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mission 3 祝祭の神様
再びのエルダード
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Side-デュエル 9
翌日の夜明け前から。俺はフレッドを伴ってエルダードへの道を急いでいた。表向きは疑いを向けられたフレッドへの保護監察、だが実態は仕掛けてくる可能性の高い真犯人に対する牽制と彼の護衛だ。
俺はふと、アーチが言っていた『カケラ』のことを思い出した。
『ごくたまにいる『カケラ』持ちは能力が上乗せされる上に、欲望が暴走しがちになる。今回の敵も『カケラ』の力に飲み込まれた奴が相手かもしれねぇな…』
なぜかよく知っているげに話していたアーチ。なぜ彼がそんなことに詳しいのかはさておいて。
正直、邪心の『カケラ』などと言われてもピンとこない。子供の頃に爺さんから聞いたカビ臭い神話の中での話としか思っていなかったのだ。だがこういう形で身近な話として聞いても信じ難い。
「なあ…邪心の『カケラ』って、知ってるか?」
俺は隣を歩くフレッドに話を振ってみた。彼はなかなかの健脚を持っており、急ぎ足でも冒険者の俺と変わらない速度でついてきてくれている。これなら、昼過ぎにはエルダードに着けるんじゃないだろうか?
「邪心の『カケラ』、ですか? 確か神話のお話ですよね。いつか邪神が復活するときに備えて、七つの大罪にまつわる『カケラ』を多数ばら撒いたというあれですよね?」
…ああ、やっぱそういうリアクションが返ってくるよな…。
そうやって考えれば…以前に魔神を復活させようとしたパズスや、ナディアを無理やり娶ろうとしたアドルフ卿親子も『カケラ』の力に踊らされていたのだろうか? それ以前に傭兵として戦ってきた当時、俺が戦った相手や雇われた相手の中にも『カケラ』を持った奴がいたということなんだろうか?
俺は頭を振って、思考を現実に引き戻した。
「いや、それな…もしそれが事実だったとしたら、魔術師として研究している者はどう考える?」
…こんな話振られても困るだろうなと思ったが、意外なことに彼はグイグイ食いついてきた。
「そうですね…大変興味深いことです。今まで神話の一節としか考えられていなかったことですからね。それが事実なら、他の記述についても同様に事実が散りばめられているかもしれません。次の研究テーマにしてもいいとも思えますね」
「…そういうもんか? 魔術師って変わっているな…」
「ええ! 研究者なんて、結局は好奇心で動いている人がほとんどですから」
「…そういうもんか」
俺の脳裏には、身近な知識神の神官の姿がよぎった。確かに彼女も、知識欲は旺盛だったな…納得。
そうこうしている間にも、エルダードの巨大な門が見えてきた。真っ直ぐに魔術師ギルドに向かおうとした所で、後ろから声をかけられた。
「デュエルじゃないの。別の街で仕事だって聞いてたけど、返ってきてたの?」
見下ろすとアーシェがいた。聞けば、迷子の一人を送り届けてきた帰りらしい。あいも変わらずのこの人混みの中、いきなり道端で会えるとは思わなかった。
「魔術師ギルドの先輩だったんだ、それは…兄がお世話になりました」
妙に大人びた仕草でフレッドに挨拶をするアーシェ。フレッドは慌てて頭を下げ返す。
「あ、いえそんな。こちらこそ、お兄さんにはお世話になりました」
…おーい、脱線してるぞ…。
「だっせー、にいちゃんたちもまいごか?」
「でけー! 登っちゃおうぜ!」
わんぱくな迷子たちの声が交錯する、仮設の迷子案内所にて。俺は咳払いをしながら話を切り出す。
「とりあえず、アーシェにも頼みたいことができたな」
俺たちはなぜか迷子案内所に転がり込んで、アーシェたちと話をしていた。もちろん、フレッドも一緒に。
当面は座っているだけで背中に登ってくる迷子の子供達をなんとかしてもらいたいのだが、世の中には優先順というものがある。そっちは涙を飲んで我慢しよう。
「なになに? あたしにもできることある? 冒険者活動として、単位もらえるかな?」
「…ああ、レポート書けばな」
俺のリアクションに、アーシェは口を尖らせて目をそらす。ラグがその後をフォローした。
「どんなことでしょうか? すいません、こちらはなかなか動けませんので…」
「いや、大したことはない。ただ、召喚獣と使い魔をこっちの仕事に貸して欲しいんだ。連絡用に」
とりあえず、当面の問題は解決できそうだ。
翌日の夜明け前から。俺はフレッドを伴ってエルダードへの道を急いでいた。表向きは疑いを向けられたフレッドへの保護監察、だが実態は仕掛けてくる可能性の高い真犯人に対する牽制と彼の護衛だ。
俺はふと、アーチが言っていた『カケラ』のことを思い出した。
『ごくたまにいる『カケラ』持ちは能力が上乗せされる上に、欲望が暴走しがちになる。今回の敵も『カケラ』の力に飲み込まれた奴が相手かもしれねぇな…』
なぜかよく知っているげに話していたアーチ。なぜ彼がそんなことに詳しいのかはさておいて。
正直、邪心の『カケラ』などと言われてもピンとこない。子供の頃に爺さんから聞いたカビ臭い神話の中での話としか思っていなかったのだ。だがこういう形で身近な話として聞いても信じ難い。
「なあ…邪心の『カケラ』って、知ってるか?」
俺は隣を歩くフレッドに話を振ってみた。彼はなかなかの健脚を持っており、急ぎ足でも冒険者の俺と変わらない速度でついてきてくれている。これなら、昼過ぎにはエルダードに着けるんじゃないだろうか?
