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4章
17歳 -水の陽月2-
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目の前にあるはずの自分の手が全く見えない、そんな濃すぎる海霧の中を船は進んでいきます。そんな無茶を可能にしているのは浦さんで、水が障害物を避けて流れていくように船も障害物を自動で避けて進んでくれているのです。流石にジェットフォイル航行の速度では危険すぎるので、通常航行に切り替えてはいますが。
そしてある地点にまで到達すると周囲の海霧が途端に消え、視界いっぱいに新緑が眩しい島が広がりました。この海域は海霧が同じ場所にとどまり続ける不思議な場所で、数年に及ぶ島の生活でこんなに霧が晴れた事はありません。慌てて浦さんの方を見ると
「この程度は出来るようになりましたから。
これで島に居る沙羅や槐も私達が帰ってきたことに気づくでしょうし、
こちらからも島からも相手を視認できて便利でしょう?」
と、にこやかに言います。先程までのいつも以上に濃い海霧は、この周辺の霧を外側へと押し出した結果のようです。
(ミズホ国の熟練の船乗りですら、
あの特濃の海霧の中を進むのは厳しいだろうなぁ)
なんて思っていたら
「念の為、我もやっておいた」
と金さんが話に加わってきました。どうやら金さんは海中に牙のような尖った岩をたくさん隆起させておいたそうで……。それを知らずに船を進めようものなら、船底が大変なことになること確実です。これはミズホ国の熟練船乗りですら航行不可能な海域に格上げですね。
あの迷惑極まりないミズホ国王……あ、元国王になったんだっけ。とにかくアルティメットシスコン元国王が私を消す事を諦めてくれていれば良いのですが、そんな不確かなうえに低そうな可能性に賭けたくはなく。そういう意味では浦さんや金さんの対策は嬉しいのですが、不安な点が一つ。
「それ、叔父上や兄上たちが船を出すときはどうするの?」
そう尋ねると、
「岩の無い特定の海路を通れば良い」
と即座に返ってきました。どうやら複雑に曲がった一本道が作られているようです。そして我が家の船は全て浦さんの技能「流水」が籠められた霊石が搭載されているので、障害物は自動回避できます。なので一本道ならぬ一本海路を通る事自体は簡単でしょうが、複雑な海路は船酔いを引き起こしそうです。
(……これ、後で叔父上と兄上には謝った方が良いかもしれない)
もともと大型船を作る為に島の裏側に作成された船渠は、その後も船のメンテナンスや荷物の積み下ろしにも便利なので港として使われています。場所だけを考えると家から遠くて不便なのですが、敵が着岸できる場所を生活エリアから遠い場所にしておきたい叔父上たちはそのまま島の裏側へ船を停めるようになりました。
その埠頭に小さな人影が見えます。海霧が無くなって再びジェットフォイル航行に戻った船はグングンと島に近づき、その人影が誰なのか目視できるまであっという間でした。
「母上!! 兄上!!」
先頭に居るのはその二人で、その後ろには海さんと山さん、そして橡や山吹の姿も見えます。やっと、やっと返ってこれたと安堵する気持ちと、久しぶりに家族に会えた嬉しさが心に湧き上がります。同時に一人だけ足りないという現実が辛くて悲しくて……。
船が停止すると荷物を下ろすのは後回しで、母上の元へと駆けつけました。流石に飛びついて抱きつくような年齢ではありませんが、久しぶりの母上に気分が急いてしまったのです。
「母上、ただいま戻りました。
予定より遅くなってしまって申し訳ありません」
私がそう言った途端、母上が感極まったような顔になったと思ったら、ギュッと私を抱きしめてきました。私が我慢した意味……と思ったけれど、年齢を理由に我慢する意味なんてもともと無かったのかもしれません。
「怪我はない? 病気はしなかった??
少し痩せたのでは?? ちゃんとご飯は食べられたの??」
質問が次々と飛び出してきますが、その全てに「大丈夫」と返します。
「三太郎さんや龍さん、それに緋桐さんも一緒だったんです。
何の問題もありませんでしたよ」
そう最後にまとめると、ようやく母上は安心したようで
「金様、浦様、桃様、龍様、そして緋桐殿下。
娘をお守りくださいまして、心より御礼申し上げます」
と三太郎さんたちに向かって深々と頭を下げました。
「別に礼を言われるような事じゃねぇよ。
櫻は俺様たちの守護対象だし、
俺様たちも必要だと思ったから一緒にマガツ大陸に向かった。それだけだ」
少し照れくさそうにそっぽを向いて言う桃さん。
「言い方には難がありますが、言いたいことは私も同じです」
と浦さんも同意します。その後ろでは金さんや龍さんも頷いていて……って、龍さんも守護精霊って扱いで良いの? 一時的な加護を与えたって訳じゃなく??
