古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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intermission 1 ~観光大使の野望~

夜の閑話 ~ラスファ編~

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side-フランシス 11

 部屋に戻って装備の手入れを終えると、ボクは風呂に向かう。そこでちょうど風呂から上がったばかりのラスファが、風呂場の扉を開けるところだった。こっちはアーチと対照的にややラフな姿で、湿ったままの髪を結んでもいない。まあ彼の場合、たまにはこのくらい隙があってちょうど良いかもしれないな。
 彼はボクと目が合うなり、黙ったまま棚から石鹸を取り出して投げてよこす。

「ちょうど切らしたところだ、これから風呂なら持っていくと良い」
 たまに思うけど…なんだろう、この主婦じみた気遣い?  実家のばあやを時々思い出す…って言ったら、確実に張っ倒されるから黙っておこう…。
 気を取り直し他の二人に続いてお礼を言うと、ただ一言「礼には及ばん」と、そっけなく返された。
 そのまま行こうとするラスファをボクは、思わず呼び止める。
「?」
「その…昼間のこともあって、何か魔法を習得できればと思ったんだけど…キミから見て、ボクに才能はあると思うかい?」
 普段からの塩対応からして、まともに相手されないかもしれない。ダメ元で聞いたその問いに、彼はバッサリと答えを返してくれた。
「止めておけ。剣術と魔法を両立しようと思えば、両方が中途半端になりかねない。魔術は、剣術を極めてから考えるんだな」
 突き放すような物言いだが、案外真摯な答えが帰ってきたことに驚いた。しかし、直後にあることに気づく。
「あれ? でもキミ、弓術と精霊魔法を両立できてるんだよね? 秘訣とかあるのかい?」
 ボクの素朴な疑問に、彼は少し決まり悪そうに答えた。
「そりゃ…年季が違うからな」
 あ、そうか。見た目から同年代扱いしてたけど、彼はエルフ族。少なくとも年齢は、三ケタはいってるんだった。
 納得するボクに、彼は重ねて続けた。
「まあ、剣術を極めた後なら…少しばかり精霊魔法の手ほどきをしてやらんこともない。あくまで、基本だけならな」
 そっぽを向きながら、ラスファはさっさと階段に向かう。心なしか、尖った耳の先がほんのりと赤くなっているように思える。…これが世に言う、ツンデレ系か…?
 
 風呂に入って落ち着きながら、ボクは今日の出来事に思いをはせる。これまでのこと、これからのこと。
 そうだ、彼らへのお礼…喜んでくれるだろうか? 明日になったら、驚くぞ! 
 ああ、明日が楽しみだ。彼らの喜ぶ様子が目に浮かぶよ!
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