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mission 2 孤高の花嫁
お貴族女の恐怖!
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Side-アーチ 17
見栄っ張り姉妹の拘束で身動き取れず、結婚式の進行阻止失敗!?
そんなアホな理由で結婚が成立しかけたその時だった。
「きゃあああああ!」
「おお、神よ…やはりこの婚姻は、神意に染まぬものでありましたか…」
出し抜けに祭壇あたりから悲鳴が聞こえた。見ると、天井から床までの間にひと抱えほどの氷の柱がそびえている。シスターが運んで来た指輪は、載せていた銀盆ごと氷漬けにされていた。ついでに警備していた衛視の一人も巻き込んで。よく見りゃアレは例の馬面隊長じゃねぇのか? カッコつけて指輪を運ぶ役を奪い取ったら逃げ損ねたのか、トロいなコイツ。
いったい誰が…? そう疑問を持ったオレは隣を見た。見栄っ張り姉妹の姉イーディスに、熱っぽく口説かれてもめげずに精霊魔法に集中していたらしい。やってくれたな厨房エルフ、エラい! 確かにこれなら掘り起こされない限り、指輪の交換はできねぇ。周囲の連中は集まって氷柱を削ろうと剣や棍棒、果ては椅子なんかも叩きつけているが…削れるどころか氷柱はどんどん厚みを増していた。でかした、今度なんか奢っちゃる!
「ナイスだラスファ!行くぞ!」
どさくさ紛れに近くまで来て足音を忍ばせていたデュエルがここぞとばかりに花嫁に向かって突進する。氷漬けの隊長に気を取られていた衛視隊はひとたまりもなく、まとめて薙ぎ倒された。おののく神父ごと花嫁を紳士的に奪還すると、デュエルはメイドたちに紛れていたアーシェとラグ、そしてリネットに引き渡す。
一連の珍事についていけず呆けていた参列者の中からも少しずつどよめきが上がり、立ち上がるものまで出てくる。もちろん予測していたのか、マークしていたオレらの前に衛視隊がぞろりと現れた。こんな時でもギラギラに着飾ったままってのがちょいとばかし笑えるが、事態は笑えるもんじゃねぇ。
「オレらも行くぞ!」
そう気合い入れて立ち上がりかけたが、オレとラスファの腕にはそれぞれ見栄っ張り姉妹がぶら下がったままだ。…なんで?
「おい、ちょっと…」
「離さないわよ!」
「いや、周り見てみろ周り!」
「嫌! ぜーったい離さないんだから!」
「あたしたち、どこまでも一緒よダーリン!」
おいおいおいおい!?
どんだけ必死に捕まえてんだ、この女ども!
「これだけ図太かったら、一人でも十分やっていけるんじゃないのか?」
「…ああ。多分、オレらいらねーわ」
呆れ混じりのオレたちのつぶやきは、都合よく女どもの耳には入らなかったらしい。
その間にも衛視隊はオレたちを包囲していたが、なぜか手を出してこなかった。
「お嬢様、離れてください! 彼らは我々の敵です、どうか…!」
一応、結構上流なお嬢の姉妹には衛視隊も手を出せないらしい。
「あなたがた、どういうおつもりですの? 彼らはあたしたちの婚約者ですのよ?」
「ちょ…いつの間にそんな話になった? 二度しか会ってないだろ!」
「いいえ、一目会った時から運命は感じていました。運命には従わないと…ねえ?」
「すげえ…見事に話が通じねぇ…」
「感心してる場合か!」
まあ、このゴタゴタもある意味都合が良かった。花嫁を安全な場所に逃がす時間稼ぎと、招待客の避難誘導に一役買っている。
…程よく避難できた頃に、衛視の誤算が襲ってくることになったのは仕方ないよな。
見栄っ張り姉妹の拘束で身動き取れず、結婚式の進行阻止失敗!?
そんなアホな理由で結婚が成立しかけたその時だった。
「きゃあああああ!」
「おお、神よ…やはりこの婚姻は、神意に染まぬものでありましたか…」
出し抜けに祭壇あたりから悲鳴が聞こえた。見ると、天井から床までの間にひと抱えほどの氷の柱がそびえている。シスターが運んで来た指輪は、載せていた銀盆ごと氷漬けにされていた。ついでに警備していた衛視の一人も巻き込んで。よく見りゃアレは例の馬面隊長じゃねぇのか? カッコつけて指輪を運ぶ役を奪い取ったら逃げ損ねたのか、トロいなコイツ。
いったい誰が…? そう疑問を持ったオレは隣を見た。見栄っ張り姉妹の姉イーディスに、熱っぽく口説かれてもめげずに精霊魔法に集中していたらしい。やってくれたな厨房エルフ、エラい! 確かにこれなら掘り起こされない限り、指輪の交換はできねぇ。周囲の連中は集まって氷柱を削ろうと剣や棍棒、果ては椅子なんかも叩きつけているが…削れるどころか氷柱はどんどん厚みを増していた。でかした、今度なんか奢っちゃる!
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「オレらも行くぞ!」
そう気合い入れて立ち上がりかけたが、オレとラスファの腕にはそれぞれ見栄っ張り姉妹がぶら下がったままだ。…なんで?
「おい、ちょっと…」
「離さないわよ!」
「いや、周り見てみろ周り!」
「嫌! ぜーったい離さないんだから!」
「あたしたち、どこまでも一緒よダーリン!」
おいおいおいおい!?
どんだけ必死に捕まえてんだ、この女ども!
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「…ああ。多分、オレらいらねーわ」
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その間にも衛視隊はオレたちを包囲していたが、なぜか手を出してこなかった。
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