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可愛い人
可愛い彼女さんは
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初めて会った幼馴染みの彼女さんは、可愛いよりは綺麗な印象の人でした。
「初めまして、佐々木 柊です」
初めて会った晴樹の彼女さんは、微笑みこそしていないが、優しい雰囲気を纏う大人の女性だった。
―――正直に言おう。
晴樹の変人変態レベルについていける彼女さんは、常軌を逸した存在だと思っていた。
しかし、実際はどうだ。晴樹の変人変態さが際立つだけの、普通に綺麗な常識ある人だった。
「は、初めまして、晴樹の幼馴染みの、松本 大和(まつもと やまと)です」
「ああ、貴方が大和くん。晴樹からいつも話を聞いています。
―――ふらっとお家にお邪魔しに行っているみたいで、ご迷惑をお掛けしてすみません」
常識人過ぎて、ほんと晴樹の非常識差が浮き彫りになっている。
「ひぃーちゃん、大和への挨拶はもう良いでしょ?」
晴樹はごく自然に佐々木さんの腰に腕を回し、抱き寄せる。
お前の問題行動について話してたんだけど?
当の本人は、他人事のようにどこ吹く風だ。解せぬ。
「離せ阿呆」
「えー?」
柊さんから言われても諸ともせずに、抱き寄せている力を強めているように見える。
「晴樹」
「えぇー…ちぇっ……」
…すごい。
何だかんだで晴樹が言うことを聞いている。感動で涙が出そうになる…。
あまりにも晴樹と幼馴染みの期間が長過ぎて、晴樹のお守りをすることが多かった俺は、巣立ちする子供を喜ぶ親の気分だ。
「とりあえず、何処か入ろうか」
柊さんより、少し甘さのある限りなくそっくりな顔の男性が、道端で話していた事もあり提案する。
―――この男性が、おそらく双子の弟さんの椿さんだろう。
「そうですね。この辺で僕らがよく行く所ありますけど、そこで良いですか?」
「あぁ、私は構わない。椿も良いか?」
少し後ろに居る椿さんに確認する柊さん。こうやって改めて見ると、二人はよく似ているのが分かる。多少の差はあれど。
「俺は何処でも良いよ。とりあえず、これ以上まだ話すなら、座りたい」
疲れた様子で半目の椿さんも何処でも良いとの事なので、俺が先導して店へと向かう。
「勇(ゆう)くんのとこ?」
「おう、ここからならスグだし、あそこは静かだし、タバコの臭いがない」
「それねー!そこすっごく大事!」
晴樹は耳が良いし、鼻も良いから、お店に入るのにも結構気を使う。
勇さんは、俺たちの高校の時の先輩で、少し入り組んだ路地で小さな喫茶バーを経営している。たまに、勇さんお気に入りの奏者が演奏してたりもするお洒落で雰囲気の良いお店で、勇さん自身も晴樹同様耳も鼻も良いから店もそれに対応している。
「柊もタバコの臭いがダメだよな」
「単体なら別に耐えれなくもないが、飲食の空間に存在するのが無理だな」
眉間に皺の寄せる柊さん。そういう仕草を見ると、晴樹から聞いた年齢より若く可愛らしく見える。
「大和は見ちゃダメ」
晴樹は、俺の背を押して強制的に方向転換させると、ずんずんと店の方へと足を進める。
「ひぃーちゃんも!そんな可愛い顔、外でしないで!」
少し後ろになった柊さんに、振り返りながら晴樹が言う。
「どんな顔?」
「ヨカッタナ、カワイイッテヨ」
直ぐ様「うぇっ」という椿さんの呻き声が聞こえた。犯人は一人だろう…。
「理不尽」
「いや、自業自得だろ阿呆」
椿さんが抗議するが、俺も心の中で柊さんに一票。
というか、この場合は、晴樹の言動が一番問題だったように思うのは俺だけか?
