリギリ許容範囲といった感じです。前世なら問答無用でアウトですが、無いよりは良いよねと思える現世ならばギリギリ許容できます。
ですが、やはり家の中から直接取りに行ける場所の方が望ましい訳です。現在の雪室は浦さんの技能の「冷却」と「保冷」のコンボを試す為だったり、とりあえず今ある物を保存するために暫定的に作ったモノです。いつかはちゃんとした物に作り替えようとは思っていたので、やはり改修よりは作り直しかなぁ……。
そうやって私が悩んでいる間に、母上と橡は午後の日課の機織りの為に仕事部屋へと向かいました。私が悩んでいる事が気になっているようではありましたが、大丈夫だからとお仕事に向かってもらいました。
母上たちには拠点に移り住んで以来、ずっと機織りをお願いしてしまっています。その甲斐あって艶糸で織られた私達の着替えや、テグスのような硬さと透明度の硬糸で織られた拠点のガラス窓代わりの布は、ほぼ作り終わりまたした。また橡のウォーターベッド御帳台も完成し、今では橡も自室で眠る事ができるようになりました。
そんな母上たちが現在急ピッチで進めているのが、後10日もすれば帰ってくる予定の叔父上と山吹の部屋や寝具の準備です。橡は
「山吹は最悪、床で寝かせておけば大丈夫です。
此処の床は岩屋に比べれば十分に良い寝心地ですから!」
なんて言っていますが、出稼ぎから戻ってきたら身体も疲れているだろうし、しっかりとした寝具で身体を休めてほしいので、母上や橡にはあと少し頑張ってもらいたいです。
それにしても土蜘蛛の糸は勿論ですが、窓やウォーターベッド御帳台に使うべとべとさんの殻も大活躍ですね。問題は糸と違って一年を通じて集められない事と、現状使えるのが殻の内側の撥水効果のある部分のみで、外側の吸水効果の部分の使い道が思いつかない事でしょうか。外側だけがどんどん溜まっていってしまいます。
冷蔵庫を作り直すにしても何処に作るか、また大きさはどの程度にするべきかを悩んでいたら、お昼寝していた兄上が起きてきました。そして私を見つけると駆け寄ってきて、
「さくら、きょうはおてんきがよいから、おそとにあそびにいこう!」
と、ニコニコ笑顔で私に手を差し出します。
「すえりらい?」
と手を取りながらも聞き返すと、元気いっぱいに頷く兄上。
対し(そうかぁ、アレかぁ……)と遠い目になる私です。
兄上にはお気に入りの遊びが二つあります。一つは無の月に入る前からあった足蹴り車で渡り廊下を走り回る事。積み木で遊ぶことも好きなようですが、それ以上に入れ物の足蹴り車にまたがって遊ぶのが好きなようです。
そしてもう一つが、無の月の間に作った巨大な雪と氷で出来た滑り台です。天気の良い日ぐらいは外で遊んだ方が健康に良いよねと、三太郎さんにお願いして作ってもらいました。金さんの技能でなめらかな斜面を作り、そこに雪や湖から切り出した氷を使って作られた巨大な滑り台を、雪車と呼ばれるソリに乗って滑り降りる遊びです。
新しいモノが大好きな金さんと楽しいモノが大好きな桃さん、そして面倒見が良い浦さんが全力で作り上げたその巨大滑り台は、かなりのスピードが出るモンスター遊具となりました。体感速度では下り坂を駆け下りる自転車以上のスピードが出ていると思います。少なくとも私はあんなスピードで坂道を下った事はありません。
そんな滑り台の巨大さは、私達が暮らしている母屋の辺りよりも少し高い場所にある三太郎さんの住居予定の建物付近を出発地点とし、遠回りして湖の近くまで行ったかと思うと川沿いを下ってきて母屋付近までくるという、滑り降りるのに分単位の時間がかかる巨大さです。時計が無いのでこれも私の体感ですけどね。
三太郎さんたちってばちょっと……いや、かなり頑張りすぎです。
そして乗っている間中、絶叫して全身硬直させっぱなしというのは思ったよりも体力を消耗します。二度と乗りたくないと思うレベルで。
なのに兄上はアレが好きなんですよ……。
流石に子供一人で遊ぶのは危ないので、母上や三太郎さんたちと絶対に子供だけで滑らない、大人と一緒に滑ります!と約束しています。ところが一緒に滑ってくれそうな大人って、いつも一緒にいてくれる子守り役の桃さんしか居ないのです。
