黄金竜のいるセカイ

にぎた

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第十二章 決戦

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 オニの拳が轟音とともに放たれた。

 パッチはそれを間一髪のところで避けると、反撃はせずに少し距離を取る。オニは続いて二発目、三発目と襲いかかるが、パッチは見事にかわしていく。

 地面に穴がいくつか出来た。

 パッチは好機チャンスを待っているのだ。今まで闇雲に向かっていっただけで、どれもがオニの超反応によって防がれてきた。

 魔の鳥籠い住む黄金の巨大土竜もぐら。サボテン岩にてボルボルに召喚された火の聖霊ディアンブロス。それらを圧倒した炎を小さな体に宿しながら、パッチはひたすらオニの攻撃を避ける。

 そしてやってきた。オニの背後に回るパッチ。なかなか捕らえられないオニが、無理な体勢から後方へパンチを放つ。ジャンプして避けるパッチ。体勢が崩れるオニ。その時、オニの体が氷に覆われていく。

「ありがとよ、看守殿!」

 ウインが唱えた魔法により、オニの体は完全に身動きが取れなくなった。

 パッチの右手に灼熱の炎を纏う。そして、凍ったオニの頭へ!

 ドン! と大きな音とともに、戦場へ衝撃波が広がった。

「しゃああああ!」

 零度の氷に千度の拳。顔の無いオニの頭は砕け、巨体が倒れた。



 女隊長リーは、意外とすんなりヒカルたちの参戦を認めてくれた。

「一つ、決して邪魔はしないこと。二つ、少年たちを必ず避難させること」

 その二つの条件を突き付けるだけで、リーは早速剣を抜いて、鱗たちの壁に走っていったのだ。

 すべては、間を取り持ってくれたウタのおかげだ。ヒカルとカリンダをノリータの生き残り――討伐派として紹介してくれたのだ。

 ヒカルはともかく、カリンダはウタと同じく分厚いローブを纏っていた。時を止め、ヒカルが瓦礫の山の中から引っ張り出してきた花柄の可愛らしいものだ。

 もしかしたらカリンダの顔はバレてるかもしれない、と、このアイディアをくれたのもウタだった。

 日光に当たると消滅してしまうアンデッド。女隊長リーは、さすかにカリンダのローブを取ることはしなかった。

「ありがとよ。ウタ」

 ヒカルは原付バイクに股がって、エンジンを掛ける準備をした。チャンスは一度。彼女が黄金の壁を破ったその時だ。

「バル。今度こそ避難しろよ」
「うん」
「こいつを守っててくれてありがとね」

 遠目から見ても、リーの――剣の威力は凄まじかった。向かってくる鱗たちを圧倒している。しかも一人で。

 さぁ、いよいよだ。

 黄金竜が瓦礫を吹き飛ばしてくれたから、滑走路は一直線に出来ていた。

 ヒカルはエンジンを掛け、黄金の懐中時計を取り出す。

「必ず帰ってくるよ、カリンダ」

 律儀にローブを纏ったままの彼女。その時、カリンダはヒカルの後ろ――原付バイクの荷台に座ったのだ。

「何やってるの!?」
「うるさいっ! 私も連れていきなさい!」
「はぁ!?」

 このセカイのためだとか、自分の使命だからとかではなく、彼女の叫びはただ単純なワガママに聞こえた。

 ヒカルはしばらく考えた。考えようとしたけれど、「しっかりつかまっていろよ」と言ってしまった。結局のところ、嬉しかったのだ。

 いよいよ鱗の壁が崩れてきた。
 目指すは、目の前に見える黄金竜。

「ヒカル!」

 バルの声に、ヒカルは振り向いた。

「ウインって言う人がね、僕たちをここに……君のところに連れてきてくれたんだけど」

 よろしく、って伝えてくれって!

 ヒカルはそれを聞いてどこか安心した。
 ウインとは喧嘩別れしたままだったから。

「分かった! ちゃんと受け取ったよ!」

 そして、ついに黄金の壁が拓かれた。

「いくよ、カリンダ」
「うん」

 カチ――。

 勢いよくアクセルを回し、原付バイクは加速を始めた。
 鱗たちの間をすり抜け、黄金竜の口がどんどん近くなってくる。

――カチ。
 そして、竜が時計に共鳴する前に解除。

「いけええええ!」

 カリンダを乗せたヒカルの原付バイクは、そのままオルストンに鎮座する黄金竜の中に入っていった。
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