未来樹 -Mirage-

詠月初香

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3章

わたくしの誤ち :菖蒲

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「あなたは……あなたは何ということを!!」

言いたいことは山のようにあるはずなのに、ワナワナと震えるわたくしの唇は思うように動いてくれず……。あまりにも感情が高ぶりすぎて、言葉は形になる前に消えていってしまいます。

(悔しいと苦しいはどうしてこんなに似ているのでしょう……)

自分の気持ちが弟に伝わらない悔しさ、大切な恩人を傷つけてしまったかもしれないという苦しさに胸が詰まります。背後ではわたくしの意を汲んでくれた朝顔が、弓兵に直ぐに攻撃を止めるように要請していますが、彼女やわたくしには兵に攻撃を停止させる権限はありません。もちろんわたくしが望めば、朝顔は自分の命をかけて実力で阻止してくれることでしょう。ですがいくらわたくしの随身とはいえ、その生命をわたくしが自由にして良いわけがありません。それに確かに朝顔は優れた随身ですが、あれほどの数の兵を相手に勝てるかと言われれば否です。圧倒的に人数が違いますし、しかも相手は男性です。

つまりこの場において一番早く、そして一番被害を出さずに攻撃を停止させることができるのは、目の前にいる弟なのです。

紫苑しおん、今直ぐに攻撃を止めさせなさい!!」

今までこれほどまでに強い言葉で彼に接した事はありません。なので紫苑は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべましたが、すぐに

「なりません。アレは消しておくべきです」

と、恐ろしいことを言い出しました。

「なぜです! 説明致したではないですか!!
 彼女はわたくしの守護精霊が暴走した際に、わたくしを守る為に……」

「姉上様!!
 どうかそれ以上はお話しになりませぬよう……」

紫苑の態度に今度はわたくしが驚いてしまいました。今まで長きに渡り姉弟として幾度となく言葉を交わして参りましたが、紫苑がわたくしの言葉を途中で遮ったことなど今まで一度たりとてありません。それに「姉上様」とわたくしを呼ぶのはもう一人の弟と3人で居る時ぐらいで、他者の目がある場所で呼ぶことはなかったのです。

「姉上様は全ての女性の頂点に立つお方……。
 その姉上様の精霊が、穢れを溜めて暴走したと知る者を野放しにはできません」

「何を言っているのです……?
 わたくしは頂点などではありませぬ!!」

そんなふうに思ったことは一度もありませんし、望んだ事もありません。弟の顔をしっかりと見上げ、わたくしのこの気持ちを解ってもらおうと弟の目を見つめます。ですが弟の瞳に宿る狂気としか呼べない剣呑な光に、息を呑んでしまいました。

幼い頃は姉上様、姉上様とわたくしの後ろをついて回る弟たちが可愛くて、そして前国王陛下父上様の無体な言動に震える幼い弟たちが可哀想で、出来得る限り弟たちを守り助けていきたいと思って側に居りました。当時、水の大社おおやしろという逃げ場があったわたくしとは違い、逃げ場が全くなかった弟たち……。だからこそわたくしが弟たちの逃げ場にならねばと思って参りましたが、それが間違いだったのでしょうか……。今の紫苑は、わたくしの知る紫苑とはまるで別人のようです。

思わず一歩後退ってしまいますが、この場で弟を止める事が出来る者はわたくししか居りません。

(紫苑の頬を打ってでも正気に戻さねば……)

そう決意した時、不意に辺りに海霧が立ち込め始めました。不思議なことに、一度晴れたと思った霧が急に濃くなりだしたのです。ですがこの船の兵士は熟練の兵士で、櫻姫が乗っていると思われる船は既に乳白色のとばりの向こう側に消えているというのに、一向に弓を射る音が止まりません。普段ならば誇らしいミズホ国の射手の腕が、今だけは誇る気にはなれません。ともかく攻撃を止めさせなくてはと、

