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mission 2 孤高の花嫁
生真面目な奴は苦労する
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Side-ラスファ 5
「あ、アンタどこに隠れてたんだ! 何モンだ?」
背後から声をかけた途端、彼らは悲鳴をあげながら抱きあって飛び退いた。案外器用な連続技だ。
いち早く気を取り直した茶髪が、矢継ぎ早に質問を重ねる。それに対して私は肩に乗せた小動物を見せながら一言で答えを返した。肩に乗った毛玉も偉そうに尻尾を振る。
「冒険者だ」
「え…って事は、魔術師?」
正確には違うが、説明は省略して私は頷く。
「そんなところだ。その様子では、この任務の詳細は何も聞かされていないのか?」
今度は茶髪が答えた。
「ああ。オレたちゃしがない下っ端稼業なんでな。アンタを尾行しろって以外は…」
「おい! 軽々しく任務内容を!」
「いいじゃねェか、オレら別に尾行以外何~にも聞いてないし? バラすなとも言われちゃいないだろ? そこは指示したお貴族サマの責任だしな?」
「またそんな屁理屈を…」
どうもこのやり取りから察するに、黒髪は生真面目、茶髪は不良自警団のようだ。
「それにこいつ、どうも悪いやつに思えないしな。なあアンタ、お貴族サマに目ぇつけられるような何やらかしたんだ?」
後半は私に向けての『職務質問』のつもりのようだ。どこかのだれかを彷彿とさせるような喋りだが、貴族と違って信用はできそうだ。残り半分の目論見は、自警団内の情報を得るために、邪魔されない場所で信用できそうな相手を見つけて話を聞き出すこと。
こっちは半分ダメ元で試してみたのだが、思わぬ収穫になりそうだ。
とりあえず、詳しい話の前に簡単に自己紹介を済ませておいた。不真面目な茶髪はマック、生真面目な黒髪はリックだそうだ。よく似た名前に付き合いの長そうなやり取り…兄弟かと思って聞いてみたら、黒髪のリックからものすごい勢いで否定された。どうも彼は苦労していそうだ…。しばらくリックからは警戒されていたが、現在の以来のことをわずかに伝えるとたちまちに態度が軟化した。
「それは、お気の毒なご婦人だ…。しかし、衛視隊の上層部が絡んでいるとは!」
憤慨するリックをよそに、マックの方は別のことが気になるようだった。
「ところでさあ。おたく何やらかしたんだ? あの馬面隊長に目ぇつけられるとは」
「ああ。ダーツの的にしてヒゲを片方吹っ飛ばしたあとで、壁に縫い付けた」
一瞬の沈黙の後、たちまちに路地裏に呼吸困難を伴う爆笑が響き渡った。思わず周囲を見回したが、幸いにして誰かに勘付かれた気配はなさそうだ。
「いやー、アンタ面白いわ。気に入った! 隊長の腹心がつけ髭と下着を買いに走らされたってのは、それが原因か! いいねいいね、お高くとまったお貴族サマをチビらしたってか! こりゃいいや! 今度そういう面白いことやらかす時には、ぜひオレも呼んでくれ」
マックはこれ以上もないくらいに上機嫌で私の背中を叩いて爆笑している。というか…そういうことになっていたのか…。これは、連中の敵意を全て引き受けることには成功したと思っていいだろうな…少しばかり面倒なことになりそうだが。
「ベネディクト隊長は、何かと黒い噂の絶えない御仁だ。商人と組んで不正を働いているだの、賄賂一つで犯罪を見逃すだの…嘆かわしいことだ。貴族が自警団に入り込んでからというもの、露骨な腐敗が目立ってきている。それまでは市民のために身を粉にして働くことが自警団の本分だったと言うのに。領主様だって極端な二重人格という話だしな」
リックはリックで、エルダードにいるラインハルトを彷彿とさせる生真面目さだ。二人を会わせてみたら、さぞかし意気投合するのではないだろうか?というよりも、盛大な愚痴合戦が始まりそうな予感しかないが。
