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mission 2 孤高の花嫁
『黒狼団』ってイタくね?
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Side-アーチ 6
リネットから受け取った封書には、ご丁寧に封蝋で封印がなされていやがった。しかも、間抜けなことにアドルフ卿のものと思しき紋章入りのやつだ。まあ何、どうってこたァねェぜ? これもちょいとした技があってよ、うまくすりゃほぼ形跡も残さずに能登通りに復元できるのさ。まあ、盗賊の上級テクと思いねぇ。
だが、オレの心中を読んだかのような絶妙なタイミングでリネットがツッコミを入れた。
「残念だけどそれ、アドルフ卿自身の刻印じゃないのよね」
「なに?」
「フレデリック卿の刻印を偽造してんのよ。自分が関与してる証拠をとことんまで残さないつもりな訳。セコいったらないわ、あのゲス野郎!」
容赦ねぇその物言いに、オレは吹き出しちまった。先日の、値踏みするようなギョロ目がいやでも脳裏をよぎる。そうなんだよなあ…あのオッサン、どう見てもお上品なお貴族様って物腰じゃねェわ。盗賊ギルドの幹部って言われた方がしっくりきちまいそうだ。どうせ彼女にもセクハラかましてたんじゃねェのかね、この言われようじゃ。
「なら、その偽造印も押さえておくべきか」
「まあね。でもその前に、中身を確認して見なよ。あたしも知らないのよね、この文書の内容って」
まあ…そうだろうよ。形はどうあれ彼女はここに庇護されてた立場だったんだからな。うかつなことやらかしてバレたら、そから先の行き場もなくなっちまう。
まあいいや、そこんとこの話は後日ゆっくりさせてもらうことにして…今はこの文書が先決だ。
『黒狼団に告ぐ。我が身辺で不穏な動きをするネズミどもを一掃するべし。手段は不問、速やかに行動に移せ』
横で見ていたリネットが小さく息を飲む。ああ? なんだこの『黒狼団』ってのは。今どき恥ずかしくなるほどの悪の組織! ってネーミングセンスは? しかしこのリアクション、リネットはなんか知ってるのか?
「なあ、なんだこの『黒狼団』っての?」
「この近辺じゃ、有名な闇ギルドよ。もちろん裏の世界でだけど。噂じゃ、貴族とも裏で繋がってるって話だけど。窃盗に誘拐、暗殺謀殺もお手の物って話よ」
「ほほー、文書一枚すぐ参上ってか? 」
…随分と舐められたもんだよなあ…。オレら、こう見えて冒険者の都と謳われるエルダードの出身だぞ?
ダテに宿屋の筆頭冒険者名乗ってねェぜ?
「ふざけてる場合じゃないわよ? この先、暗殺者が差し向けられるかもしれないってのに」
「ふざけてなんかいねぇぜ? 暗殺師が怖くて、魔神に喧嘩が売れるかっつの」
「は?」
リネットがぽかんとした顔でこっちを見上げてきた。おっと…前回、魔神とやりあったってのは冒険者ギルド本部の評議会の決定として、非公開とする扱いだった。
「まあ、忘れてくれ。とにかく、オレらは本場のエルダードじゃ宿屋の筆頭冒険者だ。お貴族様御用達の汚れ仕事請負人ごときにどうこうできるかっての!」
危ねぇ危ねぇ、非公開情報をよそで喋っちまったら後が怖えェんだ。
オレは封書を元どおりに入れ直すと、手近な燭台からロウソクを失敬して薄く垂らし、一見して解らねェように封をし直す。相手が封蝋を使い慣れたお貴族様ならリスクは高けぇが、ヨゴレ仕事請負人ってんならそこまで気にするはずもねぇ。
「ん、返す。そのまま命じられた場所に持ってってくれや」
「ちょっと…ホントにいいの?」
「ああ。思った以上にどうでもいい内容だったわ。来たら来たで、いい運動になんだろ…舐めやがって」
苦虫噛み潰したようであろうオレの顔に、リネットは不審な表情を崩さない。
「あたしがつなぎを命じられてる場所は、貴族御用達の酒場の裏にある粗末な木箱よ。いつも上等の酒をお使いって名目で出されるの。だから向こうから繋ぎを取りにくる連中が何者かも知らないわ…。あんた、きをつけなさいよ! あたしをエルダードに紹介してくれるんでしょ?」
「あれ、心配してくれんの? 嬉しいね。まあアンタはこのまましばらく何食わぬ顔で普通にお役目をこなしてくれ。また頼みごとができたら…いや、できなくても口説きがてらに接触するからよ!」
けけけ、面白くなって来やがった! 向こうからおいでなさるってか? さっさと来いよ、遊んでやるぜ?