「紫苑!」

そう声をかけて平手を上げた途端、今度は予想だにしなかった衝撃が船を襲いました。まるで巨大な船か何かに衝突したかのような衝撃に、わたくしは不覚にも足元をすくわれて倒れそうになってしまいます。そんなわたくしを紫苑が抱き支えてくれたおかげでかろうじて醜態を晒すことはありませんでしたが、甲板のあちこちからは転んで身体を打ち付けたらしいうめき声が聞こえてきます。また矢を射続けていた兵士たちもこの衝撃は流石に耐えられたなかったようで、矢が飛ぶ音に変わってざわめきが聞こえてきました。

「報告を!」

紫苑がわたくしを支えたまま配下に指示を出しますが、その間にも衝撃は二度三度と続きます。ところがその三度目の衝撃を最後に、今度はピタリと船の揺れが止まってしまいました。それは普通に船が航行していたら感じる程度の揺れどころか、内湾に停泊している時の軽微な揺れすら無いのです。それに先程から感じるこの水の精霊力……。明らかに精霊様が動かれています。

不気味なほどに静まり返った海は、波の音すら遠くから聞こえてくるような気がします。海に慣れ親しんだミズホ国水軍の兵士ですが、だからこそその異様さをひしひしと感じ取っているようで、ざわめきは直ぐに静まっていきました。

「報告致します! 当船は現在、完全停止致しております。
 操舵長によれば舵は一切きかず、
 また漕手長によれば櫂で水をかいても何故か船が進まないとの事です!」

伝令兵の報告に紫苑は柳眉をひそめ、天を仰ぎ見ます。わたくしも釣られて天を見上げれば。そこには風をはらんで限界まで大きく膨れた帆がありました。それは櫂を使う必要もないぐらい、文字通り順風満帆だという事です。

「浸水の可能性は?」

「調査致しましたが、浸水している箇所はございませんでした」

「そうですか……。ならば潜水夫たちに船底を調べさせなさい」

間断なく指示を出す弟に、先程までの危機感が少しだけ薄まります。少なくとも対話が可能な程度には落ち着いたように見えますし、今なら櫻姫の安全を約束させることもできるのではないか……と。

しかし、そんな淡い期待は直ぐに消えてしまいました。

次にわたくしへと目を向けた紫苑は、心底嬉しそうにこう言ったのです。

「姉上様、どうやら私の気持ちが精霊様に……いえ、神様に通じたようです。
 こうして姉上様ともっともっと一緒にいられるのですから」

つい先程まで人の命を奪おうをしていたとは思えないほど朗らかに告げる紫苑に、わたくしは恐怖心が芽生えてしまいそうです。その喜色満面の顔が何かに気づいたように「ハッ」としたものへと変わり、わたくしの手をギュッと握ると

「これは姉上様をあの野蛮極まりないヒノモト国へ
 連れて行ってはならないという神の導きに違いありません」

と確定事項のように語り始めました。

「先程の衝撃の少し前、かなり大きな水の精霊力が動きました。
 姉上様と私の二人は野蛮ヒノモト国へ行かぬようにという事なのでしょう」

確かにあの大きな水の精霊力は、霊力が乏しくなったわたくしでも気付くほどでした。ですがあの精霊力からわたくしが感じたのは決して紫苑が言うようなわたくし達を気遣うようなものではなく、この船への底知れぬ怒りです。

同時に昔、わたくしの守護精霊様を抑える為に現れた水の精霊様の事を思い出しました。櫻姫の母親姫沙羅様の守護精霊との事でしたが、あの精霊様の怒りの波動と似ている気がするのです。

「ま、まさか……」

そう言葉が漏れ出た次の瞬間、わたくしの横にいた紫苑は大きな波に攫われて船のへりへと叩きつけられていました。同時に甲板に居た兵士という兵士が同じ様に波に攫われ、縁や甲板に叩きつけられていきます。そして荒波が過ぎ去った時、甲板で立っていたのはわたくしと朝顔だけとなっていたのです。