そう思って龍さんを見れば、私の視線と視線の意図に気づいたのか悪戯っぽい笑みを浮かべます。見た目年齢だけなら三太郎さんの誰よりも年上に見える龍さんですが、落ち着き具合といえばよいのか、精神年齢は桃さんと同じか下に感じる事すらあります。
そういう意味では気軽さを感じて付き合いやすくはあるのですが、龍さんにはそれだけじゃない何かを感じて、どうしても三太郎さんと同じ括りには入りません。単純に信頼関係を築ける時間が足りていないだけかもしれませんが……。
その後、全員で荷物を持って家へと帰りました。私は自分の着替えどころか、自分が荷物として運ばれる側でしたが。家までの距離が遠すぎて私の足だと時間がかかりすぎてしまうため仕方がないのだと解っていても、母上や橡ですら自分の足で歩いているのにと思うと情けなくて仕方がありません。
(まぁ、それだけ母上も健康になったって事だし、
橡もあの年齢にしては健康で丈夫って事だから喜ばしい事なんだけど……)
服などのかさばるけれど軽めの荷物は龍さんが風で浮かせてまとめて運び、重い荷物は男性陣と金さんや山さんがメインで運んでしまえば、往復する必要すら無く荷運びは終わってしまいました。
改めて思いましたが、埠頭と家までの区間に荷運び用の何か施設を作りたいかもしれません。ついでに人も運べたら……と思いましたが、危険の回避との兼ね合いがあるので、どこまでなら許容できるかを相談してからだなと思い至ります。
つまり、全ては叔父上が目覚めてからの話です。
ちなみに毛美も自分の巣へと戻りました。久しぶりに毛美も家族?全頭が揃った事になります。最初はお互いの臭いをかいで警戒していましたが、すぐに「あっ! こいつのことは知ってるぞ!」と思い出したようで、以前のように全頭がくっついて丸まっていました。
入浴と着替えを済ませ、私が居間に入った時には既に全員が揃っていました。
「はぁ……久しぶりの酒は美味いな」
と一番度数の高いお酒をしみじみと飲んでいるのは金さんで、その向かい側では浦さんが小さなグラスで度数の低いお酒を飲んでいます。二人とも酒の肴としてイカなどの魚貝類の干物を炙ったものが出されていて、本当に美味しそうにそれらを口に運んでいます。
その向こう側に居るのは、山盛りのお肉にかぶりついている桃さんです。ごはんの時間まで待てなかったの?と問いたいところですが、航海中とマガツ大陸に居た間は三太郎さんや龍さんは食事らしい食事をしていません。精霊にとって食事は必須ではなく……というか、精霊は食事をするという概念すら無いのだそうです。そんな三太郎さんにとって飲食は楽しみの一つで、それらを全て封じて私と一緒にマガツ大陸にまで来てくれていました。
つまり、約2ヶ月ぶりの娯楽です。
そりゃぁ、お肉にかぶりつきたくなるってものです。
私もスポドリもどきの塩入り柚子スロップの水割りを飲んで、ホッと一息いれました。過剰なまでの無駄遣いは当然できませんが、補給が困難な船生活に比べれば島生活は気楽です。何よりみんなが居るというのは、精神的にとても楽で……。
「じゃぁ、報告会を始めても良い?」
桃さんの食事が一段落したところで、そう促しました。こういう学級委員長のような立ち位置は苦手なのですが、今回ばかりは仕方がないと諦めます。精霊のみんなは基本的にリーダーシップを取ることはありませんし、山吹と橡は昔の感覚が残っているのか母上や兄上といった主家の人を差し置いて自分が前に出ることはありません。なのでリーダーシップを取れそうな人は叔父上が居ない今、母上か兄上となるのですが、二人とも他の事ならばともかく精霊が絡む事案に関してはその立ち位置を私に譲ってしまいます。
全員の空気がピリッとしまった所で、まずは私から報告を始めます。
「細かい事はきりがないので、後日ゆっくりと報告するとして大きい所では
1つ、三太郎さんの霊力の補強は予定通りに完了。
2つ、マガツ大陸で青の部族と赤の部族と遭遇。
3つ、その部族との約束で再びあちらに行く必要がある。
って事かな」
最初はウンウンと聞いていた山吹でしたが、
「な、なんですか、その赤や青の部族というのは?!
