古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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intermission 7 神官少女の憂鬱

完成、人型ボロ雑巾!

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side-デュエル 5

 その場には、辛うじて元が人間だったと判別できるくらいにゲチョゲチョにされたボロ雑巾だけが残されている。元はそれなりに整った端正な目鼻立ちも、今となっては見る影もない。

「何があったんだ…?」
 タックルの衝撃で気絶していたらしいラスファが、ようやく起き出して来て俺に尋ねたが…とても説明しきれる自信がない。
 何よりあのメンタルを直接えぐるような罵声と共にフルボッコの現場を見て仕舞えば、それもなおさらだ。
 その答えは適度にお茶を濁すと、俺は足元に目を落とした。

 どこを持ったらいいのかわからないほどのゲチョゲチョっぷりに困惑しながら、俺はそっとボロ雑巾を担架に乗せた。
 ラスファと共に騒ぎを聞きつけた自警団員が担架を運ぶと、俺が大男を引きずりながら詰所に戻る。いやこれ施療院の方が正解だったかな…?

「しっ…死体?!」
 俺の手土産の担架を見てラインハルトが悲鳴めいた声を上げる。
「いや死んでない…よな? 多分、まだ」
 往来を移動する際に、通行人には刺激が強すぎると配慮して白い布をかけていたせいもあるかもしれない。見た目が死体より死体チックな物体は、特にお子様には見せられたものではない。


 原型がわからない雑巾を治すために神官を呼ぼうとした時、奥から人影が出てきた。
「…ラグ…」
 トラウマの元凶を目にした彼女は、青くなりながら人型の雑巾を見て呟く。
「…この方は…」

 続いて出て来たラインハルトとアーシェは、ラグからの話を聞いていたせいか一目見て悟ったらしい。彼らはラグの視界を遮るように前に立って、口々に言い放つ。
「君が治す義務はない。この男は今まであまりにも深い傷を君に刻みつけた。天罰を受けるべき時が来たのだ」
「そうだよ、天罰だよラグちゃん! 同じ部屋にいるだけでも吐き気がするでしょ? どうしてもって言うなら、他の神官を当たってもらおうよ!」

 天罰…。あれを天罰と言ってもいいのかは脇に置いておくとして。
 確かにラグに治せと強制するのは、あまりに酷な話だ。コイツはラグの親友の仇であり、多くの人々に涙を流させてきた外道だ。叩けばいくらでも埃が出る身でもある。言い方は悪いが、コイツの身に何かあっても誰一人として悲しまない。

 彼らの後ろでラグは、親友の仇であり元婚約者でもあったオプファー商会の若旦那から目を離せないでいた。
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