しかし桃さんは私の守護精霊なので、私から離れて兄上と一緒に滑り台を滑ってはくれません。精霊は守護対象と離れていても平気なはずなんですが、なぜか桃さんに限らず、三太郎さんは私から離れる事を渋る傾向があります。
なので兄上は滑り台で遊びたい時は必ず私を誘います。雪車は大きいので、座った桃さんの足の間に兄上が、その前に私が座って三人で一緒に滑る事自体は可能なんですよね。唯一問題があるとすれば、私が絶叫系アトラクションが苦手だって事でしょうか。
じゃぁ、何で作ったのよという話しになるんですが、あんなにスピードが出て怖いものが出来上がるなんて思いもしなかったんですよ。せいぜい公園の滑り台程度のものだと思っていたのに……。
「えとね、あいうえとももしゃん ふたりれろーぞ」
桃さん自身はこの滑り台は好きなんです。楽しい事大好きですからね。ただ私を放置して遊ぶわけにはいかないと思っているようで……。
「いや、だがなぁ。
おまえ一人にしておくと何するかわかんねぇし」
……桃さんの中で私ってどういう評価なのか気になります。怪我をしそうな危ない事や、いわゆる「やらかし」はしていないと思うんですが……。
「桃太郎の気持ちも解りますよ、櫻は目が離せませんからね」
そう言って会話に加わってきたのは浦さんでした。どうやら休憩がてら様子を見に来てくれたようです。
「……わたし そんな あうなくないよ?」
浦さんまで桃さんと同じ評価だったことに納得いかず、きっちりと否定しておきます。今一つ自信満々で答えられない理由は、普通の赤ん坊と行動範囲や行動原理が同じかと尋ねられたら、「うん」と答えられない事は自覚しているからです、はい。
結局、浦さんが休憩している間は私の側にいてくれることになり、桃さんと兄上には滑り台で遊んでもらえることになりました。その間に私は適当な場所を見つけると、そこに持参しておいた木の板を敷いて上に座り込みます。雪の上に直接座るとお尻が冷えるんですよね。それから木の枝で足元の雪にぐりぐり字を書いて考えを整理していきます。ちなみに私は数字と極簡単な文字しか読めないので、書いている文字は日本語です。
「何を悩んでいるんです?」
「うんとね、金しゃんにしらえてもらったけろ……」
<あー、駄目だ。ごめん心話を使うね。
金さんに周辺を改めて調べてもらったんだけど、
この辺りで雪室として使うのに適した洞窟が、
今使っている所ぐらいしかないらしくて……>
今の私は頭のリソースが半分以上悩み事に持っていかれているので、会話はストレスを感じてしまいます。もっと早く適切な言葉が、考えるより先に口から出るようになれば違うのでしょうが……。
<なので、もういっそのこと一から作り直した方が良いかなと思ったんだけど、
何処に作るかとか、どのぐらいの大きさにするかとか色々と迷っていて……>
「なるほど……。ですが、あなたの事だからそれだけではなく、
絶対に譲れない部分もあるのでしょう?」
<譲れない部分……うん、あるね。
まずは台所から外に出る事なく簡単に行ける事は大事だし、
無の月を家族全員が余裕を持って暮らせる容量は絶対に欲しい。
次々に増えていくお酢やお酒、甘葛煎なんかも保存したい。
これらは保存に最適な温度を探りつつになるだろうけど。
後は今までと同様に野菜などの保存に向いた5度ぐらいの冷蔵庫と、
長期保存の為の-15度以下を保てる冷凍庫も必須!>
「現状は-10度がやっとですけどね」
<そこは何か手が無いか考えるよ。-20度が目標だし>
「何にしても、金太郎や桃太郎も揃う今晩にでも話し合いましょう。
あなたの要望と私達の技能、それらの擦り合わせが必要なようですし」
という浦さんの言葉で、とりあえず悩み事は今晩まで保留しておくことにしました。浦さんも作業に戻らなくちゃならないですしね。
そんな浦さんは私を抱き上げると、優しく背中をぽんぽんとしてくれました。どうしたのだろう?と首を傾げる私に
「そんなに生き急がなくても良いのですよ?