もしや言い伝えにあるアマツ大陸を襲った赤鬼や青鬼と会われたのですか?!」
と目を丸くして訪ねてきました。
彼らは見た目こそ私達とは違いましたが、鬼ではありません。ただ推測にはなりますが、伝承に伝えられている鬼の正体ではあるのだと思います。青い小魚さんを始めとした女性たちに色々と話しを聞くことができたのですが、過去に何度か部族の数が激減した事があり、たいていは大妖の襲撃だったり天変地異に巻き込まれた事が原因でした。ただ数少ないながらも何度かマガツ大陸に見切りをつけて別天地へ活路を見出す為、少なくない数の男性が遠征に出たそうです。
おそらくその中にアマツ大陸へとたどり着いた遠征隊があり、ここでなら自分たちも満足に暮らせると思ったのでしょう。問題はそこで彼らは渡航者ではなく襲撃者となり、共存ではなく略奪という手段を取った事です。結果、アマツ大陸側は青鬼や赤鬼が現れて、多数の死傷者を出したと歴史に記すほどの大事件となりました。そしてマガツ大陸側は撃退され、帰らぬ人を待ち続けた人達は塗炭の苦しみを味わい続ける事になりました。
ちなみにコレ、青の部族も赤の部族もそれぞれ別に船を出しています。なのでマガツ大陸の人による襲撃は、最低でも2回はあったということです。それを聞いた緋桐さんは、ふと思い出したように
「そういえば……かなり古い歴史書の中には、
青鬼を退けた次の年に赤鬼が来たと書かれた物があったな。
だが時代が進むにつれ、いつの間にか同時に来た事になっていたと思う」
と説明してくれました。その歴史書を編纂した学者が同時襲撃でも大差ないと思ったのか、それとも自分たちの武威を高める為にわざと同時襲撃を撃退したと変えたのか。はたまた単なるミスなのかはわかりませんが、伝えられている歴史って実はこういった些細なようで大きな違いがあるものなのかもしれません。
そのあたりを説明したところ、なんとも渋い顔をされてしまいました。母上や橡も青藍を始めとした幼子が今も苦しんでいるという点には悲しげな表情をされましたが、急襲されてアマツ大陸沿岸の村々が焼き討ちにあい、老若男女問わず犠牲になったという歴史は強烈に印象に残っているようです。
「母上たちからすれば思う所があるのは仕方ないとは思うんだけど、
彼らはアマツ大陸の人が憎い訳でも、戦いたいから襲撃した訳でもなくて……。
一番悪いのは餓えで、ついでに襲撃という手段を選んだ一部の人だと思う」
一番悪いのは餓えとした場合、すごく意地悪な見方をすれば恵みもたらす事を放棄した精霊、そして神が悪いという精霊・神批判になります。そもそも神々が大戦なんて始めなければ、世界に苦しみが蔓延することも無かったんじゃ?と言いたい所ですが、この世界の人にとって神や精霊は絶対なので口には出しません。
「そうですね……。櫻の言う通りです」
母上は自分の中で折り合いがついたようで、いつも通りの優しい眼差しの母上に戻っていました。他の人も
「赤鬼や青鬼を目の前にしたらそんな気持ちにはなれないだろうが、
今現在のマガツ大陸に住んでいる人に何の罪咎が無いという事は理解したよ」
兄上もそう言って、少しだけ纏う空気が柔らかくなりました。二人の態度に山吹の態度も少し軟化し、
「今、マガツ大陸に居る者が悪事を働いた訳ではない。
そして罪は犯した当人が背負うべきもので、子や孫、ましてや何代も経った
現在の住人に背負わせる物ではないという事は理解しました」
と納得してくれました。
「あと、あちらは妖はびっくりするぐらい大きくて強いの。
それが原因なのかは調査不足だけど、禍玉が大きいうえに純度も高くて……。
おかげでこちらの霊石では無理なぐらい強力な霊力が籠められるわ」
軟化したとはいえ、まだ少し重い空気を変えようと放った私の言葉に、真っ先に反応したのは意外にも山さんでした。
「純度とは何です!?」
山さんこと山幸彦さんは母上を守護する土の精霊なうえに、金さん以上に口数が少ない事もあって私とは特別近しい関係という訳ではありません。蛇足ながら海さんは、浦さん程仲良くはありませんが山さんよりは会話があります。
そんな二幸彦さんは、守護対象ではない私の事もちゃんと尊重してくれます。それは三太郎さんが二幸彦さんよりも強い精霊だからかもしれませんし、私が名前を付けたからかもしれません。何にしても、こんな前置きなしに食いつかれるように質問をされるのは初めてです。
「純度って言葉が適当かは話し合いの余地があるとは思うんだけど、
技能や霊力を籠める時にひっかかりが少ないというか、抵抗が無いんだって。
詳しくは三太郎さんに聞いてみて。
あと、現物を持って返ってきているから後で一つ渡すね」
私がそう言うと山さんは、今すぐにでも霊石を取りに行きたそうにソワソワとし始めます。微妙な差異はあれど、金さんも山さんも新しいモノが好きなのは変わらないようです。
(……新しいモノが好きなのに、どうして変わる事を嫌うんだろう?)