「ひぃーちゃんは、いつでもどんな時でも可愛いよ」
「あーはいはい、ごちそうさま」
晴樹の言葉に椿さんが半目で適当に返す。
「勝手に言ってろ、ばーか」
不意に柊さんが呆れたように笑いを溢す。ふんわりとした可愛らしい、という表現がピッタリな大人の女性の笑い方。
「ひぃーちゃん、可愛い過ぎだから!!」
「知るか」
「柊、晴樹、外でイチャつくな」
「はーい、椿くん」
「巻き込み事故感が否めないのだが」
「おうちに帰ったら、いっぱいイチャイチャしようね?」
「寝言は寝て言え」
俺の幼馴染みの彼女さんは、第一印象は綺麗な感じの人だったが、仕草は可愛い感じの人だった。
ただ、幼馴染みの執着独占レベルの方が高くて、その可愛さは霞んで見え辛かった。
「初めまして、佐々木 柊です」
初めて会った晴樹の彼女さんは、微笑みこそしていないが、優しい雰囲気を纏う大人の女性だった。
―――正直に言おう。
晴樹の変人変態レベルについていける彼女さんは、常軌を逸した存在だと思っていた。
しかし、実際はどうだ。晴樹の変人変態さが際立つだけの、普通に綺麗な常識ある人だった。
「は、初めまして、晴樹の幼馴染みの、松本 大和(まつもと やまと)です」
「ああ、貴方が大和くん。晴樹からいつも話を聞いています。
―――ふらっとお家にお邪魔しに行っているみたいで、ご迷惑をお掛けしてすみません」
常識人過ぎて、ほんと晴樹の非常識差が浮き彫りになっている。
「ひぃーちゃん、大和への挨拶はもう良いでしょ?」
晴樹はごく自然に佐々木さんの腰に腕を回し、抱き寄せる。
お前の問題行動について話してたんだけど?
当の本人は、他人事のようにどこ吹く風だ。解せぬ。
「離せ阿呆」
「えー?」
柊さんから言われても諸ともせずに、抱き寄せている力を強めているように見える。
「晴樹」
「えぇー…ちぇっ……」
…すごい。
何だかんだで晴樹が言うことを聞いている。感動で涙が出そうになる…。
あまりにも晴樹と幼馴染みの期間が長過ぎて、晴樹のお守りをすることが多かった俺は、巣立ちする子供を喜ぶ親の気分だ。
「とりあえず、何処か入ろうか」
柊さんより、少し甘さのある限りなくそっくりな顔の男性が、道端で話していた事もあり提案する。
―――この男性が、おそらく双子の弟さんの椿さんだろう。
「そうですね。この辺で僕らがよく行く所ありますけど、そこで良いですか?」
「あぁ、私は構わない。椿も良いか?」
少し後ろに居る椿さんに確認する柊さん。こうやって改めて見ると、二人はよく似ているのが分かる。多少の差はあれど。
「俺は何処でも良いよ。とりあえず、これ以上まだ話すなら、座りたい」
疲れた様子で半目の椿さんも何処でも良いとの事なので、俺が先導して店へと向かう。
「勇(ゆう)くんのとこ?」
「おう、ここからならスグだし、あそこは静かだし、タバコの臭いがない」
「それねー!そこすっごく大事!」
晴樹は耳が良いし、鼻も良いから、お店に入るのにも結構気を使う。
勇さんは、俺たちの高校の時の先輩で、少し入り組んだ路地で小さな喫茶バーを経営している。たまに、勇さんお気に入りの奏者が演奏してたりもするお洒落で雰囲気の良いお店で、勇さん自身も晴樹同様耳も鼻も良いから店もそれに対応している。
「柊もタバコの臭いがダメだよな」
「単体なら別に耐えれなくもないが、飲食の空間に存在するのが無理だな」
眉間に皺の寄せる柊さん。そういう仕草を見ると、晴樹から聞いた年齢より若く可愛らしく見える。
「大和は見ちゃダメ」
晴樹は、俺の背を押して強制的に方向転換させると、ずんずんと店の方へと足を進める。
「ひぃーちゃんも!そんな可愛い顔、外でしないで!」
少し後ろになった柊さんに、振り返りながら晴樹が言う。
「どんな顔?」
「ヨカッタナ、カワイイッテヨ」
直ぐ様「うぇっ」という椿さんの呻き声が聞こえた。犯人は一人だろう…。
「理不尽」
「いや、自業自得だろ阿呆」
椿さんが抗議するが、俺も心の中で柊さんに一票。
というか、この場合は、晴樹の言動が一番問題だったように思うのは俺だけか?
「ひぃーちゃんは、いつでもどんな時でも可愛いよ」
「あーはいはい、ごちそうさま」
晴樹の言葉に椿さんが半目で適当に返す。
「勝手に言ってろ、ばーか」
不意に柊さんが呆れたように笑いを溢す。ふんわりとした可愛らしい、という表現がピッタリな大人の女性の笑い方。
「ひぃーちゃん、可愛い過ぎだから!!」
「知るか」
「柊、晴樹、外でイチャつくな」
「はーい、椿くん」
「巻き込み事故感が否めないのだが」
「おうちに帰ったら、いっぱいイチャイチャしようね?」
「寝言は寝て言え」
俺の幼馴染みの彼女さんは、第一印象は綺麗な感じの人だったが、仕草は可愛い感じの人だった。
ただ、幼馴染みの執着独占レベルの方が高くて、その可愛さは霞んで見え辛かった。
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