あなたはまだ赤ん坊なんですから」
と少し困ったように笑いながら言う浦さん。心配させてしまったでしょうか?
<生き急いでいるつもりは全く無いよ。
生きやすい環境の整備は急いでいるけどね。大丈夫、無理はしないから>
「そうは言いますが、この1年で何をやったか考えてみなさい」
そう言われて、この1年を振り返ってみます。
水の月の頃は思い通りに動かない自分の体に四苦八苦し、せめて匍匐前進ができるようにとまるで謎のダンスを踊るかのようにウゴウゴしていました。
本格的に活動を開始したのは火の月に入ってから。
岩屋の臭い対策に竹炭を作り、湧き出る泥湯を見つけて温泉を作り、お湯に入る気持ち良さを三太郎さんに知ってもらえました。
三太郎さん的には妖が持つ技能が習得できるという青天の霹靂というか驚天動地の事実が判明したのもこの頃。
じゃんじゃん火相手に絶叫し、土蜘蛛相手に絶叫し、べとべとさん相手には叫ばなかったけれど可愛さ皆無の姿に絶望し……。
その度に技能や素材を手に入れて……。
さらに色んな素材が欲しくてあちこち三太郎さんに連れて行ってもらいました。
森に入っては林檎を集め、柚子を集め、あけびを集め、ありとあらゆる気になる物を集めに集めました。そういえば、あの頃はすべて「もどき」と呼んでいたけれど、今はもうその呼び方はやめました。この世界で「もどき」と感じるのは私だけですしね。
湖からは魚やハマグリ……と言いたいところだけど、実は未だに迷っているんですよね、あの貝をハマグリと呼ぶべきかどうか。見た目はハマグリ、中は平貝……これを何て呼ぶべきなのか。三太郎さんや母上たちにも確認したんだけど、特に名前は無いんだそうです。
今まで人間の生活圏に存在しなかったからという理由のようなのですが、ちょっと名前というモノに対して無頓着な所があるからなぁ、この世界の人……。
そして集めたモノで色々なものを作り始めた土の陽月。
私は細々としたものを、金さんと浦さんは拠点を作りに精を出しました。
貝灰から石灰水を、あけびの種から油を作って、試行錯誤・四苦八苦して作り出した石鹸。結局固まらなかったけど泡立ちと汚れ落ちは良かったので良しとしました。
土蜘蛛の糸を様々な加工を経て作り上げた三種類の糸。他2種の糸と違って伸糸はその切れやすさに困っていたけれど、橡が組紐にすれば使えるかもと教えてくれたので、機織り作業が一段落したら試してくれる予定になっています。
他には林檎でお酢を作り、途中からお酒も作りだし今度蒸留に挑戦する予定です。そうそう、忘れてならないのがそれらを保存するための琺瑯容器ですね。
柚子は果汁をお酢代わりに、種は化粧水にと活用し、皮はどうしようかと迷ったけれど、甘葛煎が出来た事で漬け込むことになりました。果肉のみを漬け込んだ物とは違い、皮もいっしょに漬け込んだ苦味があるシロップは金さんにも好まれています。それから百合根を見つけてでんぷんを作ったりもしました。
べとべとさんの殻からは撥水効果のある溶液を作り、布に塗る事でウォーターベッド御帳台や窓ガラスならぬ窓布を作りました。
撥水溶液といえば、忘れてならないのが歯ブラシです。
幾つもの試作品をみんなで試し続けたのですが、様々な感想や事情を考慮して歯ブラシの柄は木製が良いという事になりました。ただ水に濡れるので衛生面と強度が心配になります。そこで柄を作った後に撥水溶液に沈め、全体をコーティングしてから乾かないうちに適度な長さに切り揃えた硬糸を植毛。埋め込むチップには貝殻を小さく丸く研磨したものを使いました。そうする事で柄と毛の根元部分が保護されて良い感じに仕上がりました。
私の方はこんな感じでしょうか。
その間に三太郎さんは温水床暖房(夏は冷水で冷房)付きの拠点を作りました。屋根にも温水が通してあって雪が積もらないようにしてあり、この冬も無事に過ごせました。トイレは全自動洗浄。お風呂には晩夏の向日葵型のシャワーがあり、水車で動く洗濯機を始めとした色んな道具を作り、地下には浄水槽を作って汚水は綺麗にしてから川へ、汚泥は燃やして灰にして保管。
三太郎さんの有能っぷりが凄いですね。
