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第八話 パーティの後
しおりを挟む「私はイーデル様に不釣り合いな娘なので、イーデル様の為を思って婚約を解消しようというのです」
「お前っ!……その様なことは私は思わない。だから、考え直せ」
「いえ、私の考えが変わることはありません。それでは」
____________________________________
パーティの前からお父様に婚約破棄の手続きをしてもらっていた私は、パーティの後正式にサンブライデ家に婚約破棄の通知をした。
しかし、サンブライデ家としても、自分達の息子が婚約者に逃げられたとあってはとんだ恥晒しもいいところだから、考え直せないかと、ずっと言われ続けていた。
そんな状態のある日。
我が家に、客人がやって来た。
「ーーーーアスト・サンブライデ様、ようこそおいでくださいました」
アスト・サンブライデ様。彼は、サンブライデ家の長男であり、サンブライデ家の当主に最も近い人である。
そして、その優秀さから、現当主が亡くなる前に当主を継ぐのではないかとも言われている程の人である。
「こんにちは。突然訪ねてしまって、申し訳ありません」
深々と頭を下げた。
内心、イーデル様の兄という肩書きをめちゃくちゃ怪しんでいたが、どうやら彼とは似ても似つかないらしい。
見るからに優秀そうな人だ。
……しかし、そんな人がなぜ?
「本日、アルトケッツァ家に参った用件なのですが……」
その先はアスト様は言い淀んで、口元を隠してしまった。
「いかがなさいましたか?」
どうしたものかと目線を合わせてみると、ふいっと逸らされてしまう。
「いえ、失礼……用件はというと……」
そう言って、今度は真っ直ぐ私を見つめた。
「イーデルの代わりに、私と婚約していただけないだろうか」
「……え?」
~完~
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