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mission 2 孤高の花嫁
脱出準備は入念に!
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Side-アーチ 14
多少のアクシデントはあったが、収穫もデカかった。『黒狼団』のスポンサーは、はっきりとアドルフ卿だ。ここの奴を生け捕りにして吐かせりゃ、いい証拠になるだろうよ。その場合誰を生け捕りにするべきかというと…。オレは適役を真っ先に思いついた。よし、そうしちまおう!
しかし、天下の盗賊ギルドを恐れねぇご乱行の数々。まとめてティンクに報告すりゃ、なんらかの制裁は下ると考えて間違いない。んでまた、部下に勧誘されちまうんだろうな…めんどい。
オレはゴリに促されて扉をくぐると、中の『旦那方』に御目通りを叶えた。テキトーに挨拶するふりしながら、衛視隊の隊長と思われるオッサンのツラを拝む。ドコか陰惨な目つきに、吹き出しそうになるほどの馬面。そして不自然な、鼻の下の絆創膏。思ったよりインパクトある奴だ。
ふと後ろのテーブルを見ると、握りこぶし大の赤い宝石が無造作に乗せてあった。盗賊としての嗅覚になんとなく引っかかったんだが…おーお、こりゃ見たこともねぇお宝だ。やっぱお貴族サマは違いますなあ? …しかしコレ、ただの宝石か? お宝ならもっと丁重に、金庫なんかに入れそうなもんだが。やな予感しかしねぇぞ。
ふと、部屋の逆隅に立ち辺りを見回す護衛と思しき小太り男を視界に収めた。途端に、オレの背筋に変な汗が吹き出る。
あいつ、路地裏の鬼ごっこで遊んでやった貴族もどきの! あれから厨房エルフにシメられてると思って安心してたら、回収されてやんの! 何やってんだあいつ!
まずい、まずいぞ。流石に顔を見られるヘマはしちゃいねぇが、何かの弾みでオレのことを思い出すかもしれねぇ。
内心の動揺を押し隠して、おれはさっさと全員に挨拶を済ませて出口の扉をくぐった。さて、どうする? 奴より先にオレが気付けたのはいいとしよう。それに、ここのガキのことも気にかかる。身バレするのも時間の問題だろうし…。あー! そりゃまあオレ、スリルは大好物なんだが…こういう面倒なのはできればゴメンなんだがなあ。
見張り部屋に戻ると、オレは頭を抱えたくなっちまった。扉の出口にゃ例のゴリが陣取り、奥の暗がりにゃ布なんかの資材が入ってたらしい木箱をバリケードがわりにしてガキが膝を抱えている。流石にこりゃ、放っとけねぇか。ここはさっさと行動を起こすことにするか。
ちらりと件のガキに目をやったが、えらくちっこいガキだ。そばにある木箱がでかく見えちまう。壁際の棚には平たく巻かれた新品の布地がきっちりと並んでいたが、その周囲にゃひっくり返された裁縫箱の中身が散らばりっぱなしで危なっかしい。他に片付ける奴はいなかったのかねェ?
それらを見て、初歩的な手ではあるがちょっとばかり思いついた。
難しく考えることもねぇんだ。要は、このガキを外に出せりゃいいってことだよな? 必要なのは、ちょっとの間の目くらましと運だ。幸い、近いうちに出入りがあるって情報が入ったばかりだ。なら、それを利用させてもらうとするかね。
え、そのあとオレはどうするかって? おいおい、誰に言ってるんだ、誰に? オレ一人だけなら、脱出なんぞどうにでもなるっての!
「はいはい、ちょっとごめんなさいよ」
テキトーな木箱を手に取ると、オレはそこらに散らばった裁縫道具を拾って回った。
「あん? 何やってる新入り?」
唐突なオレの行動に、ゴリが訝しんで手元を覗き込んでくる。
「え、何って片付け。こうも散らかってたんじゃ危ねぇじゃん? 」
「案外マメだな」
「まあな。女と付き合うにゃ、マメさが欠かせねぇだろ? それと同じだって」
「はは、違いねぇや」
「それにオレ、こう見えて結構きれい好きでさ…あ、女も綺麗な娘が好きよ?」
軽口の応酬に、ゴリは相好を崩した。
「話が合いそうだな、新入り!」
「ああ、まっったくだぜ! 今度、ナンパ行くかいセンパイ?」
「お、悪くねぇな。とりあえず飲みに行くか? いい店知ってんだ」
…うん、とりあえずゴリとは女の趣味は被らなさそうだ。
軽口と並行して、オレは大きめの空いた木箱をもう一つ手に取った。そこに大きめの布を敷き込むと、そこらの端切れを集めてぎゅうぎゅうに詰め込み、細く裂いた端切れで袋状に縛ってフタをする。あとはさりげなくガキの隠れる木箱のそばにそいつを押しやった。これで準備は整った。あとは天に運を任せるしかねえかな…。
多少のアクシデントはあったが、収穫もデカかった。『黒狼団』のスポンサーは、はっきりとアドルフ卿だ。ここの奴を生け捕りにして吐かせりゃ、いい証拠になるだろうよ。その場合誰を生け捕りにするべきかというと…。オレは適役を真っ先に思いついた。よし、そうしちまおう!