そんな三太郎さんが口を揃えて「常識が通じない」と私に言ったのが霊石に技能を籠めてほしいと言った時でした。霊石に技能を籠めるなんて精霊も人間も誰も思いもしなかったんだそうです。
ただ、この技能を籠めた霊石のおかげで今の便利な生活が成り立っているので、「非常識で上等!」という気持ちでいます。そして、現在進行形で更なる非常識さを発揮させ、精霊力を凝固させて霊石にしてほしいなーというお願いをしているのですが、それは未だ叶えられていません。
<色んな事をやったなぁとは思うけど、
もうちょっと頑張った方が良いなぁと思う事もあるかも……>
と浦さんに返事をしたら、
「まったく、あなたっていう人は……」
と盛大な溜息と一緒に返されました。
私だって何もしなくても快適かつ健康的な生活が送れるのなら、こんなにアレコレ考えたりやったりしません。私は特別怠惰な性格じゃないとは思うけれど、勤勉でもないんです。現状がそうじゃないから仕方ない……その一言に尽きます。
「まぁ……、一人で抱え込まないで私達を頼りなさい。
それだけは約束してください。あなたは視野が狭くなりがちですから」
と注意すると、後は休憩時間の間ずっと他愛のない話をしながら私を抱っこし続けた浦さん。最後に私の頭を撫でてから浦さんは再び作業へと戻っていきました。
どうやら私が少しだけピリピリしているのが、解ってしまったのかもしれません。
なにせ後10日程で帰ってくるのです、山吹が……。
以前なら、拒絶されたら三太郎さんと私だけで暮らしていけば良いよねなんて気軽に思っていました。でもこうして一緒に暮らして、母も兄もあの二人なのだと心が覚えてしまったのです。今となっては沙羅さんや槐君なんて呼び方をする方に違和感を感じてしまうのです。
あと、10日……。
そんな新しい一年が始まる清々しい朝なのに、私は頭を抱えて唸っていました。
「あーかした……」
比喩ではなく、実際に頭を抱えながらウンウン唸っている私の姿は、母上や兄上たちから見ても異様だったようで
「さくら、どうしたの? ぽんぽん いたいの??
いたいのいたいの とんでけーーっ」
と兄上が私のお腹を撫でてくれます。
……兄上よ。
その優しさは嬉しいですが、私が抱えているのは頭であってお腹じゃありません。
此方の世界に転生した直後のテンパっていた時と違って、流石にやらかすことはもう無いと思っていたのですが、うっかりミスをやらかしてしまいました。
私が提案し、金さんと浦さんが協力して作ってくれた冷蔵庫と冷凍庫なのですが、元からこの場所にあった小さめの洞窟が元となっています。その洞窟は少し入ったところで左右に分かれるYの字型になっていて、その奥が少し開けた小部屋のようになっています。左右に別れた洞穴は奥行に若干の差はあるものの、両方ともに貯蔵庫として使える広さがありました。なので雪を壁際にぎゅうぎゅうに詰め込んで押し固め、扉をつけて雪室としたのです。
その時に気付くべきでした。
注意深く見ないとわからないぐらい僅かではあるものの地面に傾斜があり、
その傾斜の関係で、外から雪解け水が中へ流れ込むという事に……。
無の月も終わりが見え始めてくると、一番気温が上がるお昼過ぎには日向の雪が少しずつですが溶け出します。そんな当たり前の事が頭から抜け落ちていました。
また、私自身が雪室に行く事がなかったので全く気付けず。
今日の朝食の時に橡が
「どうも日中に溶けた雪解け水が、夜の間に凍ってしまっていたらしく……
貯蔵庫で転びそうになってしまいました」
と、笑い話として話していたのを聞いて愕然としたんです。傾斜が僅かなので雪解け水がドバドバと流れ込むなんて事には流石にならなかったようなのですが、僅かでも水があれば地面が凍結してしまう訳で……。
これは危ないと判断し、応急処置として洞窟の入口部分の土を盛り上げて中に水が流れ込まないように金さんに対処してもらいました。
不幸中の幸いだったのは、各貯蔵庫とは別に洞窟の入口に付けた扉が内側に開くタイプだったことです。あれが外側に開くタイプだったら、盛り上げた土にぶつかってしまって扉が開かなくなるところでした。
あーーーもうっ、なんでこんな基本的な事に気付かなかったのかなぁ、私!
