ハラスメント男との婚約を破棄して幸せになるのはダメですか？

第三話 相談

　イーデル様が帰った後、私はお父様に相談することにした。

「お父様、本日イーデル様がいらっしゃいました」

「おお、そうだったな。これから結婚する2人に全て任せたが、イーデル君はどうだった？」

　どうだった……と聞かれると、私が思っている事を全て話してしまいたいが、それだとただ陰口になってしまいそうだ。


「……私では、イーデル様を不安にさせてしまうかもしれません」

「ふむ、どうしてそう思うのか？」

「イーデル様はどうやら、ご自分の屋敷と私達の屋敷を比べて、大きさの違いを気になさっていました」

「……ほう」

　明らかに、お父様の顔が曇った。それもそうだ、自分の屋敷を貶されたわけだから。

　でもどうせなら、もう一つくらいは文句を言わせてもらいましょう。少しくらいは愚痴を言いたい気分なのです。

「そして、イーデル様は私が煌びやかな格好をすると不愉快に思われるようなのです」

「それはなぜなのだ？」

「わかりません。理由は、聞くことが叶いませんでした」

「……なるほどな、イーデル君に少し興味が湧いてきた。今度会ってみることとしようか」

　お父様が興味が湧いてきたというのはもちろん建前で、イーデル様が本当に大丈夫な人間なのかをお父様が自分の目で確かめてくれるということなのだろう。


「今度、イーデル君を含めた3人で、食事会をしようか」

「それはいい考えですね。お誘いの手紙をイーデル様に出しておきます」

　まあお父様がいる前では、何か言ってきたりはしないんだろうけど……と、その時の私は楽観的に考えていました。