それは小さな疑問が芽吹いた瞬間でした。
私達の報告が終われば、次は兄上の報告がありました。主にヒノモト国でのソーラーパネル事業に関する進捗で、今のところ大きな問題はないとのことでした。
「大きな問題はないってことは、小さい事はあったの?」
「散々注意はしたんだが、見えない火というのはやっかいだね。
火傷をした作業員が出てしまったんだよ。大事には至らなかったけどね」
「あぁ……」
兄上の言葉には苦笑しか返せません。光が熱を持つって事が、この世界の人には今ひとつ理解できないのかもしれません。
「夜よりも昼の方が暑いでしょ。
同じように光も集まれば集まるほど、明るければ明るいほど
そこが熱くなっているって覚えてもらうしかないかなぁ」
と苦笑交じりで伝えたら、今度からそう説明するよと溜息混じりに言われました。事前に危険だからと兄上にも注意して、兄上も同じように現地の人に説明したのに怪我人を出してしまったことを気に病んでいるようです。
「後はヤマト国の茴香殿下と蒔蘿殿下からも、それぞれ相談が来ております。
ただ詳細な内容に関しましては……」
山吹は事務的な報告を続けようとしましたが、チラリと視線を緋桐さんへと向けました。
「俺はもうヒノモト国の王族じゃ無いんだがなぁ」
と苦笑する緋桐さんですが、だからといって彼の前でヤマト国の二人の殿下からの依頼や相談を話すことは躊躇います。それに両殿下だからこそ教えた技術や秘密もあります。緋桐さんのことは嫌いではありませんし信用もしていますが、両殿下との間にある信頼とはやはり少し違います。
「それはまた後で聞くね」
相談は三太郎さん宛でしょうが、三太郎さんの窓口が私なので殿下たちは何時も私経由で相談をしてきます。そして実際に頭を悩ますのも私です。技術的なことは三太郎さんと一緒に頭を悩ませることになりますが、最初にアイデアを絞り出す役が私なのは昔から変わりません。
「マガツ大陸にもう一度行かなくてはならない事はわかりましたが、
その前にお聞きしたい事が……」
マガツ組と居残り組、双方の報告が一通り終わった後、ゆっくりと手を上げたのは海さんでした。
「そこのヒノモト国の男が持っている剣。それは……霊石では?」
帰還する船の中で完成させた、精霊石の剣。何時しか金さんたちは略して精霊剣や霊剣などなど、まちまちの名前で呼ぶようになりました。あまりにもややこしいのでどれかに統一しようという事になり、多数決の結果「精剣」と呼ぶことになりました。
「あぁ、そうだ。我が作り与えた」
「よろしいのですか? 今まで皆様が考案した新しい技術や品は、
極力人界へ広めないようにしていたのでは?」
海さんの言葉に、そういえば!?と慌てて金さんを見ました。どれほどお願いしても精霊の立場から見て絶対に駄目な場合、三太郎さんは頑として受け入れてくれません。だからこそ私も安心してお願いが出来るのです。
そして精霊石で剣を作るまでは良いとしても、ソレを緋桐さんに渡すことは今までの三太郎さんなら絶対に却下していた案件です。緋桐さんがこの先ずっと島に残るというのなら別ですが、彼には彼の人生があります。マガツ大陸から戻ってきた今、いつこの地を旅立ってもおかしくはありません。
「そのとおりだ。だが……」
珍しく、その先の言葉に詰まる金さん。そんな金さんの様子に、私だけでなく全員が不穏な何かを感じて固唾をのんで言葉の続きを待ちます。
「………………いや、良い。
今夜はしっかりと身体を休め、明日は朝一番から鬱金を覚醒させねばならん。
この話はすべきだとは思うが、鬱金も一緒に話を聞くべきだ」
言葉を濁す金さんですが、叔父上の覚醒が優先という事には同意しかありません。それに何度も説明するよりも、一度で済ませたいという合理性もわかります。
「うん、詳しいことは叔父上が目覚めてからにしよう!
龍さん、明日はどうすれば良いの?」
「そうじゃな。まずは身を浄めてから儂と三太郎、
それから櫻でこの地にある風の神座へと向かう」
「ここにも神座があるの?!」
「あぁ、風の神座は神と第一精霊の数だけあるのじゃが、
そのうちの一つがこの島の近くにある。
本来であれば儂と櫻だけで事足りるのじゃが、
それはおぬしらが許さんじゃろ?」
相変わらず飄々とした龍さんです。それにしてもアマツ大陸であるここに、風の神座があるってことには驚きしかありません。確かに常に風が強い場所ではありますが、同時にそんな風でも飛ばせない霧の濃さの方が印象が強く。私の中では風の島じゃなくて霧の島です。
何にしても明日になれば……。
朝日が昇れば、再び叔父上が目覚めさせられるのです。
叔父上、待っていてください。絶対に助けますから!