異世界転生モノでいう「やらかす」とは意味が違う気がしないでもないけれど、やらかした事は事実で……。もう自分でも何言ってるかわからんないよっ。
「ろーしよーかなぁ」
お昼ご飯を食べ終わってもまだ悩んでいる私です。冷蔵・冷凍庫はこの先の生活を思えば絶対に必要です。なので今の雪室を改修するなり、別の場所に新たに作るなりする事は確定しています。問題はどっちにするかという事です。
台所に冷蔵庫がある事が当たり前の生活をしていた私にとって、冷蔵庫の中の物をとるために草履をはいて外に出て、雨が降っていようが雪が積もっていようが雪室まで歩いて行かなくてはならない現状は、辛うじてギリギリ許容範囲といった感じです。前世なら問答無用でアウトですが、無いよりは良いよねと思える現世ならばギリギリ許容できます。
ですが、やはり家の中から直接取りに行ける場所の方が望ましい訳です。現在の雪室は浦さんの技能の「冷却」と「保冷」のコンボを試す為だったり、とりあえず今ある物を保存するために暫定的に作ったモノです。いつかはちゃんとした物に作り替えようとは思っていたので、やはり改修よりは作り直しかなぁ……。
そうやって私が悩んでいる間に、母上と橡は午後の日課の機織りの為に仕事部屋へと向かいました。私が悩んでいる事が気になっているようではありましたが、大丈夫だからとお仕事に向かってもらいました。
母上たちには拠点に移り住んで以来、ずっと機織りをお願いしてしまっています。その甲斐あって艶糸で織られた私達の着替えや、テグスのような硬さと透明度の硬糸で織られた拠点のガラス窓代わりの布は、ほぼ作り終わりまたした。また橡のウォーターベッド御帳台も完成し、今では橡も自室で眠る事ができるようになりました。
そんな母上たちが現在急ピッチで進めているのが、後10日もすれば帰ってくる予定の叔父上と山吹の部屋や寝具の準備です。橡は
「山吹は最悪、床で寝かせておけば大丈夫です。
此処の床は岩屋に比べれば十分に良い寝心地ですから!」
なんて言っていますが、出稼ぎから戻ってきたら身体も疲れているだろうし、しっかりとした寝具で身体を休めてほしいので、母上や橡にはあと少し頑張ってもらいたいです。
それにしても土蜘蛛の糸は勿論ですが、窓やウォーターベッド御帳台に使うべとべとさんの殻も大活躍ですね。問題は糸と違って一年を通じて集められない事と、現状使えるのが殻の内側の撥水効果のある部分のみで、外側の吸水効果の部分の使い道が思いつかない事でしょうか。外側だけがどんどん溜まっていってしまいます。
冷蔵庫を作り直すにしても何処に作るか、また大きさはどの程度にするべきかを悩んでいたら、お昼寝していた兄上が起きてきました。そして私を見つけると駆け寄ってきて、
「さくら、きょうはおてんきがよいから、おそとにあそびにいこう!」
と、ニコニコ笑顔で私に手を差し出します。
「すえりらい?」
と手を取りながらも聞き返すと、元気いっぱいに頷く兄上。
対し(そうかぁ、アレかぁ……)と遠い目になる私です。
兄上にはお気に入りの遊びが二つあります。一つは無の月に入る前からあった足蹴り車で渡り廊下を走り回る事。積み木で遊ぶことも好きなようですが、それ以上に入れ物の足蹴り車にまたがって遊ぶのが好きなようです。
そしてもう一つが、無の月の間に作った巨大な雪と氷で出来た滑り台です。天気の良い日ぐらいは外で遊んだ方が健康に良いよねと、三太郎さんにお願いして作ってもらいました。金さんの技能でなめらかな斜面を作り、そこに雪や湖から切り出した氷を使って作られた巨大な滑り台を、雪車と呼ばれるソリに乗って滑り降りる遊びです。