「姫様!!」

慌てた朝顔がわたくしの側に駆け寄り、階下からは流入した海水に足を取られながらも、天都から同行してくれていた護衛兵や女官たちが駆けつけてくれました。

「蒼の東宮妃様、お怪我は御座いませんか!」

護衛隊長が素早く周囲を確認しますが、わたくし達を除いて全員が身体を強打して呻いている様子は、控えめに言っても大惨事です。

「わたくしは無事ですが、紫苑とミズホの兵士たちが」

わたくしの言葉を待っていたかのように、再び大きな波が船へと襲いかかってきました。しかも今度は船を全て飲みこんでしまいそうなほどの高い波です。それを見た女官は悲鳴を上げ、熟練の護衛兵たちですら動けずに固まってしまいました。

その大波は三本ある帆柱へと向かうと、全ての帆柱をへし折ってそのまま海へと流してしまいました。それはあっという間の出来事で、全身がずぶ濡れのまま呆然と見続けることしかできません。ですが不思議なことに帆柱を折るほどの強い波だというのに、わたくし達は誰一人として海に投げ出されなかったのです。

「無事で良かった……。今すぐに怪我人の手当てを!」

「手当ては許しません」

わたくしの指示を否定した声は怒りに満ちていて、女官は再びヒッという短い悲鳴を上げて首を竦めてしまいました。対し護衛兵たちは素早く腰に下げている剣の柄に手をやり、周囲を警戒しますが不審な人物は見当たりません。

わたくしはその声に聞き覚えがありました。
あの日、あの時、あの場で、わたくしの為にわたくしの守護精霊を怒ってくださった水の精霊様です。先程感じた精霊様の波動と合わせて考えても、間違いないはずです。

「どうか、お姿をお見せくださいませ……」

わたくしは甲板に跪いて、髪が甲板に着くことも気にせずに深く頭を下げました。すると船の外から大きく水が動くゴウゴウという音と共に、精霊力が再び大きく動く気配がありました。ゆっくりと失礼にならないように顔を上げれば、そこには湧き上がる水の上に立つ、ミズホ国の伝統衣装に身を包んだ男性が立っていました。精霊様は球形や円形だと伝えられていて、人型を取る事は無いはずです。現に過去にお会いした時も球形でした。なので目の前にいる見目麗しい男性が、精霊であると認識するのに少し時間が掛かってしまいました。ですが人が持つことの無い瞳の色、そして何より身にまとう精霊力が男性が精霊であると雄弁に語っていました。

「誠に許し難く、命を持って償いなさい」

そう仰られる水の精霊様の視線の先には、紫苑がいました。その視線に籠められた怒りに背筋が凍りつきます。

御前おんまえに顕現されし水の精霊様に
 ミズホ国第一王女にして水の大社の巫女菖蒲がご挨拶を申し上げます」

「あの子は貴女を気遣っていましたよ。その結果がこれですか?」

「大変申し訳なく……。心からのお詫びを申し上げ」

「貴女が詫ても仕方がありません。元凶は後ろのあの男のようですから」

わたくしの言葉を遮って精霊様が話されると同時に、紫苑のくぐもったうめき声が聞こえてきました。慌てて紫苑の方を見れば、大きな水の玉が幾つも幾つも紫苑の周りに浮いていて、それが四方八方から打ち付けられていました。出血を伴う大怪我を負うことはないでしょうが、あのまま全身を強く打ち続ければ命に関わります。

「どうか、どうかお許しくださいませ!」

再び額を甲板につけるほどに下げて、許しを請います。確かに問題の多い弟ですし、先程わたくしも弟に対して不信感を抱いたばかりです。ですが、それでもわたくしの弟に変わりはないのです。幼い頃から肩を寄せあい、助け合い、慰めあった大切な弟なのです。その弟が、わたくしよりも年若い弟が、わたくしより先に死を賜るなんて見たくありませんし考えたくもありません。

