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第四章 第一の復讐
17話 小野若菜
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私は何度か真琴のもとを訪ね、少しずつ距離を縮めていった。
ある日、私は自分の部屋で考え事をしていた。
「いつ行動に移すべきか…」
真琴の心を掴むことには成功したし、順調に事が進んでいる。
問題は若菜だ。
彼女は毎日決まった時間に病院にやって来る。若菜に接触するのは日曜日と決めているから、それまでにシナリオを用意しなくては。
私はおかしくなって笑った。
「散々苦しめられたのに、またあんな奴らのことで頭を悩ませなきゃならないなんてほんと嫌だわ。……でも、悪くない」
そう呟いてパソコンを立ち上げた。
私は非合法のネットショップのサイトへアクセスした。後でこのサイトの検索履歴を削除しておかないと面倒なことになる。
「あったわ…」
私は、1つの商品に目を留めた。
そう。これを探していたの。
届くのは1週間後。それまでに終えなくては。
私は立ち上がって部屋を出た。
日曜日。
私はいつものように真琴の病室に来ていた。
「初めて乙葉さんにお会いした時、堅い方かと思っていたけど、意外と冗談を仰ったりするのね」
真琴は楽しそうに笑った。
「そんなに堅かったですか?」
「えぇ」
「人のこと言えませんよ。初めて声をかけた日の真琴さんのキョトンとした顔をお見せしたいです」
「意地悪ね~」
「そうでもないですよ」
他愛もない話をしていると、病室の扉が開いた。
「あれ?お客さん?」
入ってきたのは若菜だった。彼女は私を見て驚いた顔をしている。
真琴は笑顔で言った。
「杠乙葉さんよ。ほら、お母さんの話し相手になって下さっているの。」
「あぁ、前に言ってた人ね。」
そう言うと、若菜は私に向き直った。
「初めまして。母と仲良くしてくれてありがとうございます。小野若菜です」
「初めまして。杠乙葉と申します」
私は笑顔を向けた。
気づかないでしょう?優美だって。
私、化粧で顔が別人のようになっているから。
プロのメイクよ。私自身も鏡を見て驚いたわ。
人ってメイク一つで別人になれるのね。
見舞いの後、私は若菜とカフェに入った。
若菜が話したいことがあると言ってきたので応じたのだ。
「母と親しいなら、病気のことも知ってますよね。」
「えぇ。真琴さんから聞きました」
「私が高校生の頃に病気が発覚して、それからずっと入院してるんです」
高校生…。ちょうど私をいじめていた時期ね。
私は顔が引きつらないように、必死で憎しみを抑えた。
「入院して3年になると伺いました。」
「はい。なので今は働いてるんです。大学に行くお金も無いですから」
「失礼ですが、お歳は?」
「20歳です。」
「あら。私と同い年なんですね。」
私は驚いたフリをした。
「落ち着いていらっしゃるからてっきり先輩かと…。杠さんは、大学生ですか?」
「いえ。高校を出てからは父の仕事を手伝いながら学んでいます」
「そうなんですね……。いいなぁ、恵まれてる人は」
若菜は苦笑いを浮かべた。
私は冷たい目で若菜を見下した。
恵まれてるですって?
