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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!
功績と痕跡
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side-アーシェ5
うっわ~…見事な襲撃の跡だわ…しかも多分これ、捕虜の数増えてない?
建国予定地に戻ったあたしたちは、その有様にげんなりとため息をついた。
「剣士に…魔術の跡もあるな。総勢で二十人ほどか?」
兄貴が痕跡を見て状況を分析する。
「マジか…おいおい、なんでまたオレたちが居ねぇ隙を狙うかなあ?」
本当にね。まあデュエルがいたから、そう心配はしてないけどね?
「これは…居るな」
ポツリと兄貴が呟いてアーちんを見た。ん? 居るって何が?
「ああ…やっぱそうなるよな」
アーちんも小さく頷く。
「なによもう! なんで二人だけで通じんのよ!」
憤慨するあたしを置き去りにして、兄貴たちは地面も何か調べている。何この白い…って、小麦粉?
「てかこれ…小麦粉って何なんだ? 何やったんだ襲撃で?」
「さあ…?」
地面に散らばった白い粉…小麦粉の謎は、流石に誰にも解けなかった。ホントなんなんだろ?
「ただいま~」
あたしの挨拶には、疲れたらしいデュエルの文句が帰ってきた。
「…遅い」
「悪りぃ! チャールズのおっさんが、ド派手な調印式なんぞやらかしちまってよ? 時間はかかったが、ほれ!」
アーちんが羊皮紙を広げて、手近なテーブルに置いた。そういや新しいねコレ? 新作かな?
『我らがエルダードは犬獣人の新興国に対し、下記の通りの友好条約と不可侵条約を締結することをここに宣言する。さらにこの国に対して他国からの侵略等を目的とした戦闘があれば、援軍の派遣を送ることもここに記す』
「これは…!」
ジョナサンとバスちんは、限界まで目を見開いて羊皮紙の文書を穴が空くほど見つめた。
「どうよ? このオレたちの功績!」
アーちんがここぞとばかりにドヤ顔で胸を張る。いやいや、あたしやフローネも頑張ったよ? 当のフローネは、ここに戻るなり疲れがピークだったらしくって倒れちゃったけどね。今はラグちゃんが診てくれてるよ。
ホント大変だったからね…。
「いや、もう一つやるべきことはあるだろう?」
兄貴がその空気に水を差した。もう…なんなのよ~!
「交易や援軍の行き来に不便だから遺跡内部の街道を整備する必要がないか?」
え…!
「兄貴…それじゃ…!」
チャールズさんの悲願も叶う方向に話を持って行ってたんだ! やり方は間違ってたけど、それでもあの情熱は本物だった…って言ってたもんね、兄貴もアーちんも。なかなかやるじゃない! それなら両方救える!
「ギルド本部に依頼を出すよう進言してきた。そこから先はどうなるか知らないが、とりあえず往き来の負担は減るだろう?」
「それと…!」
アーちんは足音を忍ばせて出入り口に近づくと、勢いよく内開きの扉を開けた。
「ひよおぉうッ!?」
扉の裏側にくっついていたらしい、犬獣人のお兄さんが、勢いよく床にダイブする。強かに打ち付けた鼻を押さえながら、左右を見回して身を震わせていた。
うっわ~…見事な襲撃の跡だわ…しかも多分これ、捕虜の数増えてない?
建国予定地に戻ったあたしたちは、その有様にげんなりとため息をついた。
「剣士に…魔術の跡もあるな。総勢で二十人ほどか?」
兄貴が痕跡を見て状況を分析する。
「マジか…おいおい、なんでまたオレたちが居ねぇ隙を狙うかなあ?」
本当にね。まあデュエルがいたから、そう心配はしてないけどね?
「これは…居るな」
ポツリと兄貴が呟いてアーちんを見た。ん? 居るって何が?
「ああ…やっぱそうなるよな」
アーちんも小さく頷く。
「なによもう! なんで二人だけで通じんのよ!」
憤慨するあたしを置き去りにして、兄貴たちは地面も何か調べている。何この白い…って、小麦粉?
「てかこれ…小麦粉って何なんだ? 何やったんだ襲撃で?」
「さあ…?」
地面に散らばった白い粉…小麦粉の謎は、流石に誰にも解けなかった。ホントなんなんだろ?
「ただいま~」
あたしの挨拶には、疲れたらしいデュエルの文句が帰ってきた。
「…遅い」
「悪りぃ! チャールズのおっさんが、ド派手な調印式なんぞやらかしちまってよ? 時間はかかったが、ほれ!」
アーちんが羊皮紙を広げて、手近なテーブルに置いた。そういや新しいねコレ? 新作かな?
『我らがエルダードは犬獣人の新興国に対し、下記の通りの友好条約と不可侵条約を締結することをここに宣言する。さらにこの国に対して他国からの侵略等を目的とした戦闘があれば、援軍の派遣を送ることもここに記す』
「これは…!」
ジョナサンとバスちんは、限界まで目を見開いて羊皮紙の文書を穴が空くほど見つめた。
「どうよ? このオレたちの功績!」
アーちんがここぞとばかりにドヤ顔で胸を張る。いやいや、あたしやフローネも頑張ったよ? 当のフローネは、ここに戻るなり疲れがピークだったらしくって倒れちゃったけどね。今はラグちゃんが診てくれてるよ。
ホント大変だったからね…。
「いや、もう一つやるべきことはあるだろう?」
兄貴がその空気に水を差した。もう…なんなのよ~!
「交易や援軍の行き来に不便だから遺跡内部の街道を整備する必要がないか?」
え…!
「兄貴…それじゃ…!」
チャールズさんの悲願も叶う方向に話を持って行ってたんだ! やり方は間違ってたけど、それでもあの情熱は本物だった…って言ってたもんね、兄貴もアーちんも。なかなかやるじゃない! それなら両方救える!
「ギルド本部に依頼を出すよう進言してきた。そこから先はどうなるか知らないが、とりあえず往き来の負担は減るだろう?」
「それと…!」
アーちんは足音を忍ばせて出入り口に近づくと、勢いよく内開きの扉を開けた。
「ひよおぉうッ!?」
扉の裏側にくっついていたらしい、犬獣人のお兄さんが、勢いよく床にダイブする。強かに打ち付けた鼻を押さえながら、左右を見回して身を震わせていた。
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