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mission 2 孤高の花嫁
急転直下の大ピンチ!
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Side-アーシェ 7
ティコがテーブルの上に乗っかってきたのに気づいて、沈み込んでいたブルスさんの声が少し明るくなった。
「おお、なんだお前。アーシェちゃんのペットじゃないか…酒の相手をしてくれるってのか?」
「みー!」
「ははは、人懐っこいな。ナッツ食うか?」
「みー♪」
どうやら成功!やった、愚痴のお相手は務まりそう。ネズミとイタチの中間みたいな、手のひらサイズの小動物だからちょっと珍しいけど。ブルスさんをはじめ、酒場の人たちはティコをただのペットだと思ってるから警戒されないよね?
祈るような気分であたしは、ティコに意識を重ねる。ナッツをかじったり尻尾を振って甘えたり…。その祈りが通じてくれたのは、ほんとに幸運だった。ティコの小さな丸い目を見て、ブルスさんはぽつりと呟いた。まるで、誰かに聞いてもらいたくても言えなかったことがこぼれ落ちるように。
「…聞いてくれるか?」
小首を傾げて見せるティコに、ブルスさんの独り言めいた呟きが重ねられる。
「俺はなさけないおいちゃんでなあ…。憎いはずの貴族に、言いなりにさせられちまってるんだ。ここの様子を探れってな…」
思った以上に衝撃的な内容にあたしは驚いて、一瞬だけティコへの集中が逸れちゃった! 慌ててもう一度集中し直すと、本能に従ってナッツをかじるティコを呼び戻す。
じゃあ、ブルスさん…貴族側のスパイってこと? 待って、何か訳があるんだよね?
「サミュエルの行方さえわかれば、こんなことせずに済むんだが…もう遅いか。すまない」
その謝罪の言葉に、嫌な予感が背筋をはい上る。
え、まさか…嘘だよね、ブルスさん…?
あたしはさっきの会話を思い出した。『今はちょっと遠いところにいる』息子さんってこと? 貴族側に、捕まってるの!?
あたしの内心の焦りに気づくわけもないブルスさんは、テーブルに突っ伏して嗚咽を漏らしはじめた。
「本当に済まない。アーシェちゃんにも、こんな俺たちの代わりに動いてくれている冒険者の兄ちゃんたちにも…取り返しのつかないことをしちまった…! 人質に取られている息子のために…。衛視隊に、あの嬢ちゃんがここにいるって伝えちまった…!」
「そんな!」
集中が途切れる前にティコが見た、嗚咽混じりの苦悩の言葉。頭を抱え込んで涙をこぼす悲痛な表情。決して望んだことじゃないってことはわかる。でも、今ここを衛視隊に見つかっちゃったら…!
ナディアさんが、連れ去られちゃう!
あたしはたまらずナディアさんのもとに走った。せめて,衛視隊がくる前になんとか場所を移らなきゃ! 貴族と繋がってるのは明らかだもの、表向きは捜索願いが出てるって言ってくるだろうし!
奥の小部屋では、ナディアさんは変わらない様子で繕い物をしている。いきなり血相変えて飛び込んできたあたしに驚いた様子で、彼女は音も立てずに立ち上がった。
「別の場所に移って! ここは貴族に筒抜けになってる!」
ナディアさんが何か言う前に、外に聞こえない程度の声で伝えた。でもどうしよう、場所を移るって言っても土地勘なんかないし。とっさに兄貴にくっつけてたチャコを通じて異常事態は知らせたけど…間に合うかどうかわからないし!
ここは、時間との勝負よ。兄貴たちに頼ってる時間もないわ。幸いその場のノリで今は二人ともメイドさん風の衣装なんだし、利用できるかな?
まずは裏口から外に出て、買い出しするフリしながら逃げる? でも、あの時ブルスさんが言ってた『サミュエル』が人質になってたら…そっちが危ないかもしれない。
そこまであたしが考えた時だった。表が急に騒がしく、慌ただしくなる。
「行方不明の女性が、ここにいると言う情報を得てきた! 直ちに引き渡されよ!」
ど、どうする! どうしよう!!
ティコがテーブルの上に乗っかってきたのに気づいて、沈み込んでいたブルスさんの声が少し明るくなった。
「おお、なんだお前。アーシェちゃんのペットじゃないか…酒の相手をしてくれるってのか?」
「みー!」
「ははは、人懐っこいな。ナッツ食うか?」
「みー♪」
どうやら成功!やった、愚痴のお相手は務まりそう。ネズミとイタチの中間みたいな、手のひらサイズの小動物だからちょっと珍しいけど。ブルスさんをはじめ、酒場の人たちはティコをただのペットだと思ってるから警戒されないよね?
祈るような気分であたしは、ティコに意識を重ねる。ナッツをかじったり尻尾を振って甘えたり…。その祈りが通じてくれたのは、ほんとに幸運だった。ティコの小さな丸い目を見て、ブルスさんはぽつりと呟いた。まるで、誰かに聞いてもらいたくても言えなかったことがこぼれ落ちるように。
「…聞いてくれるか?」
小首を傾げて見せるティコに、ブルスさんの独り言めいた呟きが重ねられる。
「俺はなさけないおいちゃんでなあ…。憎いはずの貴族に、言いなりにさせられちまってるんだ。ここの様子を探れってな…」
思った以上に衝撃的な内容にあたしは驚いて、一瞬だけティコへの集中が逸れちゃった! 慌ててもう一度集中し直すと、本能に従ってナッツをかじるティコを呼び戻す。
じゃあ、ブルスさん…貴族側のスパイってこと? 待って、何か訳があるんだよね?
「サミュエルの行方さえわかれば、こんなことせずに済むんだが…もう遅いか。すまない」
その謝罪の言葉に、嫌な予感が背筋をはい上る。
え、まさか…嘘だよね、ブルスさん…?
あたしはさっきの会話を思い出した。『今はちょっと遠いところにいる』息子さんってこと? 貴族側に、捕まってるの!?
あたしの内心の焦りに気づくわけもないブルスさんは、テーブルに突っ伏して嗚咽を漏らしはじめた。
「本当に済まない。アーシェちゃんにも、こんな俺たちの代わりに動いてくれている冒険者の兄ちゃんたちにも…取り返しのつかないことをしちまった…! 人質に取られている息子のために…。衛視隊に、あの嬢ちゃんがここにいるって伝えちまった…!」
「そんな!」
集中が途切れる前にティコが見た、嗚咽混じりの苦悩の言葉。頭を抱え込んで涙をこぼす悲痛な表情。決して望んだことじゃないってことはわかる。でも、今ここを衛視隊に見つかっちゃったら…!
ナディアさんが、連れ去られちゃう!
あたしはたまらずナディアさんのもとに走った。せめて,衛視隊がくる前になんとか場所を移らなきゃ! 貴族と繋がってるのは明らかだもの、表向きは捜索願いが出てるって言ってくるだろうし!
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ここは、時間との勝負よ。兄貴たちに頼ってる時間もないわ。幸いその場のノリで今は二人ともメイドさん風の衣装なんだし、利用できるかな?
まずは裏口から外に出て、買い出しするフリしながら逃げる? でも、あの時ブルスさんが言ってた『サミュエル』が人質になってたら…そっちが危ないかもしれない。
そこまであたしが考えた時だった。表が急に騒がしく、慌ただしくなる。
「行方不明の女性が、ここにいると言う情報を得てきた! 直ちに引き渡されよ!」
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