終わりのない悪夢~七つの復讐~

夢華彩音

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第五章 第二の復讐

19話 憧れ

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小野真琴の死から1週間が過ぎた。
私は雨の中、吉崎千秋の後をつけていた。
千秋は久遠朱音に気に入られるために、私を積極的にいじめていた。千秋はお金持ちの娘に弱い。これを利用するつもりだ。
そう、私は千秋に話しかけるきっかけが訪れるのを待っているのだ。
その時。千秋が通行人とぶつかり、電車の定期券がポケットから落ちた。千秋はそれに全く気づいていない。

馬鹿な子。
さっきの通行人は私の執事。ぶつかる振りをしてポケットから定期券を抜き取らせたの。全て計画通りだわ。
私は何食わぬ顔で定期券を拾うと、千秋に声をかけた。
「これ、落としましたよ。」
「え?あ、ありがとうございます」
千秋は驚いて振り向き、ほっとした顔で笑った。
「よかった…。これが無かったら明日から困るところだったよ。ありがとう、拾ってくれて」
「いえ。けれど、折角の定期入れが濡れてしまって…」
「いいのいいの。乾かせば何とかなるだろうし。…ところで」
「はい?」
千秋は私をじっと眺めた。
「あなた、お嬢様でしょ?」

やっぱり、食いついてきたわね。
私は微笑した。
「そうでもないですよ」
「嘘。身につけているもの全部ブランドじゃん。ね、名前は?」
「杠乙葉と申します」
「うっそー!杠家って凄いところじゃん。乙葉さん、もし良かったらお礼させてもらえないかな?」
「え?私はただ拾っただけですよ。お礼だなんて…」
「いいから、家すぐそこなの。寄ってって」


千秋の家は、一般の家にしては大きな一軒家だった。
快く出迎えたのは千秋の父吉崎誠と、母の知代だ。千秋が2人に私のことを話すと、目を輝かせた。
蛙の子は蛙だわ。

知代は私に晩ご飯を振舞ってくれた。
「杠家のお嬢様には物足りないだろうけど、よかったら食べて」
「ご親切に感謝致します。優しいお母様ですね」
「あら、ありがとう。やっぱり何処ぞのお嬢様とは格が違うわ。」
「何処ぞのお嬢様…とは?」
「久遠家の一人娘。ご存知?」
「もちろん存じ上げております。お会いしたことは無いですが」
すると、横から千秋が割り込んできた。
「高校のクラスメイトだったの。クラスのリーダーってとこ。私は朱音のお気に入りだったってわけ」
「世渡りがお上手なのですね」
「まぁね。でも毎日大変よ?機嫌取らなきゃいけないし…。あ、でも朱音に目をつけられた馬鹿な奴がいたのよね。」
千秋のその言葉に、私は怒鳴りそうになるのをグッと押さえ込んだ。
「朱音さんとは、今でも仲が良いのですか?」
「全然。卒業以来会ってないんだ。連絡もつかないし」
「そうですか」
朱音にとって、千秋はただの家来でしかなかったようだ。これは都合がいい。
「ねぇ、この写真見てよ」
千秋が嬉しそうに写真を見せてきた。そこには千秋と男の人が写っている。
「彼氏さんですか?」
「うん。大手○○会社で働いててね、社長の次に偉いんだって言ってる。上手くいけば社長になるのも夢じゃないんだって」
「彼の、お名前は?」
「湯川知輝。湯川社長の息子よ」
「凄い方ですね。」
「でしょ?彼が社長になれば私はあなたと同じ位になる。だからあなたとは仲良くしたいのよ。ね、お願い。協力して」

私は千秋を冷たい目で見つめた。ここまで自分に正直なバカは初めてだわ。顔がいいことだけが取り柄ね。肌も手入れされているし、中身が伴っていれば良かったのに。

仕方ない。今だけは夢を見させてあげる。
「わかりました。あなたが彼とご結婚なさった時には優遇致しますわ」
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