新しいモノが大好きな金さんと楽しいモノが大好きな桃さん、そして面倒見が良い浦さんが全力で作り上げたその巨大滑り台は、かなりのスピードが出るモンスター遊具となりました。体感速度では下り坂を駆け下りる自転車以上のスピードが出ていると思います。少なくとも私はあんなスピードで坂道を下った事はありません。
そんな滑り台の巨大さは、私達が暮らしている母屋の辺りよりも少し高い場所にある三太郎さんの住居予定の建物付近を出発地点とし、遠回りして湖の近くまで行ったかと思うと川沿いを下ってきて母屋付近までくるという、滑り降りるのに分単位の時間がかかる巨大さです。時計が無いのでこれも私の体感ですけどね。
三太郎さんたちってばちょっと……いや、かなり頑張りすぎです。
そして乗っている間中、絶叫して全身硬直させっぱなしというのは思ったよりも体力を消耗します。二度と乗りたくないと思うレベルで。
なのに兄上はアレが好きなんですよ……。
流石に子供一人で遊ぶのは危ないので、母上や三太郎さんたちと絶対に子供だけで滑らない、大人と一緒に滑ります!と約束しています。ところが一緒に滑ってくれそうな大人って、いつも一緒にいてくれる子守り役の桃さんしか居ないのです。
しかし桃さんは私の守護精霊なので、私から離れて兄上と一緒に滑り台を滑ってはくれません。精霊は守護対象と離れていても平気なはずなんですが、なぜか桃さんに限らず、三太郎さんは私から離れる事を渋る傾向があります。
なので兄上は滑り台で遊びたい時は必ず私を誘います。雪車は大きいので、座った桃さんの足の間に兄上が、その前に私が座って三人で一緒に滑る事自体は可能なんですよね。唯一問題があるとすれば、私が絶叫系アトラクションが苦手だって事でしょうか。
じゃぁ、何で作ったのよという話しになるんですが、あんなにスピードが出て怖いものが出来上がるなんて思いもしなかったんですよ。せいぜい公園の滑り台程度のものだと思っていたのに……。
「えとね、あいうえとももしゃん ふたりれろーぞ」
桃さん自身はこの滑り台は好きなんです。楽しい事大好きですからね。ただ私を放置して遊ぶわけにはいかないと思っているようで……。
「いや、だがなぁ。
おまえ一人にしておくと何するかわかんねぇし」
……桃さんの中で私ってどういう評価なのか気になります。怪我をしそうな危ない事や、いわゆる「やらかし」はしていないと思うんですが……。
「桃太郎の気持ちも解りますよ、櫻は目が離せませんからね」
そう言って会話に加わってきたのは浦さんでした。どうやら休憩がてら様子を見に来てくれたようです。
「……わたし そんな あうなくないよ?」
浦さんまで桃さんと同じ評価だったことに納得いかず、きっちりと否定しておきます。今一つ自信満々で答えられない理由は、普通の赤ん坊と行動範囲や行動原理が同じかと尋ねられたら、「うん」と答えられない事は自覚しているからです、はい。
結局、浦さんが休憩している間は私の側にいてくれることになり、桃さんと兄上には滑り台で遊んでもらえることになりました。その間に私は適当な場所を見つけると、そこに持参しておいた木の板を敷いて上に座り込みます。雪の上に直接座るとお尻が冷えるんですよね。それから木の枝で足元の雪にぐりぐり字を書いて考えを整理していきます。ちなみに私は数字と極簡単な文字しか読めないので、書いている文字は日本語です。
「何を悩んでいるんです?」
「うんとね、金しゃんにしらえてもらったけろ……」
<あー、駄目だ。ごめん心話を使うね。
金さんに周辺を改めて調べてもらったんだけど、
この辺りで雪室として使うのに適した洞窟が、
今使っている所ぐらいしかないらしくて……>
今の私は頭のリソースが半分以上悩み事に持っていかれているので、会話はストレスを感じてしまいます。もっと早く適切な言葉が、考えるより先に口から出るようになれば違うのでしょうが……。