「貴女に何かあれば、あの子が悲しむでしょう。
 ですから貴女と貴女と共に天都から来た者たちは、
 先程へし折った帆柱でいかだを作ってヒノモト国へと向かいなさい。
 ヒノモト国の港に着くまでは、守ってあげましょう」

淡々と告げられる内容に、女官たちは明らかに安堵した表情を浮かべます。少なくとも目の前の人知を超えた存在は、自分たちに危害を加える気が無いと言ってくださっているのですから。ですがそれはわたくし達以外の安全は保証しないと仰っているのに等しいのです。

「あ、姉上、様……」

わたくしに向かって必至に腕を伸ばす弟、やはり捨て置くことはできません。

「弟の罪はわたくしが償います。
 弟からすれば、わたくしが罰せられる事が一番の罰となるでしょう。
 ですからどうか、どうか弟に代わりわたくしを罰してくださいませ」

「姉上様、ぐっ! なりません、姉上様ぁ!!!」

水の玉に何度も何度も打ち据えられながらも、こちらへと向かってこようとする紫苑に、毅然とした態度で答えます。

「よく聞きなさい、紫苑。
 これがあなたがやったことの顛末です。
 あなたが選んだ結果です!」

そう言われて紫苑は愕然とした表情となってしまいました。直ぐにはわたくしの言葉が飲み込めないようで、「たかが小娘一人」ですとか「姉上様に陰りをもたらすあの者が悪い」などと叫んでいましたが、わたくしの決意が変わらない事に気付くと

「罰ならば私が受けるのが筋でしょう。
 精霊よ、私に罰を与えなさい!」

と随分と大上段からの物言いで精霊様へ訴えかけました。

「……なるほど。
 でしたらば菖蒲、貴女に罰を与えましょう」

そう言うと精霊様はわたくしに向かって手を伸ばしました。

「や、やめてくれーーーーーっっ!!!」

綺麗な顔をぐしゃぐしゃに歪め、喉が裂けそうな叫びを上げながら紫苑が駆け寄ってきますが、それを水の玉に邪魔されて甲板に音を立てて転んでしまいました。あまりにも勢い良く転んだので心配になりますが、この先は弟に手を差し出してあげる事はできなくなります。自分で立ち上がって自分で歩んでいくしかないのです。

「朝顔、いつもありがとう。
 あなたがいてくれたおかげで、わたくし、本当に幸せでしたわ」

次いで側に控えてくれていた朝顔へと向き直ります。いつもわたくしを最優先で考えてくれる朝顔に、ずっと助けられてきました。朝顔やその妹の昼顔、夕顔とわたくしは、仲の良い友人でもありました。だからこそ、わたくしの笑顔を覚えておいて欲しくてゆっくりと微笑みます。

「い、いけません、姫様。ひめさま……」

そうは言うものの、朝顔も水の精霊様の強い怒りを感じているので強硬手段には出ません。この場でわたくし以外で唯一、全てを知っている者が朝顔です。なので朝顔は精霊様の怒りの理由が解ってしまうために、止めることはできません。

最後の挨拶を終えたわたくしは、ゆっくりと目を閉じてその時を待つことにしました。遠くからは紫苑の必死に縋る聞こえてきますが、最後に突き放してしまうことを許してほしい反面、これがわたくしが紫苑の為に出来る最後の事のような気もします。

そうやって精霊様の沙汰を待つのですが、一向にわたくしの命は終わりを迎えません。

「精霊様?」

不思議に思い目を開けると、

「少しの間、息を止めておきなさい」

と注意をされました。そしてその直後、わたくしを含めた天都から来た者たちだけ波で船から流されてしまいます。着物が水を吸っていて腕すら動かせないほどに重く、わたくしはこうやって命を落とすのかと思ったのですが、直ぐ様それが勘違いであることに気づきました。