そしてある地点にまで到達すると周囲の海霧が途端に消え、視界いっぱいに新緑が眩しい島が広がりました。この海域は海霧が同じ場所にとどまり続ける不思議な場所で、数年に及ぶ島の生活でこんなに霧が晴れた事はありません。慌てて浦さんの方を見ると
「この程度は出来るようになりましたから。
これで島に居る沙羅や槐も私達が帰ってきたことに気づくでしょうし、
こちらからも島からも相手を視認できて便利でしょう?」
と、にこやかに言います。先程までのいつも以上に濃い海霧は、この周辺の霧を外側へと押し出した結果のようです。
(ミズホ国の熟練の船乗りですら、
あの特濃の海霧の中を進むのは厳しいだろうなぁ)
なんて思っていたら
「念の為、我もやっておいた」
と金さんが話に加わってきました。どうやら金さんは海中に牙のような尖った岩をたくさん隆起させておいたそうで……。それを知らずに船を進めようものなら、船底が大変なことになること確実です。これはミズホ国の熟練船乗りですら航行不可能な海域に格上げですね。
あの迷惑極まりないミズホ国王……あ、元国王になったんだっけ。とにかくアルティメットシスコン元国王が私を消す事を諦めてくれていれば良いのですが、そんな不確かなうえに低そうな可能性に賭けたくはなく。そういう意味では浦さんや金さんの対策は嬉しいのですが、不安な点が一つ。
「それ、叔父上や兄上たちが船を出すときはどうするの?」
そう尋ねると、
「岩の無い特定の海路を通れば良い」
と即座に返ってきました。どうやら複雑に曲がった一本道が作られているようです。そして我が家の船は全て浦さんの技能「流水」が籠められた霊石が搭載されているので、障害物は自動回避できます。なので一本道ならぬ一本海路を通る事自体は簡単でしょうが、複雑な海路は船酔いを引き起こしそうです。
(……これ、後で叔父上と兄上には謝った方が良いかもしれない)
もともと大型船を作る為に島の裏側に作成された船渠は、その後も船のメンテナンスや荷物の積み下ろしにも便利なので港として使われています。場所だけを考えると家から遠くて不便なのですが、敵が着岸できる場所を生活エリアから遠い場所にしておきたい叔父上たちはそのまま島の裏側へ船を停めるようになりました。
その埠頭に小さな人影が見えます。海霧が無くなって再びジェットフォイル航行に戻った船はグングンと島に近づき、その人影が誰なのか目視できるまであっという間でした。
「母上!! 兄上!!」
先頭に居るのはその二人で、その後ろには海さんと山さん、そして橡や山吹の姿も見えます。やっと、やっと返ってこれたと安堵する気持ちと、久しぶりに家族に会えた嬉しさが心に湧き上がります。同時に一人だけ足りないという現実が辛くて悲しくて……。
船が停止すると荷物を下ろすのは後回しで、母上の元へと駆けつけました。流石に飛びついて抱きつくような年齢ではありませんが、久しぶりの母上に気分が急いてしまったのです。
「母上、ただいま戻りました。
予定より遅くなってしまって申し訳ありません」
私がそう言った途端、母上が感極まったような顔になったと思ったら、ギュッと私を抱きしめてきました。私が我慢した意味……と思ったけれど、年齢を理由に我慢する意味なんてもともと無かったのかもしれません。
「怪我はない? 病気はしなかった??
少し痩せたのでは?? ちゃんとご飯は食べられたの??」
質問が次々と飛び出してきますが、その全てに「大丈夫」と返します。
「三太郎さんや龍さん、それに緋桐さんも一緒だったんです。
何の問題もありませんでしたよ」
そう最後にまとめると、ようやく母上は安心したようで
「金様、浦様、桃様、龍様、そして緋桐殿下。
娘をお守りくださいまして、心より御礼申し上げます」
と三太郎さんたちに向かって深々と頭を下げました。
「別に礼を言われるような事じゃねぇよ。
櫻は俺様たちの守護対象だし、
俺様たちも必要だと思ったから一緒にマガツ大陸に向かった。それだけだ」
少し照れくさそうにそっぽを向いて言う桃さん。
「言い方には難がありますが、言いたいことは私も同じです」
と浦さんも同意します。その後ろでは金さんや龍さんも頷いていて……って、龍さんも守護精霊って扱いで良いの? 一時的な加護を与えたって訳じゃなく??