リネットから受け取った封書には、ご丁寧に封蝋で封印がなされていやがった。しかも、間抜けなことにアドルフ卿のものと思しき紋章入りのやつだ。まあ何、どうってこたァねェぜ? これもちょいとした技があってよ、うまくすりゃほぼ形跡も残さずに能登通りに復元できるのさ。まあ、盗賊の上級テクと思いねぇ。
だが、オレの心中を読んだかのような絶妙なタイミングでリネットがツッコミを入れた。
「残念だけどそれ、アドルフ卿自身の刻印じゃないのよね」
「なに?」
「フレデリック卿の刻印を偽造してんのよ。自分が関与してる証拠をとことんまで残さないつもりな訳。セコいったらないわ、あのゲス野郎!」
容赦ねぇその物言いに、オレは吹き出しちまった。先日の、値踏みするようなギョロ目がいやでも脳裏をよぎる。そうなんだよなあ…あのオッサン、どう見てもお上品なお貴族様って物腰じゃねェわ。盗賊ギルドの幹部って言われた方がしっくりきちまいそうだ。どうせ彼女にもセクハラかましてたんじゃねェのかね、この言われようじゃ。
「なら、その偽造印も押さえておくべきか」
「まあね。でもその前に、中身を確認して見なよ。あたしも知らないのよね、この文書の内容って」
まあ…そうだろうよ。形はどうあれ彼女はここに庇護されてた立場だったんだからな。うかつなことやらかしてバレたら、そから先の行き場もなくなっちまう。
まあいいや、そこんとこの話は後日ゆっくりさせてもらうことにして…今はこの文書が先決だ。
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横で見ていたリネットが小さく息を飲む。ああ? なんだこの『黒狼団』ってのは。今どき恥ずかしくなるほどの悪の組織! ってネーミングセンスは? しかしこのリアクション、リネットはなんか知ってるのか?
「なあ、なんだこの『黒狼団』っての?」
「この近辺じゃ、有名な闇ギルドよ。もちろん裏の世界でだけど。噂じゃ、貴族とも裏で繋がってるって話だけど。窃盗に誘拐、暗殺謀殺もお手の物って話よ」
「ほほー、文書一枚すぐ参上ってか? 」
…随分と舐められたもんだよなあ…。オレら、こう見えて冒険者の都と謳われるエルダードの出身だぞ?
ダテに宿屋の筆頭冒険者名乗ってねェぜ?
「ふざけてる場合じゃないわよ? この先、暗殺者が差し向けられるかもしれないってのに」
「ふざけてなんかいねぇぜ? 暗殺師が怖くて、魔神に喧嘩が売れるかっつの」
「は?」
リネットがぽかんとした顔でこっちを見上げてきた。おっと…前回、魔神とやりあったってのは冒険者ギルド本部の評議会の決定として、非公開とする扱いだった。
「まあ、忘れてくれ。とにかく、オレらは本場のエルダードじゃ宿屋の筆頭冒険者だ。お貴族様御用達の汚れ仕事請負人ごときにどうこうできるかっての!」
危ねぇ危ねぇ、非公開情報をよそで喋っちまったら後が怖えェんだ。
オレは封書を元どおりに入れ直すと、手近な燭台からロウソクを失敬して薄く垂らし、一見して解らねェように封をし直す。相手が封蝋を使い慣れたお貴族様ならリスクは高けぇが、ヨゴレ仕事請負人ってんならそこまで気にするはずもねぇ。
「ん、返す。そのまま命じられた場所に持ってってくれや」
「ちょっと…ホントにいいの?」
「ああ。思った以上にどうでもいい内容だったわ。来たら来たで、いい運動になんだろ…舐めやがって」
苦虫噛み潰したようであろうオレの顔に、リネットは不審な表情を崩さない。
「あたしがつなぎを命じられてる場所は、貴族御用達の酒場の裏にある粗末な木箱よ。いつも上等の酒をお使いって名目で出されるの。だから向こうから繋ぎを取りにくる連中が何者かも知らないわ…。あんた、きをつけなさいよ! あたしをエルダードに紹介してくれるんでしょ?」
「あれ、心配してくれんの? 嬉しいね。まあアンタはこのまましばらく何食わぬ顔で普通にお役目をこなしてくれ。また頼みごとができたら…いや、できなくても口説きがてらに接触するからよ!」
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