しかし、天下の盗賊ギルドを恐れねぇご乱行の数々。まとめてティンクに報告すりゃ、なんらかの制裁は下ると考えて間違いない。んでまた、部下に勧誘されちまうんだろうな…めんどい。
オレはゴリに促されて扉をくぐると、中の『旦那方』に御目通りを叶えた。テキトーに挨拶するふりしながら、衛視隊の隊長と思われるオッサンのツラを拝む。ドコか陰惨な目つきに、吹き出しそうになるほどの馬面。そして不自然な、鼻の下の絆創膏。思ったよりインパクトある奴だ。
ふと後ろのテーブルを見ると、握りこぶし大の赤い宝石が無造作に乗せてあった。盗賊としての嗅覚になんとなく引っかかったんだが…おーお、こりゃ見たこともねぇお宝だ。やっぱお貴族サマは違いますなあ? …しかしコレ、ただの宝石か? お宝ならもっと丁重に、金庫なんかに入れそうなもんだが。やな予感しかしねぇぞ。
ふと、部屋の逆隅に立ち辺りを見回す護衛と思しき小太り男を視界に収めた。途端に、オレの背筋に変な汗が吹き出る。
あいつ、路地裏の鬼ごっこで遊んでやった貴族もどきの! あれから厨房エルフにシメられてると思って安心してたら、回収されてやんの! 何やってんだあいつ!
まずい、まずいぞ。流石に顔を見られるヘマはしちゃいねぇが、何かの弾みでオレのことを思い出すかもしれねぇ。
内心の動揺を押し隠して、おれはさっさと全員に挨拶を済ませて出口の扉をくぐった。さて、どうする? 奴より先にオレが気付けたのはいいとしよう。それに、ここのガキのことも気にかかる。身バレするのも時間の問題だろうし…。あー! そりゃまあオレ、スリルは大好物なんだが…こういう面倒なのはできればゴメンなんだがなあ。
見張り部屋に戻ると、オレは頭を抱えたくなっちまった。扉の出口にゃ例のゴリが陣取り、奥の暗がりにゃ布なんかの資材が入ってたらしい木箱をバリケードがわりにしてガキが膝を抱えている。流石にこりゃ、放っとけねぇか。ここはさっさと行動を起こすことにするか。
ちらりと件のガキに目をやったが、えらくちっこいガキだ。そばにある木箱がでかく見えちまう。壁際の棚には平たく巻かれた新品の布地がきっちりと並んでいたが、その周囲にゃひっくり返された裁縫箱の中身が散らばりっぱなしで危なっかしい。他に片付ける奴はいなかったのかねェ?
それらを見て、初歩的な手ではあるがちょっとばかり思いついた。
難しく考えることもねぇんだ。要は、このガキを外に出せりゃいいってことだよな? 必要なのは、ちょっとの間の目くらましと運だ。幸い、近いうちに出入りがあるって情報が入ったばかりだ。なら、それを利用させてもらうとするかね。
え、そのあとオレはどうするかって? おいおい、誰に言ってるんだ、誰に? オレ一人だけなら、脱出なんぞどうにでもなるっての!
「はいはい、ちょっとごめんなさいよ」
テキトーな木箱を手に取ると、オレはそこらに散らばった裁縫道具を拾って回った。
「あん? 何やってる新入り?」
唐突なオレの行動に、ゴリが訝しんで手元を覗き込んでくる。
「え、何って片付け。こうも散らかってたんじゃ危ねぇじゃん? 」
「案外マメだな」
「まあな。女と付き合うにゃ、マメさが欠かせねぇだろ? それと同じだって」
「はは、違いねぇや」
「それにオレ、こう見えて結構きれい好きでさ…あ、女も綺麗な娘が好きよ?」
軽口の応酬に、ゴリは相好を崩した。
「話が合いそうだな、新入り!」
「ああ、まっったくだぜ! 今度、ナンパ行くかいセンパイ?」
「お、悪くねぇな。とりあえず飲みに行くか? いい店知ってんだ」
…うん、とりあえずゴリとは女の趣味は被らなさそうだ。
軽口と並行して、オレは大きめの空いた木箱をもう一つ手に取った。そこに大きめの布を敷き込むと、そこらの端切れを集めてぎゅうぎゅうに詰め込み、細く裂いた端切れで袋状に縛ってフタをする。あとはさりげなくガキの隠れる木箱のそばにそいつを押しやった。これで準備は整った。あとは天に運を任せるしかねえかな…。
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