<なので、もういっそのこと一から作り直した方が良いかなと思ったんだけど、
何処に作るかとか、どのぐらいの大きさにするかとか色々と迷っていて……>
「なるほど……。ですが、あなたの事だからそれだけではなく、
絶対に譲れない部分もあるのでしょう?」
<譲れない部分……うん、あるね。
まずは台所から外に出る事なく簡単に行ける事は大事だし、
無の月を家族全員が余裕を持って暮らせる容量は絶対に欲しい。
次々に増えていくお酢やお酒、甘葛煎なんかも保存したい。
これらは保存に最適な温度を探りつつになるだろうけど。
後は今までと同様に野菜などの保存に向いた5度ぐらいの冷蔵庫と、
長期保存の為の-15度以下を保てる冷凍庫も必須!>
「現状は-10度がやっとですけどね」
<そこは何か手が無いか考えるよ。-20度が目標だし>
「何にしても、金太郎や桃太郎も揃う今晩にでも話し合いましょう。
あなたの要望と私達の技能、それらの擦り合わせが必要なようですし」
という浦さんの言葉で、とりあえず悩み事は今晩まで保留しておくことにしました。浦さんも作業に戻らなくちゃならないですしね。
そんな浦さんは私を抱き上げると、優しく背中をぽんぽんとしてくれました。どうしたのだろう?と首を傾げる私に
「そんなに生き急がなくても良いのですよ?
あなたはまだ赤ん坊なんですから」
と少し困ったように笑いながら言う浦さん。心配させてしまったでしょうか?
<生き急いでいるつもりは全く無いよ。
生きやすい環境の整備は急いでいるけどね。大丈夫、無理はしないから>
「そうは言いますが、この1年で何をやったか考えてみなさい」
そう言われて、この1年を振り返ってみます。
水の月の頃は思い通りに動かない自分の体に四苦八苦し、せめて匍匐前進ができるようにとまるで謎のダンスを踊るかのようにウゴウゴしていました。
本格的に活動を開始したのは火の月に入ってから。
岩屋の臭い対策に竹炭を作り、湧き出る泥湯を見つけて温泉を作り、お湯に入る気持ち良さを三太郎さんに知ってもらえました。
三太郎さん的には妖が持つ技能が習得できるという青天の霹靂というか驚天動地の事実が判明したのもこの頃。
じゃんじゃん火相手に絶叫し、土蜘蛛相手に絶叫し、べとべとさん相手には叫ばなかったけれど可愛さ皆無の姿に絶望し……。
その度に技能や素材を手に入れて……。
さらに色んな素材が欲しくてあちこち三太郎さんに連れて行ってもらいました。
森に入っては林檎を集め、柚子を集め、あけびを集め、ありとあらゆる気になる物を集めに集めました。そういえば、あの頃はすべて「もどき」と呼んでいたけれど、今はもうその呼び方はやめました。この世界で「もどき」と感じるのは私だけですしね。
湖からは魚やハマグリ……と言いたいところだけど、実は未だに迷っているんですよね、あの貝をハマグリと呼ぶべきかどうか。見た目はハマグリ、中は平貝……これを何て呼ぶべきなのか。三太郎さんや母上たちにも確認したんだけど、特に名前は無いんだそうです。
今まで人間の生活圏に存在しなかったからという理由のようなのですが、ちょっと名前というモノに対して無頓着な所があるからなぁ、この世界の人……。
そして集めたモノで色々なものを作り始めた土の陽月。
私は細々としたものを、金さんと浦さんは拠点を作りに精を出しました。
貝灰から石灰水を、あけびの種から油を作って、試行錯誤・四苦八苦して作り出した石鹸。結局固まらなかったけど泡立ちと汚れ落ちは良かったので良しとしました。