「邪心の『カケラ』、ですか? 確か神話のお話ですよね。いつか邪神が復活するときに備えて、七つの大罪にまつわる『カケラ』を多数ばら撒いたというあれですよね?」
…ああ、やっぱそういうリアクションが返ってくるよな…。
そうやって考えれば…以前に魔神を復活させようとしたパズスや、ナディアを無理やり娶ろうとしたアドルフ卿親子も『カケラ』の力に踊らされていたのだろうか? それ以前に傭兵として戦ってきた当時、俺が戦った相手や雇われた相手の中にも『カケラ』を持った奴がいたということなんだろうか?
俺は頭を振って、思考を現実に引き戻した。
「いや、それな…もしそれが事実だったとしたら、魔術師として研究している者はどう考える?」
…こんな話振られても困るだろうなと思ったが、意外なことに彼はグイグイ食いついてきた。
「そうですね…大変興味深いことです。今まで神話の一節としか考えられていなかったことですからね。それが事実なら、他の記述についても同様に事実が散りばめられているかもしれません。次の研究テーマにしてもいいとも思えますね」
「…そういうもんか? 魔術師って変わっているな…」
「ええ! 研究者なんて、結局は好奇心で動いている人がほとんどですから」
「…そういうもんか」
俺の脳裏には、身近な知識神の神官の姿がよぎった。確かに彼女も、知識欲は旺盛だったな…納得。
そうこうしている間にも、エルダードの巨大な門が見えてきた。真っ直ぐに魔術師ギルドに向かおうとした所で、後ろから声をかけられた。
「デュエルじゃないの。別の街で仕事だって聞いてたけど、返ってきてたの?」
見下ろすとアーシェがいた。聞けば、迷子の一人を送り届けてきた帰りらしい。あいも変わらずのこの人混みの中、いきなり道端で会えるとは思わなかった。
「魔術師ギルドの先輩だったんだ、それは…兄がお世話になりました」
妙に大人びた仕草でフレッドに挨拶をするアーシェ。フレッドは慌てて頭を下げ返す。
「あ、いえそんな。こちらこそ、お兄さんにはお世話になりました」
…おーい、脱線してるぞ…。
「だっせー、にいちゃんたちもまいごか?」
「でけー! 登っちゃおうぜ!」
わんぱくな迷子たちの声が交錯する、仮設の迷子案内所にて。俺は咳払いをしながら話を切り出す。
「とりあえず、アーシェにも頼みたいことができたな」
俺たちはなぜか迷子案内所に転がり込んで、アーシェたちと話をしていた。もちろん、フレッドも一緒に。
当面は座っているだけで背中に登ってくる迷子の子供達をなんとかしてもらいたいのだが、世の中には優先順というものがある。そっちは涙を飲んで我慢しよう。
「なになに? あたしにもできることある? 冒険者活動として、単位もらえるかな?」
「…ああ、レポート書けばな」
俺のリアクションに、アーシェは口を尖らせて目をそらす。ラグがその後をフォローした。
「どんなことでしょうか? すいません、こちらはなかなか動けませんので…」
「いや、大したことはない。ただ、召喚獣と使い魔をこっちの仕事に貸して欲しいんだ。連絡用に」
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