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第一章
オアシス2
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オアシスは大きかった。
僕のじゅくじゅくになった足を見て、おじさんはここに3日いると言った。
「おじさん」
「…」
僕が女だと言ってから、おじさんは問いかけに答えてくれなくなった。顔すら見ない。その背中が僕を拒絶しているのが分かる。でも納得いかないよ。
「おじさんが悪いんだろ」
「…」
まったく!大人の癖に子供みたいに拗ねてさ。嫌になるよ!何で僕がおじさんの機嫌を取らなきゃなんないのさ!
オアシスには、旅人のテントを張る場所として草が沢山生えている広場があって、そしてそこの近くには食べ物を売るお店が並んでる。
僕は夜の暗い世界に並ぶお店の光をただ見てた。賑やかな声が嬉しい。人の声を久しぶりに聞いた気がする。
村を思い出すよ。
村の建物は全部木で出来ていたけれど、オアシスにある建物は真っ白な石で出来てる。屋根はなくて四角だったり、丸くててっぺんが尖った変な物がある。
初めて村を出て、気が付いたらこんな所にやってきた。ここに母さん達も居たらよかったのに。見せたかったな。
オアシスに着いてすぐ、
僕はおじさんに手当をされた。商品価値が下がるから男だと
言う様に言われて、これから2日は足を使うなとも言われた。オアシスを見て回る事は出来なそう。ちょっと残念だな。
ここは不思議な花の香りに鼻がチクチクする辛そうな匂いが沢山だ。まるで絵本に出てくる魔人の国みたい。そしてオアシスの入り口に、見た事の無い大きな蛇や蜥蜴の様な騎獣が居るんだ。あいつらは意外と可愛い。
はぁ…頭が働かない。
おじさん、僕はこれからどうなるの?
「僕は男じゃないよ」
テントの中で日中の強烈な日差しを僕達は避けていた。だから、否が応でもおじさんは僕と居なくちゃならないし、僕はおじさんのご機嫌を取らなきゃいけなかった。
「…」
「確認しないおじさん達が悪い」
「…」
元々話をしてくれる人じゃなかったけど、僕の質問を無視する事はなかった。だから僕はおじさんと仲良くなれるって思ってた。それで助けて貰えるとか…思ってる訳じゃないけど。そうしてくれるかもしれない。そんな期待はあったかも。
「ねぇ、おじさん!」
「…」
「ねぇってば!」
「うるせぇぞ!黙ってろ!」
おじさんの機嫌が悪い。
ずっとイライラしてて、昨日はテントに寝に戻ったけれど朝になったら居なくて、夜中になるまで戻ってこなかった。今日は朝からテントの中にいるけれど、僕はこの張り詰めた雰囲気が嫌だった。
ただゴロゴロしてるなら街にでも行きゃあいいのにと思う。邪魔なおじさんだよ。それに、忘れてることに腹が立つけど、僕は昨日からご飯を貰えて無い。こんな最悪な雰囲気の中、お腹が空いたとは言えなくて、それにお金なんて持ってないから、昨日は隣のテントから干し肉を一欠片くすねて食べた。おじさんが出て行ってくれたらまた行けるんだけどな。
夜中、トイレがしたくて這って外に出た。サラサラの砂の上を蛇みたいに這いつくばって、壁沿いに生い茂るヤチの木の根元に穴を掘った。そしてぺたりと座ってほっと一息く。用を足していると、おじさんの声がした。
「坊主!おいっ!坊主!」
そんな声を聞きつつ、スッキリして僕はズボンを上げて穴に砂を被せていた。背後でおじさんの声が聞こえていて、僕を探しているのは分かったけれど、ずっと無視されて腹が立っていたから、僕も返事をしなかった。
「くそっ!坊主っ!どこ行った!返事をしろっ!」
だんだん小さくなるおじさんの声を黙って聞いた。焦った声に最初は笑いが込み上げて来たけれど、どうしてだろう?今は泣きたくて仕方がないんだ…僕はここだよ、そう言ってしまいそうになる。
…誰に?誰に知って欲しかった?
