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mission 2 孤高の花嫁
黒狼団、新入り一名!
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Side-アーチ 12
「んじゃま、お仕事お仕事っと…で、どこにいんだよ、そのガキ?」
思ったよりも豪華な屋敷の絨毯を踏みながら、オレは目の前を歩く魅力的な尻に尋ねた。
しかし、没落したとはいえ王族につながるってのはマジだったんだろうぜ。この屋敷、けっこうイイ作りしてるんだよな。
地下通路から階段で出てみりゃ、そこはかつての惨劇の現場跡。めちゃくちゃに踏み荒らされて、刀傷も血の跡も壁や床に生々しく残っている。ロクに目撃者もいねぇってんなら、おそらくだが…『強盗』の侵入経路も、この地下通路だったんじゃねぇのかな?
だがちゃっかりと金目のもんにゃ傷を入れていない上に盗られちゃいねぇあたり、犯人の予測はある程度立つな。
他人の安物に興味がねぇ! とばかりに手つかずの調度に『気位の高さ』が。
だが、ある程度の価値があるってわかるもんにゃ傷もつけちゃいねぇ『審美眼』。
そして、元は貴族とはいえ『没落した』と知った相手を容赦なく殺して回った挙句に屋敷を丸ごと無断借用する『傲慢さ』。
胸糞悪りィ貴族の仕業だ。
こればっかりは、外部のモンを使ってのことじゃねぇ。値打ちモンをわざわざ残してるのは、貴族なりの無意識だろうよ。『黒狼団』にゃ、そこまでの見境はなさそうだしな。
「ここだよ。いちおう釘刺しとくけど、仕事はしっかりするんだよ? アンタ、こいつらと違って、ちったァ頭良さそうだからね。すぐにあたしと並ぶ幹部候補にゃなれるんじゃないのかい?」
「へへ、お褒めに預かり恐悦至極ってな。ほいほい、頑張りますよっと! んで、アンタは? オレと一緒に仕事してくんないの? 手取り足取り教えてくんねぇかな?」
「あたしゃ別件の用事だよ。あんたたちの持ち場はここさ。せいぜい励むんだね」
絡んだオレを持ち場に蹴り込んで、無情に扉は閉ざされた。あーあ、これからオレ、このむさ苦しい筋肉ダルマとお仕事かよ…つまんねぇ。
部屋の中はカーテンを引かれて薄暗く、転がった糸玉や無造作に立てられた布の生地なんかが散乱している。裁縫箱の中身をぶちまけたような部屋だ。あー、確かに花嫁の実家って仕立て屋って言ってたよな。ってことはここ、作業部屋か。なるほどね。
鉄格子なんかはもちろんねぇから、当然同じ部屋になっちまうわけで…。うん、男臭くて息つまるわ。
よく見りゃ片隅に、そこそこ育ちの良さそうな十歳ほどのガキが膝抱えてうずくまっていた。こいつが監禁している自警団員の息子ってか。…あー、ヤバい。コレ放っといたら、しばらく弟子に口聞いてもらえなくなるアレだ。そう考えながら、オレは手近な作業机に腰掛けた。入口近くにゃゴリがいるし、どうしたもんかなこりゃ?
ふとチビを見ると、膝を抱えながらこっそりと抜け目なさげにこっちの出方を伺ってやがる。ほほう? なかなか有望じゃねぇか? 騒いでも無駄と割り切って、こっちを観察して出方を伺う気満々ってとこだろうよ。冒険者や盗賊に向いた性格だ、こういう奴って嫌いじゃねぇ。よしよし、オレの個人的にも助けたくなっちまったぜ。
となると…。このガキに聞かれている前提で、オレはゴリに話を振ってみた。
「なあゴ…センパイ。ここって何人くらいいんの? オレ、新入りとして挨拶くらいはしといたほうが良くねぇか?」
ゴリはオレのセンパイ呼びがいたくお気に召したようで、たちまちに相好を崩して鷹揚に頷いた。
「おう、イイ心がけだ新入り。だがまあ待て。こういう業界だ、あまり知りすぎると上に睨まれちまうぜ。詮索はもうちっと上の立場に上がってからだ。まあ、お前の出世は俺の後だろうがな。どうしてもって言うなら、あとで来る手はずの旦那方に挨拶しときな。人数は…その日によって違うから、何とも」
ふむむ、詳しい事はコイツもしらねぇってか。こりゃコイツ、マジでシャレじゃなく使えねぇのかもな。となりゃ、別方向からのアプローチをしようかね? さしあたっては、その偉いであろう『旦那方』によ。
「んじゃま、お仕事お仕事っと…で、どこにいんだよ、そのガキ?」
思ったよりも豪華な屋敷の絨毯を踏みながら、オレは目の前を歩く魅力的な尻に尋ねた。
しかし、没落したとはいえ王族につながるってのはマジだったんだろうぜ。この屋敷、けっこうイイ作りしてるんだよな。
地下通路から階段で出てみりゃ、そこはかつての惨劇の現場跡。めちゃくちゃに踏み荒らされて、刀傷も血の跡も壁や床に生々しく残っている。ロクに目撃者もいねぇってんなら、おそらくだが…『強盗』の侵入経路も、この地下通路だったんじゃねぇのかな?