そう思って龍さんを見れば、私の視線と視線の意図に気づいたのか悪戯っぽい笑みを浮かべます。見た目年齢だけなら三太郎さんの誰よりも年上に見える龍さんですが、落ち着き具合といえばよいのか、精神年齢は桃さんと同じか下に感じる事すらあります。
そういう意味では気軽さを感じて付き合いやすくはあるのですが、龍さんにはそれだけじゃない何かを感じて、どうしても三太郎さんと同じ括りには入りません。単純に信頼関係を築ける時間が足りていないだけかもしれませんが……。
その後、全員で荷物を持って家へと帰りました。私は自分の着替えどころか、自分が荷物として運ばれる側でしたが。家までの距離が遠すぎて私の足だと時間がかかりすぎてしまうため仕方がないのだと解っていても、母上や橡ですら自分の足で歩いているのにと思うと情けなくて仕方がありません。
(まぁ、それだけ母上も健康になったって事だし、
橡もあの年齢にしては健康で丈夫って事だから喜ばしい事なんだけど……)
服などのかさばるけれど軽めの荷物は龍さんが風で浮かせてまとめて運び、重い荷物は男性陣と金さんや山さんがメインで運んでしまえば、往復する必要すら無く荷運びは終わってしまいました。
改めて思いましたが、埠頭と家までの区間に荷運び用の何か施設を作りたいかもしれません。ついでに人も運べたら……と思いましたが、危険の回避との兼ね合いがあるので、どこまでなら許容できるかを相談してからだなと思い至ります。
つまり、全ては叔父上が目覚めてからの話です。
ちなみに毛美も自分の巣へと戻りました。久しぶりに毛美も家族?全頭が揃った事になります。最初はお互いの臭いをかいで警戒していましたが、すぐに「あっ! こいつのことは知ってるぞ!」と思い出したようで、以前のように全頭がくっついて丸まっていました。
入浴と着替えを済ませ、私が居間に入った時には既に全員が揃っていました。
「はぁ……久しぶりの酒は美味いな」
と一番度数の高いお酒をしみじみと飲んでいるのは金さんで、その向かい側では浦さんが小さなグラスで度数の低いお酒を飲んでいます。二人とも酒の肴としてイカなどの魚貝類の干物を炙ったものが出されていて、本当に美味しそうにそれらを口に運んでいます。
その向こう側に居るのは、山盛りのお肉にかぶりついている桃さんです。ごはんの時間まで待てなかったの?と問いたいところですが、航海中とマガツ大陸に居た間は三太郎さんや龍さんは食事らしい食事をしていません。精霊にとって食事は必須ではなく……というか、精霊は食事をするという概念すら無いのだそうです。そんな三太郎さんにとって飲食は楽しみの一つで、それらを全て封じて私と一緒にマガツ大陸にまで来てくれていました。
つまり、約2ヶ月ぶりの娯楽です。
そりゃぁ、お肉にかぶりつきたくなるってものです。
私もスポドリもどきの塩入り柚子スロップの水割りを飲んで、ホッと一息いれました。過剰なまでの無駄遣いは当然できませんが、補給が困難な船生活に比べれば島生活は気楽です。何よりみんなが居るというのは、精神的にとても楽で……。
「じゃぁ、報告会を始めても良い?」
桃さんの食事が一段落したところで、そう促しました。こういう学級委員長のような立ち位置は苦手なのですが、今回ばかりは仕方がないと諦めます。精霊のみんなは基本的にリーダーシップを取ることはありませんし、山吹と橡は昔の感覚が残っているのか母上や兄上といった主家の人を差し置いて自分が前に出ることはありません。なのでリーダーシップを取れそうな人は叔父上が居ない今、母上か兄上となるのですが、二人とも他の事ならばともかく精霊が絡む事案に関してはその立ち位置を私に譲ってしまいます。
全員の空気がピリッとしまった所で、まずは私から報告を始めます。
「細かい事はきりがないので、後日ゆっくりと報告するとして大きい所では
1つ、三太郎さんの霊力の補強は予定通りに完了。
2つ、マガツ大陸で青の部族と赤の部族と遭遇。
3つ、その部族との約束で再びあちらに行く必要がある。
って事かな」
最初はウンウンと聞いていた山吹でしたが、
「な、なんですか、その赤や青の部族というのは?!
