古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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short mission 4 宅配戦線、異常あり!

反撃ののろし

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Side-デュエル 9

「たっ…たばかったな貴様ら…!」
 真っ赤になってこっちも睨みつけてきた甥。そこに給仕に化けたアーチが割り込んだ。

「はいはい、無知なボクちゃんにこの俺様が詳し~く教えてあげまちょーねー! こっちが、果実感を残した甘さと渋みのバランスが良い赤。んで、こっちが熟成されたコクの赤。熟成すればするほど酒精が高くなり、玄人好みの味わいになっていくもんだ。赤はグラスの反対側に白い布を当てて、色合いを確かめるのを忘れちゃいけねぇぜ。それも葡萄酒の楽しみの一つだ。んで、白は…」
 
 滔々と葡萄酒ワインを語るアーチに、俺は目を剥いた。周囲からも賞賛のどよめきが上がる。
 意外にコイツ、葡萄酒には詳しいんだな。 さらに奴は畳み掛ける。

「女連れでツウぶってカッコつけるなら、これぐれぇのことは最低限頭に入れとけよ? あーそっかー! 性格悪すぎてトモダチもいなきゃ女も寄りつかねぇかー! こりゃすんませーん!」

 …ああ、そういうことか…。道理で詳しいわけだ。全ては煩悩のなせるわざ。いくらでも知識は詰め込めるんだな…感心して損した。
 最高にイラつくアーチの声に、今や甥の顔色は怒りでどす黒く変わっていた。アーチも背負い木箱を壊された一件を根に持っていたらしい。そりゃそうだ、苦労して運んだのはみんな同じだ。

 ふと見ると、ラスファは離れた席に座るネルソンのところに行っていた。給仕のフリをしながら何やら話し込んでいる。離反させるための、悪魔のささやきでも吹き込んでいるんだろうか?
 アーチの奴が言っていた。どこで聴き込んだかわからないが、ネルソンには多額の借金がある。貸しているのはあの、領主の甥。
 
「もうたくさんだ! それなら俺はもう、あいつのいいなりにはならない! これ以上耐えられるか!」
 ネルソンが叫んで立ち上がると、真っ直ぐにこちらに歩いてくる。…何だ?
 
「俺はここで降りる! 」
「貴様…借金があるのを忘れたのか? 」
 大声のネルソンに対して、甥はやや小声で応じる。
「僕に従えなければ、どうなると思ってる? どのみち貴様は、村の裏切り者だ。今さら後戻りできないんだぞ、戻る場所だって…」
「戻る場所がなくても、行く場所はどこでもある! もうアンタの言いなりはごめんだ!」
「それならどこにでも行くがいい。ただし、借金は残らず返せよ?」

 奴はいくつか非合法の地下カジノを所有しているんだそうだ。人を使ってカジノに誘い込むと、イカサマで金を巻き上げては意のままにしているという。
 ネルソンも、その一人だ。村長の息子というのは、さぞかし操りごたえのある獲物だったろう。
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