徳川家の右腕

ジミーとノア

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危機迫る日本国

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 桜花舞う季節から半年あまり経とうとした頃だった。日本各地から集まってくる情報はどれも暗鬱なニュースばかりだった。

『西日本で大地震発生。多数の死者行方不明者出る』
『東北地方で飢饉被害が深刻化』
『伊勢湾で発生した海難事故により貿易品消失』

 さらには国内政治への介入を狙った外国勢力の活動が活発化していると言う話も耳に入るようになった。まさに災厄が重なっている状況だ。

「どうにかしなくては……」

 悩む暇もなく奔走する日々が続く。地震被災地への救援物資配布計画立案、減税措置による救済策、荒廃した農村の復興支援プログラム導入など枚挙に暇が無い。一方で外交方面でも油断できない状態だ。

「フランス共和国から新たな通商条約案が届きました」

 ある日の早朝。外務奉行人からの報告によって緊張感が走る。以前交渉していた蘭印条約とは異なる第三国の動きであり警戒心を持つべき案件だ。

「どのような内容なのか?」

「基本的には友好関係強化ですが、条文に『日本軍事同盟加入』などの項目が含まれており些か不穏な印象を受けます」

 その話を聞いて眉間に皺を寄せる。おそらく背後に欧州大国間競争の一環として日本を取り込もうとする野心が垣間見える。

「この件については暫定保留として時間を稼ぎつつ、他国とのバランスを見極めよう」

 指示を出した後も不安は消えない。この世界では明治維新までの流れが歪んでいるため、本来の歴史のように列強勢力との距離感が測れない状況だ。

 そんなある日、突如として東シナ海上空でアメリカ海軍機が領空侵犯を犯す事件が起きた。

「これは明らかな挑発行動ではないか!」

 将軍以下武官一同は憤慨した表情で詰め掛けて来る。

「落ち着いてください皆さん。ここは冷静な判断を求められます」

 叫ぶ者達を宥めつつ、対応策を考える。今ここで全面戦争になってしまえば日本列島全域が混乱の坩堝と化してしまう恐れも有る為慎重に事を運ぶ必要があった。

「まず警告射撃を実施せよ。それが無視された場合は国際裁判所へ申し立てて正義を主張すべきだろう」

 この提案には意外にも賛同者が多かった。家康公の時代に作り上げた外交枠組みが既に機能し始めており、各国大使館と連絡を取り合う体制は万全だったのである。


 二週間ほど経過したある夕刻。

「やったぞ!! 裁判所裁定で日本側有利な判定を得ました!」

 元和5年秋。国際社会から初めて承認された司法判決により相手方アメリカ政府側も黙ってしまう。これで一定レベルの抑止力となることに期待したい。

 しかしそれ以上に重大な事態が進行しつつあったのである。つまり「豊臣家残党狩り」問題だった。
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