もしや言い伝えにあるアマツ大陸を襲った赤鬼や青鬼と会われたのですか?!」
と目を丸くして訪ねてきました。
彼らは見た目こそ私達とは違いましたが、鬼ではありません。ただ推測にはなりますが、伝承に伝えられている鬼の正体ではあるのだと思います。青い小魚さんを始めとした女性たちに色々と話しを聞くことができたのですが、過去に何度か部族の数が激減した事があり、たいていは大妖の襲撃だったり天変地異に巻き込まれた事が原因でした。ただ数少ないながらも何度かマガツ大陸に見切りをつけて別天地へ活路を見出す為、少なくない数の男性が遠征に出たそうです。
おそらくその中にアマツ大陸へとたどり着いた遠征隊があり、ここでなら自分たちも満足に暮らせると思ったのでしょう。問題はそこで彼らは渡航者ではなく襲撃者となり、共存ではなく略奪という手段を取った事です。結果、アマツ大陸側は青鬼や赤鬼が現れて、多数の死傷者を出したと歴史に記すほどの大事件となりました。そしてマガツ大陸側は撃退され、帰らぬ人を待ち続けた人達は塗炭の苦しみを味わい続ける事になりました。
ちなみにコレ、青の部族も赤の部族もそれぞれ別に船を出しています。なのでマガツ大陸の人による襲撃は、最低でも2回はあったということです。それを聞いた緋桐さんは、ふと思い出したように
「そういえば……かなり古い歴史書の中には、
青鬼を退けた次の年に赤鬼が来たと書かれた物があったな。
だが時代が進むにつれ、いつの間にか同時に来た事になっていたと思う」
と説明してくれました。その歴史書を編纂した学者が同時襲撃でも大差ないと思ったのか、それとも自分たちの武威を高める為にわざと同時襲撃を撃退したと変えたのか。はたまた単なるミスなのかはわかりませんが、伝えられている歴史って実はこういった些細なようで大きな違いがあるものなのかもしれません。
そのあたりを説明したところ、なんとも渋い顔をされてしまいました。母上や橡も青藍を始めとした幼子が今も苦しんでいるという点には悲しげな表情をされましたが、急襲されてアマツ大陸沿岸の村々が焼き討ちにあい、老若男女問わず犠牲になったという歴史は強烈に印象に残っているようです。
「母上たちからすれば思う所があるのは仕方ないとは思うんだけど、
彼らはアマツ大陸の人が憎い訳でも、戦いたいから襲撃した訳でもなくて……。
一番悪いのは餓えで、ついでに襲撃という手段を選んだ一部の人だと思う」
一番悪いのは餓えとした場合、すごく意地悪な見方をすれば恵みもたらす事を放棄した精霊、そして神が悪いという精霊・神批判になります。そもそも神々が大戦なんて始めなければ、世界に苦しみが蔓延することも無かったんじゃ?と言いたい所ですが、この世界の人にとって神や精霊は絶対なので口には出しません。
「そうですね……。櫻の言う通りです」
母上は自分の中で折り合いがついたようで、いつも通りの優しい眼差しの母上に戻っていました。他の人も
「赤鬼や青鬼を目の前にしたらそんな気持ちにはなれないだろうが、
今現在のマガツ大陸に住んでいる人に何の罪咎が無いという事は理解したよ」
兄上もそう言って、少しだけ纏う空気が柔らかくなりました。二人の態度に山吹の態度も少し軟化し、
「今、マガツ大陸に居る者が悪事を働いた訳ではない。
そして罪は犯した当人が背負うべきもので、子や孫、ましてや何代も経った
現在の住人に背負わせる物ではないという事は理解しました」
と納得してくれました。
「あと、あちらは妖はびっくりするぐらい大きくて強いの。
それが原因なのかは調査不足だけど、禍玉が大きいうえに純度も高くて……。
おかげでこちらの霊石では無理なぐらい強力な霊力が籠められるわ」
軟化したとはいえ、まだ少し重い空気を変えようと放った私の言葉に、真っ先に反応したのは意外にも山さんでした。
「純度とは何です!?」
山さんこと山幸彦さんは母上を守護する土の精霊なうえに、金さん以上に口数が少ない事もあって私とは特別近しい関係という訳ではありません。蛇足ながら海さんは、浦さん程仲良くはありませんが山さんよりは会話があります。
そんな二幸彦さんは、守護対象ではない私の事もちゃんと尊重してくれます。それは三太郎さんが二幸彦さんよりも強い精霊だからかもしれませんし、私が名前を付けたからかもしれません。何にしても、こんな前置きなしに食いつかれるように質問をされるのは初めてです。
「純度って言葉が適当かは話し合いの余地があるとは思うんだけど、
技能や霊力を籠める時にひっかかりが少ないというか、抵抗が無いんだって。
詳しくは三太郎さんに聞いてみて。
あと、現物を持って返ってきているから後で一つ渡すね」
私がそう言うと山さんは、今すぐにでも霊石を取りに行きたそうにソワソワとし始めます。微妙な差異はあれど、金さんも山さんも新しいモノが好きなのは変わらないようです。
(……新しいモノが好きなのに、どうして変わる事を嫌うんだろう?)