やっぱりこの人は、何も変わらない。
「あの、杠さん…」
「はい?何でしょう。」
私は慌てて笑顔を見せた。
「あの、母の治療を優先するように院長先生に伝えてもらえませんか?」
「え…?」
「こんな事お願いするのは卑怯だって分かってます。でも、私には母しかいないんです。2人でやってきたんです。母を失うのは耐えられない……私、怖いんです」
若菜は涙をこぼした。
私は憐れむような顔をして若菜の手を取った。
「わかりました。院長先生にお伝えしましょう。私も、真琴さんに生きていて欲しいと思っていますから」
「あ、ありがとうございます!本当に、ありがとうございます…」
若菜は涙を溜めて笑顔で言った。
治療を優先って、どこまで甘ったれてるのよ。
まぁいいわ。私のことを信じたみたいだし、これで全てが上手くいく。
必ず。
ある日、私は自分の部屋で考え事をしていた。
「いつ行動に移すべきか…」
真琴の心を掴むことには成功したし、順調に事が進んでいる。
問題は若菜だ。
彼女は毎日決まった時間に病院にやって来る。若菜に接触するのは日曜日と決めているから、それまでにシナリオを用意しなくては。
私はおかしくなって笑った。
「散々苦しめられたのに、またあんな奴らのことで頭を悩ませなきゃならないなんてほんと嫌だわ。……でも、悪くない」
そう呟いてパソコンを立ち上げた。
私は非合法のネットショップのサイトへアクセスした。後でこのサイトの検索履歴を削除しておかないと面倒なことになる。
「あったわ…」
私は、1つの商品に目を留めた。
そう。これを探していたの。
届くのは1週間後。それまでに終えなくては。
私は立ち上がって部屋を出た。
日曜日。
私はいつものように真琴の病室に来ていた。
「初めて乙葉さんにお会いした時、堅い方かと思っていたけど、意外と冗談を仰ったりするのね」
真琴は楽しそうに笑った。
「そんなに堅かったですか?」
「えぇ」
「人のこと言えませんよ。初めて声をかけた日の真琴さんのキョトンとした顔をお見せしたいです」
「意地悪ね~」
「そうでもないですよ」
他愛もない話をしていると、病室の扉が開いた。
「あれ?お客さん?」
入ってきたのは若菜だった。彼女は私を見て驚いた顔をしている。
真琴は笑顔で言った。
「杠乙葉さんよ。ほら、お母さんの話し相手になって下さっているの。」
「あぁ、前に言ってた人ね。」
そう言うと、若菜は私に向き直った。
「初めまして。母と仲良くしてくれてありがとうございます。小野若菜です」
「初めまして。杠乙葉と申します」
私は笑顔を向けた。
気づかないでしょう?優美だって。
私、化粧で顔が別人のようになっているから。
プロのメイクよ。私自身も鏡を見て驚いたわ。
人ってメイク一つで別人になれるのね。
見舞いの後、私は若菜とカフェに入った。
若菜が話したいことがあると言ってきたので応じたのだ。
「母と親しいなら、病気のことも知ってますよね。」
「えぇ。真琴さんから聞きました」
「私が高校生の頃に病気が発覚して、それからずっと入院してるんです」
高校生…。ちょうど私をいじめていた時期ね。
私は顔が引きつらないように、必死で憎しみを抑えた。
「入院して3年になると伺いました。」
「はい。なので今は働いてるんです。大学に行くお金も無いですから」
「失礼ですが、お歳は?」
「20歳です。」
「あら。私と同い年なんですね。」
私は驚いたフリをした。
「落ち着いていらっしゃるからてっきり先輩かと…。杠さんは、大学生ですか?」
「いえ。高校を出てからは父の仕事を手伝いながら学んでいます」
「そうなんですね……。いいなぁ、恵まれてる人は」
若菜は苦笑いを浮かべた。
私は冷たい目で若菜を見下した。
恵まれてるですって?
やっぱりこの人は、何も変わらない。
「あの、杠さん…」
「はい?何でしょう。」
私は慌てて笑顔を見せた。
「あの、母の治療を優先するように院長先生に伝えてもらえませんか?」
「え…?」
「こんな事お願いするのは卑怯だって分かってます。でも、私には母しかいないんです。2人でやってきたんです。母を失うのは耐えられない……私、怖いんです」
若菜は涙をこぼした。
私は憐れむような顔をして若菜の手を取った。
「わかりました。院長先生にお伝えしましょう。私も、真琴さんに生きていて欲しいと思っていますから」
「あ、ありがとうございます!本当に、ありがとうございます…」
若菜は涙を溜めて笑顔で言った。
治療を優先って、どこまで甘ったれてるのよ。
まぁいいわ。私のことを信じたみたいだし、これで全てが上手くいく。
必ず。
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