だがちゃっかりと金目のもんにゃ傷を入れていない上に盗られちゃいねぇあたり、犯人の予測はある程度立つな。
他人の安物に興味がねぇ! とばかりに手つかずの調度に『気位の高さ』が。
だが、ある程度の価値があるってわかるもんにゃ傷もつけちゃいねぇ『審美眼』。
そして、元は貴族とはいえ『没落した』と知った相手を容赦なく殺して回った挙句に屋敷を丸ごと無断借用する『傲慢さ』。
胸糞悪りィ貴族の仕業だ。
こればっかりは、外部のモンを使ってのことじゃねぇ。値打ちモンをわざわざ残してるのは、貴族なりの無意識だろうよ。『黒狼団』にゃ、そこまでの見境はなさそうだしな。
「ここだよ。いちおう釘刺しとくけど、仕事はしっかりするんだよ? アンタ、こいつらと違って、ちったァ頭良さそうだからね。すぐにあたしと並ぶ幹部候補にゃなれるんじゃないのかい?」
「へへ、お褒めに預かり恐悦至極ってな。ほいほい、頑張りますよっと! んで、アンタは? オレと一緒に仕事してくんないの? 手取り足取り教えてくんねぇかな?」
「あたしゃ別件の用事だよ。あんたたちの持ち場はここさ。せいぜい励むんだね」
絡んだオレを持ち場に蹴り込んで、無情に扉は閉ざされた。あーあ、これからオレ、このむさ苦しい筋肉ダルマとお仕事かよ…つまんねぇ。
部屋の中はカーテンを引かれて薄暗く、転がった糸玉や無造作に立てられた布の生地なんかが散乱している。裁縫箱の中身をぶちまけたような部屋だ。あー、確かに花嫁の実家って仕立て屋って言ってたよな。ってことはここ、作業部屋か。なるほどね。
鉄格子なんかはもちろんねぇから、当然同じ部屋になっちまうわけで…。うん、男臭くて息つまるわ。
よく見りゃ片隅に、そこそこ育ちの良さそうな十歳ほどのガキが膝抱えてうずくまっていた。こいつが監禁している自警団員の息子ってか。…あー、ヤバい。コレ放っといたら、しばらく弟子に口聞いてもらえなくなるアレだ。そう考えながら、オレは手近な作業机に腰掛けた。入口近くにゃゴリがいるし、どうしたもんかなこりゃ?
ふとチビを見ると、膝を抱えながらこっそりと抜け目なさげにこっちの出方を伺ってやがる。ほほう? なかなか有望じゃねぇか? 騒いでも無駄と割り切って、こっちを観察して出方を伺う気満々ってとこだろうよ。冒険者や盗賊に向いた性格だ、こういう奴って嫌いじゃねぇ。よしよし、オレの個人的にも助けたくなっちまったぜ。
となると…。このガキに聞かれている前提で、オレはゴリに話を振ってみた。
「なあゴ…センパイ。ここって何人くらいいんの? オレ、新入りとして挨拶くらいはしといたほうが良くねぇか?」
ゴリはオレのセンパイ呼びがいたくお気に召したようで、たちまちに相好を崩して鷹揚に頷いた。
「おう、イイ心がけだ新入り。だがまあ待て。こういう業界だ、あまり知りすぎると上に睨まれちまうぜ。詮索はもうちっと上の立場に上がってからだ。まあ、お前の出世は俺の後だろうがな。どうしてもって言うなら、あとで来る手はずの旦那方に挨拶しときな。人数は…その日によって違うから、何とも」
ふむむ、詳しい事はコイツもしらねぇってか。こりゃコイツ、マジでシャレじゃなく使えねぇのかもな。となりゃ、別方向からのアプローチをしようかね? さしあたっては、その偉いであろう『旦那方』によ。
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