正直言って、腐敗だの貴族社会だのというのはどうも肌に合わない。助っ人に入るときぐらいしか足を向けることはなかったが、あれはあれでまともな組織だったのだと再確認する。今度地元自警団の詰め所に行く時には何か、差し入れの一つも持って行ってやろうか…。
「あ、アンタどこに隠れてたんだ! 何モンだ?」
背後から声をかけた途端、彼らは悲鳴をあげながら抱きあって飛び退いた。案外器用な連続技だ。
いち早く気を取り直した茶髪が、矢継ぎ早に質問を重ねる。それに対して私は肩に乗せた小動物を見せながら一言で答えを返した。肩に乗った毛玉も偉そうに尻尾を振る。
「冒険者だ」
「え…って事は、魔術師?」
正確には違うが、説明は省略して私は頷く。
「そんなところだ。その様子では、この任務の詳細は何も聞かされていないのか?」
今度は茶髪が答えた。
「ああ。オレたちゃしがない下っ端稼業なんでな。アンタを尾行しろって以外は…」
「おい! 軽々しく任務内容を!」
「いいじゃねェか、オレら別に尾行以外何~にも聞いてないし? バラすなとも言われちゃいないだろ? そこは指示したお貴族サマの責任だしな?」
「またそんな屁理屈を…」
どうもこのやり取りから察するに、黒髪は生真面目、茶髪は不良自警団のようだ。
「それにこいつ、どうも悪いやつに思えないしな。なあアンタ、お貴族サマに目ぇつけられるような何やらかしたんだ?」
後半は私に向けての『職務質問』のつもりのようだ。どこかのだれかを彷彿とさせるような喋りだが、貴族と違って信用はできそうだ。残り半分の目論見は、自警団内の情報を得るために、邪魔されない場所で信用できそうな相手を見つけて話を聞き出すこと。
こっちは半分ダメ元で試してみたのだが、思わぬ収穫になりそうだ。
とりあえず、詳しい話の前に簡単に自己紹介を済ませておいた。不真面目な茶髪はマック、生真面目な黒髪はリックだそうだ。よく似た名前に付き合いの長そうなやり取り…兄弟かと思って聞いてみたら、黒髪のリックからものすごい勢いで否定された。どうも彼は苦労していそうだ…。しばらくリックからは警戒されていたが、現在の以来のことをわずかに伝えるとたちまちに態度が軟化した。
「それは、お気の毒なご婦人だ…。しかし、衛視隊の上層部が絡んでいるとは!」
憤慨するリックをよそに、マックの方は別のことが気になるようだった。
「ところでさあ。おたく何やらかしたんだ? あの馬面隊長に目ぇつけられるとは」
「ああ。ダーツの的にしてヒゲを片方吹っ飛ばしたあとで、壁に縫い付けた」
一瞬の沈黙の後、たちまちに路地裏に呼吸困難を伴う爆笑が響き渡った。思わず周囲を見回したが、幸いにして誰かに勘付かれた気配はなさそうだ。
「いやー、アンタ面白いわ。気に入った! 隊長の腹心がつけ髭と下着を買いに走らされたってのは、それが原因か! いいねいいね、お高くとまったお貴族サマをチビらしたってか! こりゃいいや! 今度そういう面白いことやらかす時には、ぜひオレも呼んでくれ」
マックはこれ以上もないくらいに上機嫌で私の背中を叩いて爆笑している。というか…そういうことになっていたのか…。これは、連中の敵意を全て引き受けることには成功したと思っていいだろうな…少しばかり面倒なことになりそうだが。
「ベネディクト隊長は、何かと黒い噂の絶えない御仁だ。商人と組んで不正を働いているだの、賄賂一つで犯罪を見逃すだの…嘆かわしいことだ。貴族が自警団に入り込んでからというもの、露骨な腐敗が目立ってきている。それまでは市民のために身を粉にして働くことが自警団の本分だったと言うのに。領主様だって極端な二重人格という話だしな」
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