終わりのない悪夢~七つの復讐~

夢華彩音

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第二章 狂いと絶望

11話 引越し

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「先生!」
朝礼後、私は担任の黒谷先生の後ろ姿を追いかけた。

「ん?あぁ、松川さんか。何の用だ?」
「先生、お願いです。助けてください…」
「助ける?」
「私、いじめられてるんです。もう、ここに居たくないんです。全部、私から離れていってしまう。もう…」
私は先生の腕をつかんで必死に訴えた。

先生。お願い。
助けて……


だが、黒谷先生は私の手を振りほどいた。
「何だ。そんなことで俺を呼び止めるんじゃない。いじめって大袈裟な…。そんなのは子供同士のじゃれ合いだろう?そもそも、いじめられるお前も悪いところがあるんじゃないのか?」

「え……」

「いじめって理由にして告げ口するのは最低だからな」
先生はそのまま歩いていってしまった。



私は思わず学校を飛び出した。

家まで、スピードを落とさずに走り続けた。

苦しさと、ショックとで、息が思うようにできない。

私は勢いよく玄関の扉を開くと、そのまま床に座り込んだ。
すると、小百合がリビングから出てきた。小百合は私の姿を見た途端、目に涙を浮かべた。
「優美…。また、始まったのね」
小百合は私をそっと抱きしめてくれた。
「お母さん…。黙ってて、ごめんなさい。美雪ちゃんが居なくなったから、また…」
「いいのよ。無理に話さなくて。しばらく、家に居なさい。あんなところに行く必要ないわ。お父さんとお母さんが必ず貴方を守るから」

小百合の温もりを感じながら、私は小さく頷いた。


リビングでゆっくりしていると、小百合がココアをいれてくれた。
温かいマグカップに触れ、そっと口に運ぶ。
少し、肩の力が抜けた。
私は、ほうっと息を吐いた。

「優美」
「何?」
「引っ越しましょう。新しい環境で一からやり直すの。あんな学校に優美を置いておきたくない」
「でも…。みんなに迷惑かけちゃうよ」
「気にしないで。優美が心から笑える環境に居てくれればそれでいいから」
小百合は優しく微笑んだ。


その夜、私は美雪に電話をかけた。
“そう。引っ越すのね”
「うん。お父さんの仕事のこともあるから、美雪ちゃんのところには行けないんだけど」
“それは仕方ないよ。でも、良かったね。やっていけそう?”
「うん。お母さんが守るって言ってくれたから」
“そっか。頑張ってね、優美。”
「うん。」
“私は、ずっと優美の味方だからね。”
「ありがとう。美雪ちゃん」

私は久々に笑顔を浮かべた。

「おねーちゃん。今の電話、だれ?」
宙が部屋に入ってきた。
「美雪ちゃんだよ」
「ぼくも!ぼくも美雪おねーちゃんと電話する!」
「ごめんね。もう終わっちゃった。」
「えーー」
「次は呼んであげるから。ね?」
宙は、不満そうだったが納得してくれた。



それから、私は引越しと転校の手続きを進めた。
黒谷先生に転校の旨を伝えた後、小百合と一緒に帰った。
宙は学校が休みだったから洋太が見てくれている。
「順調に進んで良かったね。そうだ!優美、買い物して帰らない?新しい服いるでしょ」
「いやいや、いいよ。引っ越すのにお金必要じゃない。」
「もっとわがまま言ってもいいのよ。貴方は昔から聞き分けのいい子だから心配だわ」
「大丈夫だって。必要になったらお願いするね」

私は大きく息を吸った。
楽に呼吸できるなんて、久しぶりだ。


しかし、そう思ったのも束の間。
家の近くまで来ると、黒い煙が立ちこめていた。
「お母さん、火事かな?煙臭いよ…」
「……」
「お母さん?」
「煙の先…私達の家よ」
「え?………まさかっ」

「お父さん……宙……」
小百合は真っ青な顔で駆け出した。

「お母さん!待って!まずは消防署に連絡しなきゃ!」
私は慌てて後を追った。
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