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第五夜
屋敷内の探索
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昼 13:00
執事さんに連れられて、昼食の席に呼ばれたけれど。とてもじゃないが何か食べる気にはなれなかった。幸いダイニングにも死者の影は存在しなかったが、そこまでの道筋で多数目にしてしまうとどうしようもない。少しでも気を抜くと見えてしまうのだ。自室前にいる五体バラバラの亡骸は、あまりに刺激が強すぎる。
「やはり…あなたもご覧になってしまっているのですね…」
執事さんは辛そうにかぶりを振る。もしかしたら、彼もこの風景が見えているのだろうか…?
結局その後、俺はまた廊下に出ていた。前に俺が死んだ場所である図書室に行こうかと思ったが、流石に記憶が生々しく残りすぎてその気になれなかった。
それではどうするか?
とりあえず、三階から鍵のかかっていない扉を順に試してみよう。気を張って、なるべく亡骸の幻を見ないようにしながら行くつもりだ。こういう状況になってしまっては、致し方ない。『向こう側』に魂を引かれる前に、早く謎を解いてティアラのもとに帰らなければ…!
予想していたことだが、やはりほとんどの部屋が閉まっている。たまに開いた部屋があるかと思えば、がらんどうの空き部屋ばかりだ。やはりそこまで甘くはないか。
驚いたことに、全ての部屋に動物のレリーフが刻んであった。執事さんは把握しているのだろう。そして必要な鍵を選んで『渡して』くれていたということか…。
気づけば廊下の絵画がかけてあるエリアに戻ってきていた。相変わらず奥に行くほどに淀んだ画風になっていく作りだ。その中で幸せな絵画との境目あたりにガラス張りの展示ケースが集中的に置いてあることに気づいた。
婚礼の笑顔の後に『慈悲の短剣』が置いてある形だ。例の『悪魔祓いの剣』は、ここにはないのだろうか? 詳しく調べてみようか。
ここにあるのは短剣と長剣に石弓と銃、そして長柄の槍…。優美なバラを刻印してある所が共通点と言えば、そうか。
どうもこれは、それとは違う気がする。
悪魔…か。
俺は日記に書かれていた記述を思い出した。領主の悪行は、まさに悪魔の如しと言えるだろう。
悪魔とは、人の心に住むもの…孤児院の牧師さんが常々言っていたことを思い出す。なんだろう、ひどく懐かしくなってきた。
そうこうして居る間にも、刻一刻と夜が近づいて来て居る。気は焦るがどうしようもない、それなら!
決意すると俺は図書室に戻ってきた。独特の空気に踏み入れると、前回死を迎えた場所まで進んでいく。しておくべき事が分かれば、行動に移すのみだ。余計な感情を挟む余地などない。
そこには自らの血の海に沈み、短剣でとどめを刺された自分の死に様があった。やはり、気分のいいものではない。自分で思っていた以上に、えぐられた背中の傷は深かったようだ。相当深く切り裂かれている。それはそうだ。その前に見た威力は、壁をも抉る威力だったはず。確かにこれをまともに受ければ死ぬだろう…。
その周囲を探って書棚に見つけたのは、黒い背表紙の中の赤い本。引き出そうとすると、どうしても抵抗がある。それなら。
周囲の黒い背表紙の本を片側だけ抜いてみた。覗き込むと、何かの機構が垣間見える。確かにこれは、押し込むと発動するタイプの開閉機構だ。そして…。俺は天井のスリットを見上げる。この罠を発動させる機構は、別口として扉近くに存在するだろう。
有効かどうかはわからない。だが、試してみよう。『生贄の美術館』に通じる隠し扉を探った時に、動かせる書棚はあった。それなら、書棚を動かして罠の矢を防げるのではないか?