護衛隊長がわたくしの腕をとって引き上げてくれたのは、不揃いな帆柱と帆を切り裂いて作った縄で作られた筏でした。精霊様の指示の後、護衛隊長の命令で一部の護衛兵たちが作ってくれていたようです。

わたくしたちと時を同じくして流された大きな樽も、不思議な水流に乗って筏に流れてきました。その樽を筏に引き上げると、精霊様がやってきて中に海水を入れてくださいました。そして再び精霊力が大きく動きます。

「ここに水を入れておきました。この人数でも節約しながらであれば
 ヒノモト国の港に着くぐらいまでは持つでしょう」

「で、ですが精霊様。人間は海水では……」

「海水ではなく、水と私は言ったはずですが?」

ひんやりとした視線を向けられ、勇猛果敢なはずの護衛隊長が小さく息を呑みます。わたくしたちは許されたのではなく、あくまでも今回は怒りの対象から除外されただけにすぎないのだと、精霊様の態度から分かります。

「せ、精霊様、わたくしはどうすれば……」

「今先程、あなたのみおを変えました。澪とは水の緒にして、水の路。
 それをあの男とは決して交わらないようにしたので、
 今後二人が会うことは二度とないでしょう」

子供の頃に聞いたことがあります。精霊様は一年に一度に集まって、次の一年の御縁ごえんを考えて決めているのだと。御縁とは男女の縁だけを指すのではありません。親子であったり友人の縁も含むのです。つまり水の精霊様はわたくしと紫苑の縁を、この先二度と会うことがないように完全に切ってしまわれたのです。

「嫌です、姉上様!! 私も、私も一緒にいきます!!」

船のへりにしがみついて泣きわめく弟に、もはや声をかけることすら許されないのです。

「精霊様にお手数をおかけして、大変申し訳御座いませんでした」

そう心よりの謝罪を精霊様に伝え、わたくしは弟に背を向けました。

「港についたのなら、この船の事を伝えなさい。
 反省はしてもらいますが、救援を出す事までは止めません。」

「精霊様の御温情に心よりの感謝を申し上げます」

「温情ではありませんよ。
 貴女たちと違って、あの者たちに手助けは一切しませんので、
 救援がわずかでも遅れると命に関わると覚えておきなさい。

 私にとって貴方やその随身は助けても良い存在ですが、
 あの男や攻撃してきた兵士にはなんの価値も見いだせません。
 そんな男たちの命を奪って私が穢れを溜めでもしたら、
 私の守り子が誰よりも悲しみます。ただそれだけのことです」

そう話される精霊様の声が少しずつ遠くなります。精霊様の御力が筏を一定方向へと流してくれているようで、帆も無いのに海の上を流れてゆきます。

「ですがこの先、私の守り子やその家族に刃を向けたのなら、
 その数倍以上の刃で貴方がたを切り刻みます。良いですね?」

その精霊様の声には怒りと精霊力が籠められていたので、言霊として間違いなく実行されることでしょう。これには女官どころか護衛兵たちですら青ざめ、即座に跪いて恭順の意を示しました。

「貴方も覚えておきなさい。
 貴方が私の守り子をこの先も傷つけようとするのならば、
 私も、そして私以外の精霊も決して貴方と貴方の大切な者を許さないでしょう」

風に乗って聞こえてくるのは、紫苑に向かって放たれた言葉。その精霊様の声をかき消すほどの紫苑の慟哭。


わたくしは幼い頃からあなたを守りたかった。助けたかった……。
もちろん櫻姫のことも助けたかったけれど、どちらかを選べと言われたらあなたを助けてしまうであろうと思えるぐらいに、あなたに情があったのです。

(それがあなたを歪めてしまったのでしょうか……。
 わたくしは何処で間違ってしまったのでしょうか……)

そう海に問いかけても、答えてくれる人は誰も居ません。ただただ、弟が己が所業を反省し、何時か精霊様の許しが得られる事を願うばかりです。
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