古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 5 冒険者は 期間限定教師?

追加補習五時限目・ 新たなる危機

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Side-ラスファ 4

  ここの砦は意外と大きい。なにせ今回の『大掃除』に相応の日数をかけているくらいなのだ、当然だろう。
  そして…行方不明になったサシャはまだ見つからず、いまだに小さな足跡は奥に続いている。彼女を心配してか、他の生徒の口数も重い。

「泣き声一つ聞こえないな…」
  この建物の中にいる事は間違いなかろうが、大声で呼びかけるわけにもいかない。こうしている間にもサシャに危険が迫っていると思うと焦りは募るが…。まだ賊が残っているために慎重にいかなくては。だが…。

「せんせー!!」
  奥の少し開けた場所に入るなり、まさか向こうから呼び止められるとは思わなかった…。
「は?! サシャ?!」
「良かった、無事だったんだ!」
  物陰に隠れるようにして、小さくなって座り込んでいたらしい。見つからないはずだ!

「サシャ! 無事だったんだ!」
「良かったー! これで帰れるね!」
  口々に無事を喜び合う子供達。それは我々も同じだ。まだ賊はいるだろうが子供たちがいる以上、一旦帰る他ない。
「やれやれ…帰るぞ」
  デュエルが帰るよう促すと、手を差し伸べる。だがサシャは黙って首を振った。

「ダメなの…『お友達』が、助けて欲しいって泣いてるの…」
 『お友達』…? 精霊のことだろうか?
「で…その『お友達』とやらは? 見たところ、そばにいないようだが…」
  私の問いに、サシャは奥に続く通路を指した。

「あのね…この奥に、とっても怖いのがいるんだって。出てきたら村がめちゃくちゃにされちゃうの。『お友達』は、一生懸命に怖いのを押さえてるんだけど…もう辛いんだって! お願いせんせー、助けてあげて!」

  掃除の時も、まだ最奥部の封印された部屋には入っていない。おそらくその『怖いの』は、その中だ。サシャの切羽詰まった様子に、全員が直感した。これはマズイ。

   一度高台から見下ろしてみてわかったが、ここには昔からそこそこに魔力が巡っている。魔力のめぐる川のようなものを龍脈と言うが、それはここの地のそばを通っている。作物の異常な生長や魔力を持つ子供の多さもその影響を受けてのものだ。

  その『怖いの』は、その魔力を受けて強大化した何かだろうか? だが…危険な場所に子供達を連れて行くわけには…。ここから帰そうにも、賊の残党がいる可能性がある。
  逡巡する我々を見て、子供たちは大きく頷いた。

「行こう、せんせー!」
「そうだよ、サシャの『お友達』が困ってるんでしょ? すぐ行ってあげようよ!」
「あたしたちなら大丈夫! ヤバかったら隠れてるから!」

   口々に言う子供達。いざとなれば全力で守るほかない、と肚を括ると全員で奥の通路に踏み込むことにした。
「危なくなったらすぐ逃げるんだぞ!」
「わかってるってせんせー!」
 そう言うセリフが一番危ないと思うんだがな…。
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