「父さん、母さん!ふぅっ、うえっ、えぇっ」
僕の家はもうどこにも居ないんだ。そんな事が今更になって僕の心を占めていた。
僕のじゅくじゅくになった足を見て、おじさんはここに3日いると言った。
「おじさん」
「…」
僕が女だと言ってから、おじさんは問いかけに答えてくれなくなった。顔すら見ない。その背中が僕を拒絶しているのが分かる。でも納得いかないよ。
「おじさんが悪いんだろ」
「…」
まったく!大人の癖に子供みたいに拗ねてさ。嫌になるよ!何で僕がおじさんの機嫌を取らなきゃなんないのさ!
オアシスには、旅人のテントを張る場所として草が沢山生えている広場があって、そしてそこの近くには食べ物を売るお店が並んでる。
僕は夜の暗い世界に並ぶお店の光をただ見てた。賑やかな声が嬉しい。人の声を久しぶりに聞いた気がする。
村を思い出すよ。
村の建物は全部木で出来ていたけれど、オアシスにある建物は真っ白な石で出来てる。屋根はなくて四角だったり、丸くててっぺんが尖った変な物がある。
初めて村を出て、気が付いたらこんな所にやってきた。ここに母さん達も居たらよかったのに。見せたかったな。
オアシスに着いてすぐ、
僕はおじさんに手当をされた。商品価値が下がるから男だと
言う様に言われて、これから2日は足を使うなとも言われた。オアシスを見て回る事は出来なそう。ちょっと残念だな。
ここは不思議な花の香りに鼻がチクチクする辛そうな匂いが沢山だ。まるで絵本に出てくる魔人の国みたい。そしてオアシスの入り口に、見た事の無い大きな蛇や蜥蜴の様な騎獣が居るんだ。あいつらは意外と可愛い。
はぁ…頭が働かない。
おじさん、僕はこれからどうなるの?
「僕は男じゃないよ」
テントの中で日中の強烈な日差しを僕達は避けていた。だから、否が応でもおじさんは僕と居なくちゃならないし、僕はおじさんのご機嫌を取らなきゃいけなかった。
「…」
「確認しないおじさん達が悪い」
「…」
元々話をしてくれる人じゃなかったけど、僕の質問を無視する事はなかった。だから僕はおじさんと仲良くなれるって思ってた。それで助けて貰えるとか…思ってる訳じゃないけど。そうしてくれるかもしれない。そんな期待はあったかも。
「ねぇ、おじさん!」
「…」
「ねぇってば!」
「うるせぇぞ!黙ってろ!」
おじさんの機嫌が悪い。
ずっとイライラしてて、昨日はテントに寝に戻ったけれど朝になったら居なくて、夜中になるまで戻ってこなかった。今日は朝からテントの中にいるけれど、僕はこの張り詰めた雰囲気が嫌だった。
ただゴロゴロしてるなら街にでも行きゃあいいのにと思う。邪魔なおじさんだよ。それに、忘れてることに腹が立つけど、僕は昨日からご飯を貰えて無い。こんな最悪な雰囲気の中、お腹が空いたとは言えなくて、それにお金なんて持ってないから、昨日は隣のテントから干し肉を一欠片くすねて食べた。おじさんが出て行ってくれたらまた行けるんだけどな。
夜中、トイレがしたくて這って外に出た。サラサラの砂の上を蛇みたいに這いつくばって、壁沿いに生い茂るヤチの木の根元に穴を掘った。そしてぺたりと座ってほっと一息く。用を足していると、おじさんの声がした。
「坊主!おいっ!坊主!」
そんな声を聞きつつ、スッキリして僕はズボンを上げて穴に砂を被せていた。背後でおじさんの声が聞こえていて、僕を探しているのは分かったけれど、ずっと無視されて腹が立っていたから、僕も返事をしなかった。
「くそっ!坊主っ!どこ行った!返事をしろっ!」
だんだん小さくなるおじさんの声を黙って聞いた。焦った声に最初は笑いが込み上げて来たけれど、どうしてだろう?今は泣きたくて仕方がないんだ…僕はここだよ、そう言ってしまいそうになる。
…誰に?誰に知って欲しかった?
「父さん、母さん!ふぅっ、うえっ、えぇっ」
僕の家はもうどこにも居ないんだ。そんな事が今更になって僕の心を占めていた。
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