それは小さな疑問が芽吹いた瞬間でした。
私達の報告が終われば、次は兄上の報告がありました。主にヒノモト国でのソーラーパネル事業に関する進捗で、今のところ大きな問題はないとのことでした。
「大きな問題はないってことは、小さい事はあったの?」
「散々注意はしたんだが、見えない火というのはやっかいだね。
火傷をした作業員が出てしまったんだよ。大事には至らなかったけどね」
「あぁ……」
兄上の言葉には苦笑しか返せません。光が熱を持つって事が、この世界の人には今ひとつ理解できないのかもしれません。
「夜よりも昼の方が暑いでしょ。
同じように光も集まれば集まるほど、明るければ明るいほど
そこが熱くなっているって覚えてもらうしかないかなぁ」
と苦笑交じりで伝えたら、今度からそう説明するよと溜息混じりに言われました。事前に危険だからと兄上にも注意して、兄上も同じように現地の人に説明したのに怪我人を出してしまったことを気に病んでいるようです。
「後はヤマト国の茴香殿下と蒔蘿殿下からも、それぞれ相談が来ております。
ただ詳細な内容に関しましては……」
山吹は事務的な報告を続けようとしましたが、チラリと視線を緋桐さんへと向けました。
「俺はもうヒノモト国の王族じゃ無いんだがなぁ」
と苦笑する緋桐さんですが、だからといって彼の前でヤマト国の二人の殿下からの依頼や相談を話すことは躊躇います。それに両殿下だからこそ教えた技術や秘密もあります。緋桐さんのことは嫌いではありませんし信用もしていますが、両殿下との間にある信頼とはやはり少し違います。
「それはまた後で聞くね」
相談は三太郎さん宛でしょうが、三太郎さんの窓口が私なので殿下たちは何時も私経由で相談をしてきます。そして実際に頭を悩ますのも私です。技術的なことは三太郎さんと一緒に頭を悩ませることになりますが、最初にアイデアを絞り出す役が私なのは昔から変わりません。
「マガツ大陸にもう一度行かなくてはならない事はわかりましたが、
その前にお聞きしたい事が……」
マガツ組と居残り組、双方の報告が一通り終わった後、ゆっくりと手を上げたのは海さんでした。
「そこのヒノモト国の男が持っている剣。それは……霊石では?」
帰還する船の中で完成させた、精霊石の剣。何時しか金さんたちは略して精霊剣や霊剣などなど、まちまちの名前で呼ぶようになりました。あまりにもややこしいのでどれかに統一しようという事になり、多数決の結果「精剣」と呼ぶことになりました。
「あぁ、そうだ。我が作り与えた」
「よろしいのですか? 今まで皆様が考案した新しい技術や品は、
極力人界へ広めないようにしていたのでは?」
海さんの言葉に、そういえば!?と慌てて金さんを見ました。どれほどお願いしても精霊の立場から見て絶対に駄目な場合、三太郎さんは頑として受け入れてくれません。だからこそ私も安心してお願いが出来るのです。
そして精霊石で剣を作るまでは良いとしても、ソレを緋桐さんに渡すことは今までの三太郎さんなら絶対に却下していた案件です。緋桐さんがこの先ずっと島に残るというのなら別ですが、彼には彼の人生があります。マガツ大陸から戻ってきた今、いつこの地を旅立ってもおかしくはありません。
「そのとおりだ。だが……」
珍しく、その先の言葉に詰まる金さん。そんな金さんの様子に、私だけでなく全員が不穏な何かを感じて固唾をのんで言葉の続きを待ちます。
「………………いや、良い。
今夜はしっかりと身体を休め、明日は朝一番から鬱金を覚醒させねばならん。
この話はすべきだとは思うが、鬱金も一緒に話を聞くべきだ」
言葉を濁す金さんですが、叔父上の覚醒が優先という事には同意しかありません。それに何度も説明するよりも、一度で済ませたいという合理性もわかります。
「うん、詳しいことは叔父上が目覚めてからにしよう!
龍さん、明日はどうすれば良いの?」
「そうじゃな。まずは身を浄めてから儂と三太郎、
それから櫻でこの地にある風の神座へと向かう」
「ここにも神座があるの?!」
「あぁ、風の神座は神と第一精霊の数だけあるのじゃが、
そのうちの一つがこの島の近くにある。
本来であれば儂と櫻だけで事足りるのじゃが、
それはおぬしらが許さんじゃろ?」
相変わらず飄々とした龍さんです。それにしてもアマツ大陸であるここに、風の神座があるってことには驚きしかありません。確かに常に風が強い場所ではありますが、同時にそんな風でも飛ばせない霧の濃さの方が印象が強く。私の中では風の島じゃなくて霧の島です。
何にしても明日になれば……。
朝日が昇れば、再び叔父上が目覚めさせられるのです。
叔父上、待っていてください。絶対に助けますから!
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