土蜘蛛の糸を様々な加工を経て作り上げた三種類の糸。他2種の糸と違って伸糸はその切れやすさに困っていたけれど、橡が組紐にすれば使えるかもと教えてくれたので、機織り作業が一段落したら試してくれる予定になっています。
他には林檎でお酢を作り、途中からお酒も作りだし今度蒸留に挑戦する予定です。そうそう、忘れてならないのがそれらを保存するための琺瑯容器ですね。
柚子は果汁をお酢代わりに、種は化粧水にと活用し、皮はどうしようかと迷ったけれど、甘葛煎が出来た事で漬け込むことになりました。果肉のみを漬け込んだ物とは違い、皮もいっしょに漬け込んだ苦味があるシロップは金さんにも好まれています。それから百合根を見つけてでんぷんを作ったりもしました。
べとべとさんの殻からは撥水効果のある溶液を作り、布に塗る事でウォーターベッド御帳台や窓ガラスならぬ窓布を作りました。
撥水溶液といえば、忘れてならないのが歯ブラシです。
幾つもの試作品をみんなで試し続けたのですが、様々な感想や事情を考慮して歯ブラシの柄は木製が良いという事になりました。ただ水に濡れるので衛生面と強度が心配になります。そこで柄を作った後に撥水溶液に沈め、全体をコーティングしてから乾かないうちに適度な長さに切り揃えた硬糸を植毛。埋め込むチップには貝殻を小さく丸く研磨したものを使いました。そうする事で柄と毛の根元部分が保護されて良い感じに仕上がりました。
私の方はこんな感じでしょうか。
その間に三太郎さんは温水床暖房(夏は冷水で冷房)付きの拠点を作りました。屋根にも温水が通してあって雪が積もらないようにしてあり、この冬も無事に過ごせました。トイレは全自動洗浄。お風呂には晩夏の向日葵型のシャワーがあり、水車で動く洗濯機を始めとした色んな道具を作り、地下には浄水槽を作って汚水は綺麗にしてから川へ、汚泥は燃やして灰にして保管。
三太郎さんの有能っぷりが凄いですね。
そんな三太郎さんが口を揃えて「常識が通じない」と私に言ったのが霊石に技能を籠めてほしいと言った時でした。霊石に技能を籠めるなんて精霊も人間も誰も思いもしなかったんだそうです。
ただ、この技能を籠めた霊石のおかげで今の便利な生活が成り立っているので、「非常識で上等!」という気持ちでいます。そして、現在進行形で更なる非常識さを発揮させ、精霊力を凝固させて霊石にしてほしいなーというお願いをしているのですが、それは未だ叶えられていません。
<色んな事をやったなぁとは思うけど、
もうちょっと頑張った方が良いなぁと思う事もあるかも……>
と浦さんに返事をしたら、
「まったく、あなたっていう人は……」
と盛大な溜息と一緒に返されました。
私だって何もしなくても快適かつ健康的な生活が送れるのなら、こんなにアレコレ考えたりやったりしません。私は特別怠惰な性格じゃないとは思うけれど、勤勉でもないんです。現状がそうじゃないから仕方ない……その一言に尽きます。
「まぁ……、一人で抱え込まないで私達を頼りなさい。
それだけは約束してください。あなたは視野が狭くなりがちですから」
と注意すると、後は休憩時間の間ずっと他愛のない話をしながら私を抱っこし続けた浦さん。最後に私の頭を撫でてから浦さんは再び作業へと戻っていきました。
どうやら私が少しだけピリピリしているのが、解ってしまったのかもしれません。
なにせ後10日程で帰ってくるのです、山吹が……。
以前なら、拒絶されたら三太郎さんと私だけで暮らしていけば良いよねなんて気軽に思っていました。でもこうして一緒に暮らして、母も兄もあの二人なのだと心が覚えてしまったのです。今となっては沙羅さんや槐君なんて呼び方をする方に違和感を感じてしまうのです。
あと、10日……。
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