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第十一章 運命の輪の中心に
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ヒカルが目を開けると、太陽の光が燦々と入り込む天窓が見えた。
ヒカルは自分の両手を見た。確かな感触はあるけれど、自分も幻――魂だけの召喚者なのか、と。黄金の懐中時計を見た。3つの窪みの最後のひとつ。まだ見ぬ「未来」の白――「浄化」の白。
「黄金竜は機械ロボットだったのか……」
ろぼっと?
聞き慣れない言葉に首を傾げるエバー。しかし、賢者は「そうだ」と答えた。答えてくれた。
「知っていたのか?」
「もちろんだ。竜は我々人間が産み出した産物」
「なら、それを止める方法もか!?」
カリンダの顔が頭に浮かぶ。試練に挑む前、彼女は泣いていた。黄金竜を止めるため、自分の魂と引き換えにして得られた平和なセカイには、自分自身の姿はないのだから。
それに――。
「黄金竜が機械ならば、カリンダのやろうとしていることは無駄じゃないか……」
竜の中には多くの器がある。たとえ、セカイの平和を願うカリンダの魂がひとつ入ったところで、はたして竜は止まるのだろうか。
「無駄ではない。少なくとも、彼女の母は故郷を救ったのだ」
「でも」
たったひとつの村じゃないか、とは言えなかった。
「でも、俺は見たぞ! 俺の小さな工房が大きくなって、俺の子孫が竜を止めるために俺をこのセカイへ召喚したのを!」
勢いよく立ち上がったけれど、体にはまだ力が入らず、エバーが優しく支えてくれた。
「どうすれば良いんだよ! 竜を止めるためには! そのために俺は来たんだ!」
大声を出したせいで、頭がクラリとした。
部屋に静寂が訪れた。天窓に止まった小鳥のつがいの声が聞こえた。
「竜の心……いわば、懐中時計が竜を制御している。それを取り外せば、竜は活動を停止するだろう」
「どうやって?」
核心はそこだ。ヒカルも竜のメインシステムが何かを見てきた。彼が持つ懐中時計はプロトタイプだ。今、黄金竜を司る懐中時計はいわば完成品。それを取り外せば、黄金竜を止められる。
「懐中時計は竜の体内にある」
「どこから入れば良いの?」
「9つのハッチと、放射口が2つ。だが、そのうち1つは出す専用だし、ハッチは固く閉じられているけれども」
「なら、ひとつしかないってことか……」
「左様。竜は方舟だ。その体内は複雑に入り組んでおるが、首を通り抜ければ器の並ぶ部屋に出るだろう」
「Heart」。まさしく、竜の心臓部分にメインシステムはあるのだ。
ヒカルは賢者との会話の中で、何かがひっかかった。
「ちょっと待ってくれ!」
ヒカルと賢者がようやく黙ってくれたからか、おいてけぼりのエバーが慌てて口を挟んだ。
「体内? 入る? ヒカルよ、貴公たちはいったい何の話をしているのだ」
エバーの疑問はもっともだった。
彼らにとっては、黄金竜は空を舞い、かつては信仰していた神様なのだか。それに、このセカイには機械はない。すべて他力の動力物だ。
「ようするに……」
ヒカルは全て分かった。腹も括れた。黄金竜を止めるにはどうしたら良いのか――その疑問にようやくピリオドを打つことができたのだから。
「食べられるのさ。黄金竜に」
そして、もう1つ分かったことがある。過去を見て、賢者と話していて、このセカイと自分が元いた世界との共通点も。
「ありがとう。秘書の河井さん」
確信はなかったけれど、賢者は「どういたしまして、先代様」と、答えてくれた。
時代を超え、このセカイで新たな器である肉体を手に入れた。
「必ず黄金竜を止めます」
そう言って、ヒカルは黄金の懐中時計の赤い装飾を押した――。
ヒカルは自分の両手を見た。確かな感触はあるけれど、自分も幻――魂だけの召喚者なのか、と。黄金の懐中時計を見た。3つの窪みの最後のひとつ。まだ見ぬ「未来」の白――「浄化」の白。
「黄金竜は機械ロボットだったのか……」
ろぼっと?
聞き慣れない言葉に首を傾げるエバー。しかし、賢者は「そうだ」と答えた。答えてくれた。
「知っていたのか?」
「もちろんだ。竜は我々人間が産み出した産物」
「なら、それを止める方法もか!?」
カリンダの顔が頭に浮かぶ。試練に挑む前、彼女は泣いていた。黄金竜を止めるため、自分の魂と引き換えにして得られた平和なセカイには、自分自身の姿はないのだから。
それに――。
「黄金竜が機械ならば、カリンダのやろうとしていることは無駄じゃないか……」
竜の中には多くの器がある。たとえ、セカイの平和を願うカリンダの魂がひとつ入ったところで、はたして竜は止まるのだろうか。
「無駄ではない。少なくとも、彼女の母は故郷を救ったのだ」
「でも」
たったひとつの村じゃないか、とは言えなかった。
「でも、俺は見たぞ! 俺の小さな工房が大きくなって、俺の子孫が竜を止めるために俺をこのセカイへ召喚したのを!」
勢いよく立ち上がったけれど、体にはまだ力が入らず、エバーが優しく支えてくれた。
「どうすれば良いんだよ! 竜を止めるためには! そのために俺は来たんだ!」
大声を出したせいで、頭がクラリとした。
部屋に静寂が訪れた。天窓に止まった小鳥のつがいの声が聞こえた。
「竜の心……いわば、懐中時計が竜を制御している。それを取り外せば、竜は活動を停止するだろう」
「どうやって?」
核心はそこだ。ヒカルも竜のメインシステムが何かを見てきた。彼が持つ懐中時計はプロトタイプだ。今、黄金竜を司る懐中時計はいわば完成品。それを取り外せば、黄金竜を止められる。
「懐中時計は竜の体内にある」
「どこから入れば良いの?」
「9つのハッチと、放射口が2つ。だが、そのうち1つは出す専用だし、ハッチは固く閉じられているけれども」
「なら、ひとつしかないってことか……」
「左様。竜は方舟だ。その体内は複雑に入り組んでおるが、首を通り抜ければ器の並ぶ部屋に出るだろう」
「Heart」。まさしく、竜の心臓部分にメインシステムはあるのだ。
ヒカルは賢者との会話の中で、何かがひっかかった。
「ちょっと待ってくれ!」
ヒカルと賢者がようやく黙ってくれたからか、おいてけぼりのエバーが慌てて口を挟んだ。
「体内? 入る? ヒカルよ、貴公たちはいったい何の話をしているのだ」
エバーの疑問はもっともだった。
彼らにとっては、黄金竜は空を舞い、かつては信仰していた神様なのだか。それに、このセカイには機械はない。すべて他力の動力物だ。
「ようするに……」
ヒカルは全て分かった。腹も括れた。黄金竜を止めるにはどうしたら良いのか――その疑問にようやくピリオドを打つことができたのだから。
「食べられるのさ。黄金竜に」
そして、もう1つ分かったことがある。過去を見て、賢者と話していて、このセカイと自分が元いた世界との共通点も。
「ありがとう。秘書の河井さん」
確信はなかったけれど、賢者は「どういたしまして、先代様」と、答えてくれた。
時代を超え、このセカイで新たな器である肉体を手に入れた。
「必ず黄金竜を止めます」
そう言って、ヒカルは黄金の懐中時計の赤い装飾を押した――。
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