床に傷をつけそうだが、この際そんなことを言ってもいられない。どの道、次回には元に戻っているのだろうから。出来ることはしておきたいのだ。
相当な重さはあるが、前回に動かした書棚を引きずって隠し扉の前辺りまで動かしてみる。ちょうど天井のスリットとの射線を遮る形だ。これでいい、あのスリットから放たれる矢は、この書棚に当たって防がれるはずだ。
ああ、今日もリミットが近くなってくる…。
俺は暗くなりつつある窓の外を眺めて目を伏せた。
執事さんに連れられて、昼食の席に呼ばれたけれど。とてもじゃないが何か食べる気にはなれなかった。幸いダイニングにも死者の影は存在しなかったが、そこまでの道筋で多数目にしてしまうとどうしようもない。少しでも気を抜くと見えてしまうのだ。自室前にいる五体バラバラの亡骸は、あまりに刺激が強すぎる。
「やはり…あなたもご覧になってしまっているのですね…」
執事さんは辛そうにかぶりを振る。もしかしたら、彼もこの風景が見えているのだろうか…?
結局その後、俺はまた廊下に出ていた。前に俺が死んだ場所である図書室に行こうかと思ったが、流石に記憶が生々しく残りすぎてその気になれなかった。
それではどうするか?
とりあえず、三階から鍵のかかっていない扉を順に試してみよう。気を張って、なるべく亡骸の幻を見ないようにしながら行くつもりだ。こういう状況になってしまっては、致し方ない。『向こう側』に魂を引かれる前に、早く謎を解いてティアラのもとに帰らなければ…!
予想していたことだが、やはりほとんどの部屋が閉まっている。たまに開いた部屋があるかと思えば、がらんどうの空き部屋ばかりだ。やはりそこまで甘くはないか。
驚いたことに、全ての部屋に動物のレリーフが刻んであった。執事さんは把握しているのだろう。そして必要な鍵を選んで『渡して』くれていたということか…。
気づけば廊下の絵画がかけてあるエリアに戻ってきていた。相変わらず奥に行くほどに淀んだ画風になっていく作りだ。その中で幸せな絵画との境目あたりにガラス張りの展示ケースが集中的に置いてあることに気づいた。
婚礼の笑顔の後に『慈悲の短剣』が置いてある形だ。例の『悪魔祓いの剣』は、ここにはないのだろうか? 詳しく調べてみようか。
ここにあるのは短剣と長剣に石弓と銃、そして長柄の槍…。優美なバラを刻印してある所が共通点と言えば、そうか。
どうもこれは、それとは違う気がする。
悪魔…か。
俺は日記に書かれていた記述を思い出した。領主の悪行は、まさに悪魔の如しと言えるだろう。
悪魔とは、人の心に住むもの…孤児院の牧師さんが常々言っていたことを思い出す。なんだろう、ひどく懐かしくなってきた。
そうこうして居る間にも、刻一刻と夜が近づいて来て居る。気は焦るがどうしようもない、それなら!
決意すると俺は図書室に戻ってきた。独特の空気に踏み入れると、前回死を迎えた場所まで進んでいく。しておくべき事が分かれば、行動に移すのみだ。余計な感情を挟む余地などない。
そこには自らの血の海に沈み、短剣でとどめを刺された自分の死に様があった。やはり、気分のいいものではない。自分で思っていた以上に、えぐられた背中の傷は深かったようだ。相当深く切り裂かれている。それはそうだ。その前に見た威力は、壁をも抉る威力だったはず。確かにこれをまともに受ければ死ぬだろう…。
その周囲を探って書棚に見つけたのは、黒い背表紙の中の赤い本。引き出そうとすると、どうしても抵抗がある。それなら。
周囲の黒い背表紙の本を片側だけ抜いてみた。覗き込むと、何かの機構が垣間見える。確かにこれは、押し込むと発動するタイプの開閉機構だ。そして…。俺は天井のスリットを見上げる。この罠を発動させる機構は、別口として扉近くに存在するだろう。
有効かどうかはわからない。だが、試してみよう。『生贄の美術館』に通じる隠し扉を探った時に、動かせる書棚はあった。それなら、書棚を動かして罠の矢を防げるのではないか?
床に傷をつけそうだが、この際そんなことを言ってもいられない。どの道、次回には元に戻っているのだろうから。出来ることはしておきたいのだ。
相当な重さはあるが、前回に動かした書棚を引きずって隠し扉の前辺りまで動かしてみる。ちょうど天井のスリットとの射線を遮る形だ。これでいい、あのスリットから放たれる矢は、この書棚に当たって防がれるはずだ。
ああ、今日もリミットが近くなってくる…。
俺は暗くなりつつある窓の外を眺めて目を伏せた。
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