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一章
たとえ綺麗な澄ました魚でも
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相変わらず天気が良く、今日も院内は陽の光が射し込んでいる。青年は昨日の終わりがよろしくなかったが自身の心の成長を噛み締める方が大きかった。陽の暖かさに自身の心が包まれさらに充実し始めたように感じる。しかし、成長と自身が抱えている問題は別だ。思い出せばすぐ0になる。
「彼は樹系図を見ていたんだね」
昨日のできごとについて説明を受けていた医者はキョトンとした顔で彼の目を見つめて復唱する。しかし理解しがたくても無理はない。不思議過ぎてついていけないだろう。
「はい。樹系図を見ていました。」
青年も理解していないがはっきり答えた。これは数々の患者を相手にしてきた医者でも分からなかった…
「樹系図…(汗)」
その一つの単語で頭が参りそうだった。
「不思議な人ですね。」
率直な意見を続けて返すことしか医者にはできなかった。
「ところで今日も散歩へ行くか?」
医者は軽々しく課題に話を替えた。青年はやはり不安があった。
「いきなり帰ったから会うのが怖いな…」
「場所を変えるのも手だけれども?」
想定内の事であるため揚々と提案する。
「はい。お願いします。リセットしたいです。」
青年は場所を変えてオンラインゲームのような感覚でコミュニティを作ろうとしているイメージなのだろう。書類作成を終えて余裕ができたカウンセラーの女性が静かに医者の後ろへ来る。
「よし。全く真逆の方へ行かせようか。」
「そうですね。」
医者と安賀多はてきぱきと対処をした。大したことない事であるが青年は多くの心配があり、考えが山積していたため理解が早くて助かった。
:::::::::::::
今回私が出向いたのは前回の道とは全く別の道で降りる駅の方角も真逆だ。ここまできたら何も心配する必要がない。道が違えば見える店の種類が違い新たな情報が私を刺激する。
次々と歩道を進んで行くと突然また時が止まった…様な感覚がした。場所は違うはずなのに。奥を見るとあの不思議な男がいたのだ。自分の心配がぶつかってしまって鼓動が高まり怖くなると同時に相手への申し訳無さがよみがえる。
ー彼と目が合ってしまったのだー
「あ…」
「あ…」
驚きのあまり、互いに声の高さや質は当然ながら違うが同じ言葉を発してしまった。
二度は同じことはしたくない。取り敢えず謝ることが先決だ。したいと思う心と実際に行う動きが噛み合わないため渋々と前回の件について謝る。
「えっと…この前はいきなりのことですみませんでした… 」
彼は話を分かってくれるだろうか…。
「いえ。大丈夫ですよ。場所、変えられたんですね。」
案外普通に返事をしてくれたことに私は胸を撫で下ろす。後半は自分にとっては辛い質問だったが…
「あ、すみません。ご迷惑をおかけするわけにもいかず、変えさせていただいたんです…」
不粋な事をしてしまったと物凄く反省している。これは彼に伝わっただろうか…。
「そう…。実は俺も無神経なことを聞いたかと思って場所を変えたんだ。まさかまた会うとは思わなかったけど。」
その優しい対応からか、彼の澄まし顔がより一層輝いて見える。
「いえ、こちらの方こそいきなり話しかけていきなり帰ってしまって本当に変ですよね。僕。」
あそこまで優しく対応してもらえると一番不思議だったのは自分なのではないかと考え主観を後悔した。
「いや、気持ちはわかるよ。あのさ、少しお話でもしませんか。」
急な誘いに心がぎょっと驚いてしまう。私はこういった事は初めてなのだ。あの優しさからあの食らいつきに私は身動きを囚われたように感じてしまった。
「え、はい…」
私は答えづらそう、というより物憂げだった。
相変わらず天気が良く、今日も院内は陽の光が射し込んでいる。青年は昨日の終わりがよろしくなかったが自身の心の成長を噛み締める方が大きかった。陽の暖かさに自身の心が包まれさらに充実し始めたように感じる。しかし、成長と自身が抱えている問題は別だ。思い出せばすぐ0になる。
「彼は樹系図を見ていたんだね」
昨日のできごとについて説明を受けていた医者はキョトンとした顔で彼の目を見つめて復唱する。しかし理解しがたくても無理はない。不思議過ぎてついていけないだろう。
「はい。樹系図を見ていました。」
青年も理解していないがはっきり答えた。これは数々の患者を相手にしてきた医者でも分からなかった…
「樹系図…(汗)」
その一つの単語で頭が参りそうだった。
「不思議な人ですね。」
率直な意見を続けて返すことしか医者にはできなかった。
「ところで今日も散歩へ行くか?」
医者は軽々しく課題に話を替えた。青年はやはり不安があった。
「いきなり帰ったから会うのが怖いな…」
「場所を変えるのも手だけれども?」
想定内の事であるため揚々と提案する。
「はい。お願いします。リセットしたいです。」
青年は場所を変えてオンラインゲームのような感覚でコミュニティを作ろうとしているイメージなのだろう。書類作成を終えて余裕ができたカウンセラーの女性が静かに医者の後ろへ来る。
「よし。全く真逆の方へ行かせようか。」
「そうですね。」
医者と安賀多はてきぱきと対処をした。大したことない事であるが青年は多くの心配があり、考えが山積していたため理解が早くて助かった。
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今回私が出向いたのは前回の道とは全く別の道で降りる駅の方角も真逆だ。ここまできたら何も心配する必要がない。道が違えば見える店の種類が違い新たな情報が私を刺激する。
次々と歩道を進んで行くと突然また時が止まった…様な感覚がした。場所は違うはずなのに。奥を見るとあの不思議な男がいたのだ。自分の心配がぶつかってしまって鼓動が高まり怖くなると同時に相手への申し訳無さがよみがえる。
ー彼と目が合ってしまったのだー
「あ…」
「あ…」
驚きのあまり、互いに声の高さや質は当然ながら違うが同じ言葉を発してしまった。
二度は同じことはしたくない。取り敢えず謝ることが先決だ。したいと思う心と実際に行う動きが噛み合わないため渋々と前回の件について謝る。
「えっと…この前はいきなりのことですみませんでした… 」
彼は話を分かってくれるだろうか…。
「いえ。大丈夫ですよ。場所、変えられたんですね。」
案外普通に返事をしてくれたことに私は胸を撫で下ろす。後半は自分にとっては辛い質問だったが…
「あ、すみません。ご迷惑をおかけするわけにもいかず、変えさせていただいたんです…」
不粋な事をしてしまったと物凄く反省している。これは彼に伝わっただろうか…。
「そう…。実は俺も無神経なことを聞いたかと思って場所を変えたんだ。まさかまた会うとは思わなかったけど。」
その優しい対応からか、彼の澄まし顔がより一層輝いて見える。
「いえ、こちらの方こそいきなり話しかけていきなり帰ってしまって本当に変ですよね。僕。」
あそこまで優しく対応してもらえると一番不思議だったのは自分なのではないかと考え主観を後悔した。
「いや、気持ちはわかるよ。あのさ、少しお話でもしませんか。」
急な誘いに心がぎょっと驚いてしまう。私はこういった事は初めてなのだ。あの優しさからあの食らいつきに私は身動きを囚われたように感じてしまった。
「え、はい…」
私は答えづらそう、というより物憂げだった。
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